宮古島のアカ様健在!
 宮古島の最初の朝がやってきた。まだ暗いうちに起き出して準備を整えると、ようやく辺りが明るくなってきた頃に宿を出た。

  目標のアカ様ポイント、9年前はほんとに知る人ぞ知るって感じで手探りでなんとか探し当てた秘密の場所って感じだったのだが、ここの所の鳥撮りブームですっかりメジャーになってしまったようで、果たしてそれがどんな風に状況を変えてしまったのか。はたまた先行者はいるのだろうか、人が増えすぎて撮影禁止になったりしていないだろうか・・・と、いろいろ考えながら車を進める。

 すると目的地直前で路上を横切る小さな鳥の姿が目に入った。慌てて車を止め、助手席のD7000と50-500mmのセットを取り上げる。道路際の畑に入ってこちらの様子を伺っているその姿をファインダーに捉えると、やっぱりミフウズラだった。この鳥は宮古島で会いたかった鳥の一種だったのでうれしいが、今回はこれが唯一の遭遇だった。できればもうちょっとまともに撮りたかったなあ。

 ポイント近づくと、やはり以前とはちょっと状況が変わってしまっていたが、記憶をたどってなんとか車を止める所を見つけ、ポイントに着くことができた。見渡してみるがどうやら他には誰も居ないようだ。

 鳥を驚かせないように必ずブラインドを張るように、との看板が立っており、さらにここより先には行かないように、というロープも張ってあった。
 ここら辺は数年前にこの場所を訪れていたRICKさんやとれたさんから話は聞いていたので、持ってきた迷彩メッシュの布を木々の間に結んでブラインドを設置した。

 後はカメラをセットして、昨日ダイソーで買った100円椅子に座ってアカ様の登場を待つばかり。
 まだ太陽は昇りきっておらずあたりは薄暗さに包まれている。

  森の奥からは「キョホッ キョホッ」というリュウキュウコノハズクの声が聞こえてくる。

 そんな森の中に「ドボン!」という水音が響き、ブラインドの外に目を向けるとそこには水を滴らせたアカ様が止まっていた!

 いきなり現れたアカ様は、まだ薄暗い中、目の前で何度も水浴びを繰り返す。前回来たときのボディーはEOS20D、ISO800はチョイ厳しいって感じだったが、今じゃISOを3200まで上げてもそこそこ撮れるようになっちゃったもんなあ。便利な時代になったもんだ。

 ひとしきり水浴びを終えたアカ様が飛び去ると、辺りは静寂に包まれた。しかしとりあえずアカ様に会えた事で一気に肩の荷が下りたよ。
 まだアカ様が健在だったのも分かってホッとした。なんせ最近の石垣島は年を追うごとにアカ様に会いづらくなってきてるからねえ。
  
 その後しばらくブラインドの奥でじっとしていると、対岸の草むらがガサゴソし始めた。やがてこそこそと現れたのはオオクイナ。今回の裏テーマは南西諸島クイナ尽くし、なのでこちらも宮古島代表としてぜひ出てきて欲しかったのでヤッターって感じだ。

 比較的警戒心が強いと思っていたオオクイナだが、ブラインドのおかげかあまりこちらを気にしていないようで、目の前でバシャバシャと水浴びを始めた。

 結構長い時間水浴びをし続けたオオクイナが再び藪の中に戻っていくと、それと入れ替わるように、パラパラと羽音を立てて現れたのは、こちらものここの常連、リュウキュウサンコウチョウ。しかしちょっと残念な幼鳥だった。

 そして再びオオクイナ。今回は良く出てきてくれるなあ。

 この頃になると太陽もかなり昇って来て。周囲の明るさも増してきた。
周りを見渡すとガジュマルから垂れ下がる気根がジャングル感たっぷりだ。

 「グェグェ」の声とともにサンコウチョウもまたやってきた。今度はアイリングがちゃんと青いからメスのようだ。さっきの幼鳥よりお腹も白いし大分綺麗だ。しかしやっぱりサンコウチョウといえば尾羽の長い綺麗なオスに会いたいところだなあ。

 そして再再度オオクイナ。また出てきたか。この時点ですでにときめき半減(^^;
でも他じゃ中々見れない鳥なんだからしっかり撮っておかないとね。光線の具合もいい感じだ。

 一方のアカ様は全然来ない。ちょっと遠くで鳴いてはいるのだが・・・
これは尾羽の長いサンちゃんオスやリュウキュウコノハズクの捜索を兼ねてこちらから打って出てみようか。
 ということでブランドを離れ、ちょっと森の中を歩き回ってみることにする。

 アカ様の声を頼りに近づいていくのだが、すぐに「キョロッ キョロッ キョロッ」と鳴きながら遠ざかっていってしまう。向こうからはこちらが見えているようだ。こっちからは全然見えないのになあ・・・

 と、前方の路上に鳥らしき姿を発見。レンズ越しに覗いてみたらオオクイナの若みたいだ。
頭に蜘蛛の巣を張り付けまくっていていかにも身のこなしが未熟な感じがする。こちらがじっとしていると、おっかなびっくり歩きながら道を横断していった。

 ほかにはヒヨドリくらいしか見られず、諦めてブラインドの所まで戻ってくると、目の前を赤い矢が横切っていった。しまった!アカ様来てたのか!やべ〜飛ばしちゃったよ。

 とがっかりしながらブラインドに戻ると、まだもう一羽アカ様がいるじゃないか!よかったよ〜

 このアカ様もすぐ水浴びをはじめ、羽繕いをしたりして結構長いこと楽しませてくれた。飛び込みも狙ったのだがISO12800に上げてもまだブレブレ。第一ロクヨンじゃ近すぎて追いきれず、結局まともなカットはなし。まあまだ明日も明後日もあるから今後に期待しよう。

 一通り羽のお手入れが終わるとしばしマッタリ。

 同じところにずっと止まってくれたのでニコ1ででっかいのも撮ってみたが、でっかけりゃいいってもんでもないようだ。やっぱりこういうのはセンスが必要なんだろうなあ。

 

こうしてアカ様との幸せな時間をたっぷり過ごし、ちょっと気持ちがダレはじめてきたころ、上空をこの日朝一番の飛行機が轟音を立てて通過していった。そういえば前回もこの飛行機が「そろそろ撤収」の合図だったんだよな。時刻は午前8時半だ。でも今回は宿も近いし、あと1時間はいれるかな。

 どうもここら辺からアカ様達の行動がさらに活発になってきたようで、目の前に居るアカ様のほかにも周りから数羽の「キョロロロ〜」が聞こえるようになってきた。
それに対抗するように目の前のアカ様も「キョロロロロ〜」とやり始める。いいねえ。

  やがてその中の一羽の声が近づいて来ると、アカ様の様子がすごく落ち着かなくなってきた。そして気がつくとすぐ先にもう一羽のアカ様も登場!

 その縄張り破りの暴挙に耐えかねたアカ様は羽をバッと広げて威嚇を始めた(実は求愛ディスプレイなのかな?)

 どっちにしてもいいとこ撮れてよかったよ〜

 さらにキョロり続けるアカ様、これは動画のチャンス!と思いキョロるアカ様も撮ってみた。
あの声を聞くと宮古の森がよみがえってくるようだ。


 やがて近づいてきたもう一羽は森の奥へ飛んで行き、それを追う様に目の前のアカ様も飛んでいってしまい、この祭りも終了。あ〜面白かった。今日のところはこれで満足だな。

 と片付けを始めようとしたところにサンちゃんの若が飛んできたので最後に撮っておこうかとファインダーに入れると何だかずいぶん派手に見える。なんでだろ?と思ってよく見ると、なんだよ、派手な足環がついてるじゃないか。これじゃ興ざめだよなあ・・・

 アカ様に足環が付いてなくて良かった〜。ん?でもほんとについてないだろうな?と気になり画像をチェックしてみると・・・付いてるじゃないか〜! 

こっちもだ!止まり方によっては隠れてるけど、結構写りこんでるのもある。がっかり・・・
明日は固体を選ばないといけないな。しかし鳥撮りをここまで萎えさせる足環、おそるべし・・・

 
 とはいえ足環がないのもたっぷり撮れたので大満足ではあるんだよね。さあ、それじゃほんとに撤収だ。ブラインドをたたんで荷物をまとめ歩き出すと、森の中にたたずむアカ様発見。足を止めてファインダーに入れてみると・・・うん、こいつは足環付いていないようだ、良かった良かった(^^)

 最後に車の近くまで来た時、「ガララララァ〜」と言う声とともに飛んできたリュウキュウカラスバトを撮影。

これで一種追加してこの日の朝撮りは終了。楽しかった〜

前へ目次次へ

鳥見旅行記トップへ

inserted by FC2 system