ANAでホーチミンへ

 たいきの試験休みが始まった3月11日。
 思えば4年前のこの日、余震が納まらぬ中、不安な気持ちでたいきを小学校へ迎えにいったんだよな。

 あれから4年でかなり小生意気になったたいきを伴い、ORAT家はこれで最後になるかもしれない子連れ遠征へ出発。

昼過ぎのスカイライナーで成田空港へ向かった。

 まだ本格的に春休みに突入してはいないので空港もそれほど混んでおらず出国審査もスムーズに抜け出発ゲートに到着。

 ここでいつもならカフェコーナーに寄り、出発を祝して一杯やるところだが、この前タイに行った時の反省を踏まえて

今回は素面で通す。また離陸前に機内でトイレに行きたくて死にそうになったら困るからね。

 やがて搭乗のアナウンスが流れ飛行機に乗り込む。外はもうすぐ日が暮れそうだ。
  
 席に着いて一息つくと、たいきの後ろの席からやたらうるさい声が聞こえてきた。
どうやらベトナム人と思われる爺さんが、隣の奥さんに向かって怒鳴るような声でしゃべっているのだ。
演説でもぶってるのだろうか、なんか社会主義っぽい。やべ〜ここ失敗席かも・・・

 そのうち爺さんのテンションはどんどん上がって行き、
しまいにはたいきの背もたれをどんどん叩きながら演説をぶちまけ始めた。

 たいきを見るとめちゃくちゃいやそうな顔をしている。そりゃこんなのやられちゃたまらないわな。
こりゃ爺さんに一言いっとかなきゃいかんかな、と思っていたら、
程なくたいきは堪忍袋の緒が切れたようで背もたれに思いっきり肘鉄を食らわせた。

するとそれ以降爺さんはすっかりおとなしくなってしまい、以降やかましさに悩まされる事はなくなった。

 やり方には多少問題があるけれど、たいきはもう守ってやらなくても
自力でトラブルに対処できるようになったんだなあ、
と少々感心してしまう。

 そんなこんなで飛行機は平和に離陸。外はすぐに夕闇に包まれた。

 心配していた揺れもそれほどなく、これならたいきの飛行機恐怖症もちょっとは良くなるかも。

 それではまずはビールビール♪

 機内食、僕とたいきはチキンを選ぶ。照り焼き風味でご飯も付いてて美味しかった〜

 ひーこが頼んだのは魚料理。ソーメンがちょっとうらやましいけど当たりはやっぱチキンだったかな。

 ビールのお代わりはここぞとばかりにプレモルだ。

 食後は水曜どうでしょうを眺めていたのだが、いつもこの番組を寝しなに見ているせいか、
条件反射であっという間に睡魔に襲われ爆睡。


 気がつくともうあと1時間ほどでホーチミン到着のアナウンスが流れた。ベトナムは近いねえ。

 窓から見下ろすと真っ暗な地上にいくつもの四角い明かりが見えてきた。
その数はどんどん増えてゆき、まるで地面に光の川が流れているようなとても幻想的な光景になっていた。

 一つ一つの光は面で光っているので街並みではなさそうだ。かといって水田が残照で照らされているにしてはあたりが真っ暗すぎる。あれはいったい何なんだろう?これがベトナムの第1印象だ。なんだか暗くて暖かくて不思議な大地って感じだった。

 そして現地時間で午後12時過ぎ、飛行機は無事ホーチミンの空港に到着。果たしてベトナムどんなところだろう。
入国手続きをすませ荷物を受け取って建物の外にでるとすごい人の数に圧倒される。
空気は温かく湿っていていかにも東南アジアっぽい。そして新興国の熱気があふれている。

  さあ、ホテルまでの移動はどうするかな。そこらへんはまったく下調べもしていなかったし、
酔っぱらっていたし疲れてもいたので、客引きに言われるままワゴンタクシーに適当にに乗っちゃうことにした。

 しかしひーこたちはそんな適当なタクシーに乗って誘拐されたらどうするんだ〜と大反対。
でもどれが正しいタクシーか分からないし、いまさら断るのもめんどくさい。
 まあ大丈夫なんじゃね?とにかく疲れたから早くホテルに行こうよ、とそのままタクシーに乗り込んだ。
料金は前金制だからこれ以上ぼったくられることもないだろうからね。


そしてタクシーは真夜中のホーチミンを走り出すがこんな時間だってのに街は結構賑やか。
ただベトナム名物カブの群れはこの時間はいないみたいだ。

 やがて15分ほどで誘拐される事もなく無事今日宿泊するホテルに到着。

やっぱ心配するようなタクシーじゃなかったじゃないか。(しかし後で聞いたら相場の倍くらい取られたようだ。
くやしいが大した額でもないので忘れる事にしよう・・・でもくやしい!)

 今回泊まるのは川沿いの中級ホテルで部屋は中々小奇麗だ。僕は明日の早朝に独りでチェックアウトしてしまうが、
ひーことたいきはこれから3泊するホーチミンでの基地になる。いい所でよかったよ。
これなら僕も安心して鳥撮りに没頭できそうだ。

ただし冷蔵庫の中は空っぽ。これは買出しに行かなくては。

短パンTシャツクロックスの熱帯装備に着替えるとみんなで夜の街へ出撃だ。
首からFZ150をぶら下げフロントに立ち寄り近くのコンビニの場所を聞くと、すぐ裏に一軒あるらしい。

 でも夜に外を歩く時はそのカメラをしっかり持っていないとバイク強盗にひったくられるよ、と忠告された。
やっぱり大都市ってのは危険なのかねえ。

そんな事を聞いてしまってたいきとひーこは再び警戒モード。おっかなびっくり外に出るが川沿いの風はとっても気持ちいい。

それにこの異国にいる高揚感、たまんないよなあ。
こんな夜中だというのに街角では人がたむろっていて、クラブらしき建物の前には人があふれていた。

そんな少々怪しい感じもある裏通りを歩いていくと、程なく普通のコンビ二発見。
中にはちゃんとビールも売っていたので一安心。ついでに明日の朝ジュースとか
サンドウィッチとかミートパイとかの軽食も買って作戦終了。無事ホテルまで戻ってこれた。

若干ほっとしながらエレベーターで自分らが泊まっている階まで登ると廊下から前を流れる川が見えた。
これってもしかしてあの有名なメコン河なのかな。そういえばずいぶん大きいもんなあ・・・

 そしてこれが今回の戦利品。
これからベトナムでお世話になる代表的なご当地ビールは333と書いてバーバーバーと呼ぶのだそうだ。

べて飲んでシャワーを浴びたら明日の朝も早いのでとっとと寝る事にする。
たいきとひーこともこれでしばらくお別れだな。

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