始まりはプチぎっくり

 ホーチミンの朝が来た。この日は午前6時にガイドさんがロビーに迎えに来る事になっている。
みんなを起こさないようにこっそり支度をし、出発前の最後のトイレに入った時だ。
何をしたというわけでもないのだがいきなり腰に「ピキーン」と電撃が走った!
やばいやばいやばいやばいやばい・・・これは去年の夏に襲われたぎっくり腰の症状にそっくりだぞ・・・・

 とりあえずおちついておちついて。腰に負担をかけないように上半身を固定。うん、これなら前回よりは多少軽そうだ。
なんせあの時はトイレから立ち上がる事さえできなかったからなあ。

 なんて多少余裕をかましながら再び立ち上がろうとしたら・・・い、いたい〜〜(泣)
どうしよう、ひーこやたいきとも分かれてこんな状態でこれから3日間一人で生きていけるのか!?

 でも泣き言なんか言っていられない。折角ベトナムまで来たんだからこんなところで寝込むわけには行かないのだ。
もうすぐ待ち合わせの時間の午前6時、幸い動けないほどではないので何とか出かけなくては。

 レンズリュックを背負うなんてことはもうロープをつけずにバンジーやれって言われているようなもんなので、
スーツケース、カメラリュック共にコロコロモードにして、半ば杖代わりにする。

 ぐっすり眠っているひーこ達を起こさないように、出来るだけ腰に負担をかけないようにそーっと歩いてエレベーターに乗りなんとかロビーまでたどり着くと、そこには鳥見スタイルの若いお兄さんが待っていた。彼が今回ガイドをしてくれるThang君だ。

 自己紹介と共にこれからよろしく!と握手をしたら荷物をすべて彼に託し、とりあえず荷物運びの苦行からは開放された。
しかしこんな旅先でプチぎっくりになっちゃうなんて歳かねえ。もっと身体鍛えないとなあ、と痛感した。

 ちょっとバランスを崩すとすぐに腰にくるので出来るだけそっと歩いてホテルから出ると、
朝日に照らされたメコン川の前の道をベトナム名物カブがホーンをピーピー流しがなら激走していた。

 それでは送迎車に乗り込み出発!目的地はCat Tienという国立公園だ。
 ここから車で4時間くらいはかかるそうだが、それまでに腰がちょっとは良くなってくれていると良いのだが・・・

朝のホーチミンの街中はさすがカブだらけ!ベトナムに来たって感じがするな。

 このまま郊外へ一直線かと思いきや、車は街中をぐるぐる回っているみたいだ。
Thang君に聞くとどこかに寄って行くと言っているのだが、英語が流暢過ぎてよく分からない。
朝ごはんでも買っていくのかな?と思っていたのだが、到着したのはこのお店。
 
 ペット屋さんのようだが、店先にはバットに入った大きいのやら小さいのやらの芋虫やコオロギなんかが
ずらっと並んでいた。正直言ってきもちわりい・・・その虫達を次から次へとお客さんがやってきて買っていく。
こんなに需要が多いなんてちょっとビックりだ。しかしコオロギなんて何の餌にするんだろう・・・


 ここでThang君も小型芋虫をバット一杯購入、Pitta用らしい。それでは芋虫と共に再び出発!

 車は街中を抜けてホテルの前を流れていたメコン川沿いに走って行く、と思ったがThang君によると、メコン川じゃなくて
これはサイゴン川だそうで・・・きっと今でもメコン川だと思っているひーこ達に明後日会ったら教えてあげよ。

 このホーチミンは旧サイゴン。今回Thang君の会社とメールでやり取りしている時も、「サイゴンのホテルに
ピックアップに行きます」とのくだりがあり、うちらが泊まるのはホーチミンだけどどうしよう?と困った事があった。
今ではホーチミンでも中心部の事はサイゴンと呼ぶそうだ。

 ホーチミン近辺の鳥撮りスポットを聞くと、今見えているサイゴン川の対岸が保護区になっていて
結構いろいろ見れるらしい。確かに木がいっぱい茂っていて良さそうな感じだ。

 郊外に抜けると市内の大混雑はなくなり、広いハイウェイを結構なスピードで走れるようになった。
途中渡った川には筏の上に載った家が沢山浮かんでいたが、水上は不法住居にはならないんだろうか?

 腰はシートに背中を密着させている限りjはあまり痛みを感じず一瞬直ったような気がするが、
ちょっと姿勢を変えたりするとやはりズキッとくる。一時的な痛みではないみたいだ。この先が思いやられるなあ・・・。

やがて車はハイウェイを降り、一般道に入る。道路沿いには東南アジアの田舎的な町並みが続いていく。

 ベトナムは北部と南部でかなり気候が違うそうで、北部には四季があり冬場は結構寒く、
南部は熱帯気候で雨季と乾季に分かれるという感じらしい。

 ならば寒いこの時期は南部に移住する人も多いんじゃない?と聞くと、確かに南部に移住してきた人は多いらしい。
 でもそれはベトナム戦争で住む場所がなくなった人たちで、今走っているあたりもそんな人たちが作ったんだそうだ。

ここら辺も一時は枯葉剤で森がなくなってしまったが、そんな所に町が出来てたとのこと。
そんなベトナム戦争の名残も実際あるんだなあ。活気あふれる街並みを見ていると全然そんな感じしないけれど・・・

 やがて街並みも途切れがちにになり、道の横に川が見えてくる。

そしてまもなくCat Tienのゲートが現れた。
時刻は10時過ぎ、なんだかんだでホーチミンから3時間半位の道のりだった。

そのすぐ先で道は川に突き当たる。ここが終点、川の向こうがCat Tienらしい。

 車から降りて腰を伸ばすと少々痛みはあるが何とか歩けそう。
 Thang君が管理事務所に行って入園手続きの書類を持ってきてくれたのでパスポートナンバーなどを記入して提出。

川岸には飲み物やお菓子を売っているちょっとした売店と入園管理事務所があるだけだ。
真夏の強い日差しが照りつけ汗がにじんでくる。

 鋭い声がするので声の主を探すとチャガシラハチクイが止まっていた。とりあえずFZ150で一枚。今回初の鳥撮りだ。
その後もっとちゃんと撮ろうと思いカメラバッグから80-400mmを取り出そうとするとパキ〜ンと痛みがやってきて、
それに耐えている間に飛ばれてしまった。少々ぶり返してしまったか?


 しばらく待っていると対岸から渡し舟がやってきた。ここは率先して荷物を運びたいところだが、
こんな体調だ、今日の所はおとなしくThang君達に任せる事にする。申し訳ないねえ。

 うちらが乗った所で舟は出航、穏やかな川面を涼しい風が渡ってきてとても気持ちいい。
そして2〜3分ほどで対岸に到着。これから3日間過ごすCat Tien、果たしてどんな所だろうか。非常に気になる。

 舟を降り上陸すると、舗装した広めの道が左右に広がり、芝生の周りにいくつもの建物が点在する
中々立派な集落という感じの区域になっていた。地図があったので一応撮っておく。

 この時間はまだ部屋に入れないそうなのでとりあえず管理事務所に向かう。
電柱があるってことはちゃんと電気も通っているんだろう。そこの所は一安心。

事務所で荷物をを預かってもらい、撮影機材をセットする。
三脚にロクヨン、D4のセットと肩掛け鞄には新兵器D810とテレコン、それに首からはFZ150を提げる。
果たして三脚担げるか!?と恐る恐る肩を入れて持ち上げてみると・・・

うん、何とかなりそう。

 それではいよいよPittaを探しに出発だ!と意気込んだものの、まずはレストランで何か食べるそうだ。
そういや朝から何にも食べてなかったなあ。

 事務所からちょっと歩いた先のレストランがこちら。ここまでは無事三脚を担いでくる事ができた。

中はこんな感じ、大きな扇風機がブンブン回っている。壁の色使いがなんとも東南アジアっぽいね。

ここではアルコール以外は何を飲み食いしても料金に込みということなので、やっぱりベトナムといえばこれ!
の牛肉入りフォーとコーラを頂く。さすがにまだ一度も鳥見していないのにビールってわけにもいかないからな。

う〜ん、フォーって薄味(^^;

でもとりあえずお腹は膨れたのでいよいよPittaに会いに出撃だ!

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