2007年1月1日〜1月8日 クラビサバイバル?


2007年1月6日 奇跡の生還。ガソリンくらい入れとけよ〜!

 モラコットの分までぐっすり眠り、目覚めは爽快。昨日の雨も上がっているようだ。
日の出前の6時半にロクヨンの入ったリュックと三脚を担いでフロントに行くとスタッフがいたので、キーをもらい今日借りるバイクを教えてもらう。
 貸してもらったのはここら辺でオーソドックスな100ccくらいのかご付きスクーターだ。バイクに乗ることも事もあるだあろうと思い、日本から一応持ってきていた半キャップのヘルメットを被って出発!とりあえず昨日来たのとは反対方向にバイクを走らせる。ランタ島の事なんて全然わからないので、まずは鳥ポイントを探さなくては。

 まだ涼しく日も出ていない早朝の道を気分よく走っていくが、道沿いは市場があったりホテルがあったり、サッカーグラウンドがあったりで熱帯雨林とは程遠い。果たしてどうしたものか・・・

 そのうち道は上り坂になり、峠を越えると島の向こう側に出た。このままメインロード沿いを走ってもあまり期待できそうもない。坂を降りきったあたりにわき道があったので、そっちに行ってみる事にする。しかしこちらもなんだかジャングルっぽい感じではなく農耕地が続いていた。時折集落があり、朝ご飯を作っているらしい煙が上がっている。

右手に大きな池が見えてきたので、近づけそうな細い道を見つけ、入っていった。
 池の際までたどり着くと、バイクを止めている先客がいる。 地元のおじさんと小学生位の子供の2人連れ、じっとこっちを見ている。もしかしてこの池の持ち主だろうか?
 不審者と思われても困るので、とりあえず「サワディ、カップ」と挨拶をするがじっとこっちを見るばかり。子供もこっちを凝視している。なんか雰囲気わるいかも・・・やっぱ三脚が怪しいかな。
 鳥の写真を撮っている事を英語で説明しようと試みるが全然通じない。
 身振り手振りでコミュニケーションをとろうとしていると、おじさんがいきなり動いた。
バイクの荷台にくくりつけられていた荷物を取り外している。もしかしてこっちを無視して作業を始めちゃうのかと思ったら、その荷物をこっちに持ってきて、向こうもなにやら説明を始めた。どうやらおじさんの荷物はカニを捕るカニ籠のようで、中に魚の切り身を入れてこの池に沈めるらしい。おじさんも身振り手振りで一生懸命説明してくれるのでなんだか嬉しい。
僕もカニの真似をして「OK!」というとおじさんもニコッと微笑んでくれた。異文化コミュニケーションしちゃったなあ。
カニ捕りの邪魔になってもいけないので「コップンカ〜」のご挨拶をして池を後にする。

道路に戻りちょっと進むと枯れ池があった。どうやらここら辺は湿地帯のようだ。
人気もないので路肩にバイクを止めちょっと覗いてみると、インドトサカゲリが草の生えた枯れ池の池床に群れていた。ランタ島初の獲物だ。接近のため池の土手を降りてみるが池床はすっかり乾いているので歩くのに支障はない。
そーっと近づいて撮影。まだそれほど明るくないのになんかSS早いな〜と思ったら、なぜかISOが1600になっていた。しまった〜 あわてて感度の設定をしなおすうちに、やはりインドトサカゲリの群れは飛んでしまった、ガックリ

なんだかここいら辺はちょっと鳥の気配が濃そうなので、しばらくそこら辺をウロウロしながら鳥を探し、シマアカモズだろうか、グレーのモズとキセキレイっぽい鳥を見つけた。

そのうち遠くから「キョロロロロロロロロ〜」とショウビン系の声が聞こえてきた。声のするほうに近づいていくと、クリークをはさんだ向こう岸の木にアオショウビンが止まっている。何とか近寄りたいのだが、クリークの岸辺はかなりぬかるんでいてちょっと渡るのは難しそうだ。アオショウビンはこちらが近づけないのを知っているのか、しばらくこの枝でのんびりしていた。


アオショウビンのキョロ声を聞きながら、ボディーをMk2から20Dに取り替えてちょっとでも大きく撮ろうと試行錯誤していると、別の方向からさらなるキョロ声が聞こえてきた。声の方向を探すと、もう一本のクリークを挟んだ向こう側の荒地に生えた木のてっぺんにヤマショウビンが止まっているのを発見。
相手がヤマショウビンとなると、ぬかるんだクリークなど気にしてはいられなくなってしまう。

三脚を担いだまま土手を降り、川岸に足を踏み入れる。思ったとおりぬかるんでドロドロだが、こんな事もあろうかとダイビングブーツを履いてきたので靴が脱げる心配はない。
いままでの経験では、こういうドロの流れでは水が流れ込んでいて砂利がたまっているところは意外と下がしっかりしていた。ここも川筋は小石がたまっていて泥が流され地面は硬そうだ。
川まではほんの数メートル、そこまで行ってしまえば大丈夫だろうと思い、無理して先に進んだのがいけなかった。
なんとかたどり着いた川底はさらにドロドロだったのだ。足はひざ上まで泥にもぐりこんでしまい身動きが取れなくなってしまった。しかたないのでもと来た方へ戻ろうと、なんとか片足を引っこ抜くが、そのせいで軸足はさらに泥にもぐりこんでしまった。なんかやばそう・・・・

取り合えず気持ちを落ち着けて方向転換をして足を抜こうとするが、足の力だけではどうにもならない。
とりあえず両手をフリーにするため三脚とレンズを手の届く範囲で出来るだけ岸に近い方に置く。さすがにロクヨンと三脚だけなら沈まないようだ。
そして嵌っている足を両手で抱えあげるようにして引っこ抜き一歩先へ踏み出す。こうすれば軸足に体重をかけなくても済みそうだ。さらにもう片足も両手で引っこ抜き一歩先へ。
三脚の所まできたら再びできるだけ岸の方へ移動させ、さらに一歩、とこれを繰り返しなんとか脱出。全身泥まみれ、三脚も泥まみれだがとりあえず生きてて良かった〜
今から考えるとマングローブの泥寧地帯と違って人工的にV字に切り取られたクリークだから、川の流れる最深部には泥がたまって当然だよな。これからはこういうところには足を踏み入れないようにしよう。

相変わらずヤマショウビンはさっきのところにいたのだが、もうこのクリークを渡ろうなんて気持ちはどこかに行ってしまった。
ここは心機一転、新たな場所を開拓したほうが良さそうだ。バイクに戻ってちょっと移動だ。

カメラをリュックにしまうのもめんどくさいので、ロクヨンをストラップでたすきがけにし三脚はかごにつっこみエンジンをかける。ん?なんかかかかりが悪いなあ。一応ガソリンをチェックしてみると・・・・なんか針が一番下まで来てるんですけど〜(泣)
出発時にガソリンチェックなんかしなかったんだけど、ホテルからここまで30分くらい走っただけでいきなりガソリン全部なくなるほど燃費が悪いわけないだろうし、明らかにガソリン入ってないのを貸されたに違いない。
普通レンタカーは満タン貸しの満タン返しだろ〜!タイは違うの〜?

幸いしばらくセルを回したらエンジンがかかったので、とにかく来た道を戻る事にする。
はたしてこれからあの峠を越えてホテルまで帰りつけるだろうか・・・
来る時にガソリンスタンドがあったのは見かけたけど、バーツの現金なんて持ってこなかったよ。ってことは本格的にガス欠になったら押して帰るしかないな、最悪だ〜

 集落の中を通ると子供達がものめずらしそうにこっちを見てる。そういえばあまりのショックにロクヨンをたすきがけにしたままだったの忘れてた。その村の中の高い木にカワセミ系のシルエット発見。もうガソリンの事でじたばたしてもしょうがないのでこいつも撮っておこう。バイクを路肩に寄せるとアクセルを戻しただけでエンジン停止、やな感じだ。
木は民家の前に立っていて、そこでは朝ご飯の支度中のおばさんが胡散臭げにこっちを見ている。とりあえずにこやかに「サワディカップ」でご挨拶しておいて、三脚にロクヨンを装着。逆光で撮るには厳しい感じだかアオショウビンだった。
すぐ下で村人がうろちょろしているのに全然気にする風でもなく佇んでいた。そのうちさっきの子供達が寄ってきたので手招きしてファインダーを覗かせてあげると、みんなさきをあらそって覗きだした。子供の相手をしてあげると周りの大人もちょっと気を許してくれるようだ。さっきの炊事中のおばさんもこっちを見てニコニコしてるので、アオショウビンを指差して「バッカン」というとうなずきが返ってきた。タイ語が通じて嬉しいな。

アオショウビンはいつまでたっても動く気配がないので、子供達に別れを告げてまたエンジンスタート。なにかいないか注意しながらゆっくり走っているとすぐにエンジンが止まってしまう。やばいよな〜。
 しばらくいくと荒地の電線にハリオハチクイが止まっているのを見つけたが、今度も逆光だし曇り空なのでぜんぜん絵にならない。時間はもう8時だ。もしかして途中から押して帰らなきゃならないことを考えるとそろそろ本格的に引き上げた方が良さそうなので、このハリオハチクイを最後にレンズをリュックに仕舞い、本格的に帰路に着く。

 あまり回転をあげるとガソリンの減りが早そうなので、時速30kmほどをキープしてちんたら走り、峠の上り口まで着いた。
さあ、ここからの登りさえしのげれば後はなんとかなるだろう。頑張れスクーター! 出来るだけアクセルを開けないようにゆっくりゆっくり登り始めるが、なんだか開けても吹け上がらない感じがする。しかし意外と頑張ってくれたスクーターは峠まで登頂成功!ここからはエンジンを切って惰性で坂を下った。

 坂を折りきって再びエンジンをかけ、ちんたら走行開始。一応走ってはくれるがなんかのきっかけで回転数を下げるとすぐにエンジンストールしてしまう。ガソリンメーターを見ると、針は一番下にくっついちゃって車体を振っても動かないし、タンクからのチャポチャポ音もほとんど聞こえてこない。どうか最後まで止まらないでくれ〜と念じつつ、やっとホテルが見えてきた時には心底ほっとした。
そしてホテルのゲートをくぐったとたんエンスト、もうセルを回してもエンジンがかからない。ヤバかったよ〜、ホントにぎりぎりセーフだったようだ。良く帰ってこれたもんだよ。

 バイクを止め、フロントに行くと池脇千鶴似の姉さんがいたので「ガソリン全然入ってないじゃないか!」と文句を言うと、あやまるでもなく平然と「ガソリン代はレンタル代に含まれていない」と言う。そういうことじゃないだろが!とにかく今借りてるバイクはガソリンすっからかんだから他のバイクに変えてくれ!というとガソリン自分で入れてこいと行ってガソリンスタンドの場所を教えてくれた。?なんかいまいち話が通じてない?

そして10分後、知りうる限りの語彙を総動員してやっとなんとか話が通じ、池脇千鶴はしぶしぶ、ってかかんじでバイクの交換を了承してくれた。なんか気分悪いなあ・・・・

 

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