2008年2月9日〜2月17日 たいきバリ島ふたたび

2008年2月13日 ヒメアオカワセミ初遭遇

 トッケーの襲撃により寝たんだか寝なかったんだか解らない夜が開け、いよいよ本格的にバードウォッチングのガイドをしてもらう朝が来た。

 眠い目をこすりながら三脚を担いでフロントに行くとすでに準備万端でJarotさんが待っていた。
今日は歩きで海の方まで行ってみる予定。目標のヒメアオカワセミは海辺のマングローブ林にいるらしい。
外はまだ薄暗いが張り切って出発だ。

 空の雲は多めだが、雨は降らなそうだ。まあまあバードウォッチング日和かな。
歩き出してまずJarotさんが見つけてくれたのがハイイロオウチュウ。逆光で黒くしか見えないが、彼が「ハイイロ」と言うんだからハイイロオウチュウなんだろう。

 道沿いではいたるところでアオエリヤケイがガサゴソやったりクヮックヮッっと鳴いたりしているが、撮影するのは難しい。警戒心が強いんだな。ゴシキドリ系の「コッコッコッコッ・・・・」というちょっと間の抜けた感じの声もよく聞こえてくる。

 そして今日もソデグロムクドリ登場。木の上にじっと止まっていてくれたのでボディーをデジスコシステムに取り替えてドアップを狙ってみた。しかしこの鳥、珍しいと言う割りによくいるな。自分の中での貴重度はかなり下がってきたぞ(^^;

 Jarotさんは今日も絶好調。かなり遠くの木にいる鳥を見つけてくれるが、ブッシュが邪魔してなかなか近づく事が出来ないため、鳥との距離はかなり遠めだ。こういう状況ではデジスコが良いんだろうが、一眼を使ったシステムは逆像になる上倍率が高すぎて鳥をファインダーに入れるのにめちゃくちゃ苦労する。普通のスコープを使ったデジスコシステムが欲しくなっちゃうなあ。
 森の中からはナンヨウショウビンの声も聞こえてくるしコウライウグイスやムネアカアオバトの姿も見える。ズアカミユビゲラ
を初めて見たが、とても綺麗な鳥で、木の幹にその姿を見つけたときは興奮してしまった。

 でも今回の目的はあくまでヒメアオカワセミだ。バードウォッチングツアーのアトラクションとしての時間は2時間なので、早く海に行かないとヒメアオカワセミを探す時間がなくなっちゃうよ。
それとなく海までの距離を聞くと「ここからだいたい2km位かな」 まだ結構あるんだねえ。

 とにかく早くヒメアオが見たいのでちょっと飛ばし気味で誰もいない森の中の道を進んでいくと、道が徐々に下り坂になり遠くから波の音が聞こえてきた。そして最後の急な下り坂を下りると小さいビーチに出た。
いよいよヒメアオカワセミの世界だ。Jarotさんと2人、足音を忍ばせて辺りをうかがうが、今のところヒメアオの気配はないようだ。

 浮き桟橋があったので、沖のから陸地の方のマングローブに居るかもしれないヒメアオを探すがここでも気配はない。結局桟橋で見られたのはササゴイとオオアジサシの若鳥が2羽、それに沖のほうで胸まで水に浸かって釣りをしている親子だけだった。

ササゴイ 地元釣り師の親子 オオアジサシ

 次に桟橋の根元まで戻り、マングローブの中のボードウォークを歩いてみる。
 この一帯には「マングローブガゼボ」という宿泊施設がある。シャワーとトイレは外の共用施設を使う、日本で言うバンガローみたいなものだろうか。しかし中はちゃんとベッドメーキングされたベッドと小さいテーブルがあり小奇麗な感じ。電話もあるのでルームサービスとかは受けられるらしい。

一方正面こそガラスが入っているが、壁は網戸があるだけで床下は満潮になると波が打ち寄せてくるので部屋までびしょ濡れになるんじゃないかというえらいワイルドな環境だ。なんだかアンバランスな感じだが、こういうの西洋人には結構人気があるらしい。そういうガゼボがマングローブの林の中に点在していて、それをボードウォークがつないでいるのだ。

 海は見えないのでヒメアオは期待できないがの林の中でハナドリ?(Jarotさんはタイヨウチョウって言ってたけど・・・)やヒメコノハドリを見かける。
 Jarotさんはさすがマングローブの専門家と言うだけあって、マングローブの解説となると水を得た魚のようだ。
色々レクチャーしてくれたが専門用語とか多い様で、僕のつたない英語力じゃ半分も分らなかったけど、マングローブにはすごく沢山の種類があって、ここらへんにあるものでも実が鞘状のものとリンゴのような形のものがあるってのはわかった。実物を見せてくれたが、ほんとにリンゴの実の形をしてるやつもあるんだねえ。でも肝心のヒメアオはどこだ〜

ワイルドなマングローブガゼボ ハナドリ?
ヒメコノハドリ マングローブの中のボードウォーク

ボードウォークを抜けるとウッドデッキがありその先には砂浜が広がっていた。潮は引いていて、リーフが顔を出しており、イソシギが歩いていた。

砂浜はしばらく行くとがけでさえぎられていて、その先には再び砂浜とマングローブの森が広がっている。がけの手前には、上に出られる迂回路があったので、そちらから崖の上に出るとそこはヘリポートだった。
VIPはここにヘリコプターで乗りつけるそうだ。
そういえばパンフレットに水上飛行機でデンパサールからここまで来るってオプションがあったけど、飛行機はどこに降りるの?と聞くと、ムンジャンガンリゾートで持っていた水上飛行機はもう売っちゃったんだそうだ。どこも大変なんだねえ。

 そんな話をしていると、どこからかカワセミ系の「チーチー」と言う声が聞こえてきた。Jarotさんは良くわからないみたいだが、確かに風に乗って遠くから鳴き声が聞こえてくる。すると急にJarotさんの動きが止まり「Kingfisher!」と鋭く叫んだ。同時にうちらが来た方からコバルトブルーの鳥が海岸線に沿って飛んできた!ヒメアオカワセミだ!

 飛んできたヒメアオは、ヘリポートから見下ろせるマングローブに一瞬止まったものの、レンズを向ける間もなくさらに先のほうへ飛んでいってしまった。くやし〜
しかしその色は目に焼きついている。全身がカワセミの背中のコバルトブルーに光り輝いていてめちゃくちゃ綺麗だったなあ・・・

 Jarotさんと相談してしばらくここで待ってみる事にして、持っていた迷彩ネットをかぶってみるが、二人で入るにはちと狭い。5分ほど我慢していたが、ヒメアオの声はマングローブの向こうから聞こえるもののこっちにやってくる気配はなさそうなので移動する事にする。
ヘリポートの先の崖を苦労して降りるてマングローブの林の中に入ると、奥のほうからヒメアオの声が近づいてきた。
どきどきしながらじっとしていると、ついにヒメアオは見えるところに止まってくれた!

逃げないで〜と心の中で叫びながらなんとかファインダーに入れシャッターを切る。やった〜!
一連写しただけで飛んでいってしまったが、どうにかヒメアオ撮ったど〜!欲を言えばもうちょっと大きくきっちり撮りたかったけど。

 Jarotさんも隣で大喜びしてくれていたので、今撮った画像を見せてハイタッチして喜びを分かち合った。
 ここからJarotさんのヒメアオスウィッチが入ってしまったようで、今まで深入りしようとしなかったマングローブの林の中を泥だらけになりながら進み始めた。
 足はマングローブの根っこがあるところに置くようにすれば沈まないと教えてもらい、Jarotさんが通った後をトーレスしていった。 三脚に付けたロクヨンを担いだまま密生する木の間を歩くのは難しいので、三脚はJarotさんが、レンズは僕が抱えて中腰になって進む。時折ヒメアオの声がするので、声を頼りにマングローブの中をさまようが結構きつい。いつの間にか全身泥だらけになっていた。

 しかし努力の甲斐なくこの間ヒメアオは2度ほど通過しただけで、いい場所に止まってくれる事はなかった。
まあさっき一応撮れてるし、これはこれで探検っぽくて楽しかったな。

 マングローブ地帯を脱出してへリポートまで戻った時にはもうスタートから3時間以上経っていた。Jarotさんに「時間オーバーしちゃってごめんね」と言うと「全然問題ないよ、それより撮れて良かった!」と喜んでくれた。いい人だ。

 そして無線を使って本部となにやら交信すると、さっきのガゼボに向かって砂浜を歩きだした。これから歩いて帰るのは大変なので、ガゼボの所までダブルデッカーに迎えに来てもらうそうだ。それは助かるな〜

 ウッドデッキに着いてお迎えが来るまで待っていると、砂浜の木にナンヨウショウビンが飛んできた。ちょっと距離があったのでデジスコシステムに切り替えて撮影する。するとそこにアマツバメが飛んできた。ナンヨウショウビンは迎撃に飛び立ち、空中で交差。「バチン」と言う音が聞こえたと思ったらアマツバメが落ちてきた。ナンヨウショウビン強いな〜

 砂浜で動けなくなってしまったアマツバメをJarotさんが拾ってきて、骨が折れたりしていないか調べたが、目だった傷はなさそうだ。こうやって手で持っているのを見ると意外と大きいんだなあ。そのうち手の中でもぞもぞ動き出したので地面に下ろしてあげるとちょっと羽ばたいたあと、自力で飛びさっていった。ショックを受けただけだったようだ。たいした事なくて良かったねえ。

勝者 ナンヨウショウビン 敗者 アマツバメ

しばらくするとお迎えのダブルデッカーがやってきた。2階席に上ってほっとしながらモンスーンフォレストヴィラに向かうが、帰り道の途中でもナンヨウショウビンやタカサゴモズが現れ、そのつど車を止めてもらって撮影させてもらった。

   

 モンスーンフォレストヴィラに戻るころには雲も取れ、晴れ間が広がってきた。今日も午前中いっぱいは天気がもちそうだ。Jarotさんにお礼を言ってみんなが待つ部屋に戻る。やばい、また戻る予定の時間より1時間遅れてた・・・

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