2008年7月8日 恐怖のゴマモン 巨大エイの逆襲

 さあ、ご飯も食べたし、まだいまいち潮は引ききっていないけど海に入ろうかな。
 この仲本海岸、10数年前初めて石垣島を訪れた時、一緒に潜ったダイバーに「黒島の仲本海岸はいいよ、スノーケリングでナポレオンが見られるからねえ」なんて聞いていて、一度は行ってみたいと思っていた場所だった。

 どんなに綺麗な場所なんだろうと期待して海に入ったが、かなりにごってる。透視度5mと言った所だろうか。
やっぱりもうちょっと潮が引かないとだめなのかな。海底には水草が茂っていてサンゴもあまり見あたらない。

 潮が引いている時、このあたりは多分水深1mもないんだろう。でも今ここらへんで水深2mはある。となるとサンゴに到達するためにはかなり沖の深いところまで行かなきゃならないだろうから、一度岸に戻って出直そうかな、と考えながら泳いでいると、向こうの方から黒い影がこっちに向かってやってきた。にごっててよく見えないけどなんだろう?
距離が2mほどになったあたりで、その姿がぼんやり見えてきた・・・
げげっ!ゴマモンガラだ〜〜!!しかもでかい!!


ここでこの魚について説明しておこう。
Wikipediaから抜粋させてもらうと
『ゴマモンガラというのはモンガラカワハギ科で最大の種で、体長約75cmまで成長する。英名は
ギリシアローマ神話タイタンに由来し、その巨大さから名付けられたものである性質は荒く、特に繁殖期には攻撃的になって、巣に近づいた場合などに人に向かってくる。鋭い歯を持ち、噛まれると外傷を負うこともある。また、鰭にも棘がある。』
ということで、要するに大変極悪な魚ってこと。

 で、そのゴマモンがこっちに向かって泳いでくるのだ。そりゃもうギャ〜ですわ。ウエットスーツの上からも歯形が残るくらい激しく咬むらしいし、だいたい今はそのウェットスーツすら着ていないし・・・だいいちたいきが咬まれたりしたら大事だ。

 隣で明後日の方を見ていたひーこに「ゴマモンだ〜」と一言警告すると、
たいきの背中に腕を回し、ゴマモンが来たのとは逆方向に猛ダッシュする。もう恐怖のズンドコで後ろなんて振り向いてられないが、ひーこも気配を察したらしくバシャバシャ付いてきているようだ。


恐怖の極悪ゴマモン

50mほどダッシュしただろうか、さすがにもう大丈夫だろうと思い泳ぐのを止めた。あ〜づがれだよ〜ひいこも追いついて、「ゴマモン?」と聞くので「やばかったよ〜」とかいいながら水中に顔を突っ込み、今逃げてきた方を見てみると、またもや向こうの方から黒い影が・・・ギャ〜!ゴマモンだ〜〜〜!
あいつ追っかけてきやがった〜(泣)ふたたびたいきをつかんで猛ダッシュで逃げる!もう頭の中は真っ白だ、怖いよ〜〜
 
 そしてふたたび50mは泳いだだろう。さすがにもう大丈夫だろうと思い泳ぐのをやめて振り返る。黒い影は見えない。
 でも念のためもうちょっと離れておこうとすると、ひーこは「ゴマモンの縄張りは100mくらいだからいくらなんでもここまでは来ないよっ」
なんて知識をひけらかし余裕をかましている。ここらへんでスノーケリングを再開するというひいこを置いて、僕とたいきは怖いので、もうちょっと浅場に向かってゆっくり泳ぎだした。あ〜つかれた。足がつりそうだよ。

 しばらく泳いで行くと、後ろから来たひーこがえらい勢いで僕らを追い越していった。もしかしてゴマモン?!
後ろを見るとあの黒い影がシッポをフリフリやってきた!やっぱまだいたじゃないか〜。もう泣きそう。

 たいきも事態が飲み込めたらしく、一緒に猛ダッシュしてひーこに追いつき、そのままひざ位の深さの浅場に逃げ込んだ、さすがにこれでもう大丈夫だろう。それにしてもめちゃくちゃ怖かったよ〜。

 立ち上がって周りを見回してみると、ゴマモンから逃げ回っている間に潮が大分引いてた。
さっきまでほとんどいなかった海水浴客もちらほら泳いでいる。他の人の姿を見かけるとなんかほっとする。だってゴマモンのターゲットがうちらだけじゃないって事だからね(^^;
 ゴマモンがいたのとは逆の、人が多い方に泳いでいくと、サンゴの根の間に砂地が谷のように続く、馴染み深いサンゴの海岸になってきた。しかしここのサンゴも思っていたほど綺麗じゃなくて、表面が藻に覆われているものがほとんどだ。たまに生きている青い枝サンゴもあり、昨日の米原よりはマシだけど、去年の米原の方がはるかに綺麗だった気がするなあ。

 さっきの恐怖からまだ立ち直る事ができず、岸近くでたいきと漂っていると、白人の彼氏と一緒に来ていたおねえさんが、僕の水中ストロボ付きハウジングをみて「さっき向こうの方にこ〜んなに大きいエイがいましたよ。全然動かないんで、もしかして死んでるのかも知れないけど」と言って詳しい場所を教えてくれた。
大きなエイか。まさかマンタはいないだろうけどなにかなあ?面白そうなので行ってみよう。

 米原では見つけられなかったクマノミが、ここでは結構見つかった。海の状態はこっちの方がちょっとはいいのかな。
魚の写真を撮りつつも、万が一ゴマモンの襲撃があってもすぐ避難できるように後ろに気を配り、できるだけサンゴの根の上を泳いで教えてもらったエイポイントあたりに到着。

 潮位はすっかり浅くなり、サンゴの根の上は水深50cmくらいしかない。そんな中にところどころ、直径5m、水深1mほどのプールが取り残されていた。いるとしたらこういう所だろう。中でも比較的大きめのプールがあったので中を泳いでいくと、岩陰から自転車のタイヤのチューブのようなものが出ている。なんだろう?と思ってその先を目で追うと、砂をかぶった黒くて巨大で平たいものが海底に落ちていた。これがエイの正体か?って言うよりまさにエイだよ。アカエイっぽいな。
確かに動かないし、うっすらと砂がかかってるうえ、表面の粘膜もただれてるっぽくて死んでるみたいに見える。大きさはシッポ抜きでも1mはありそうだ。

そっと近づいてみると、微妙に位置を変えているので、一応生きてはいるらしい。近寄ってストロボを炊いて撮影していると、エイはめんどくさそうに他所を向いてしまう。

アカエイはシッポの棘に毒があるし、かなりでっかい相手だけど、これだけ動きが鈍いとなんかこちらもゆとりが出てくる。

このプールを囲んでいるサンゴの根の上の水深は、引き潮がすすんですでに30cmもないんじゃないだろうか。これじゃあの巨体でプールから出る事もできないだろうから撮り放題だ。ワイドコンパーターをつけて、ストロボの光量を調節したりしながら撮影を続けると、エイはよっぽど鬱陶しいようでサンゴの下に頭を突っ込んでしまった。体は大きいけど意外と気が小さいヤツなのかな。さっきのゴマモンとはえらい違いだ。

 しかし調子に乗って近くをウロウロしすぎたのがいけなかったのだろうか、その直後、我慢の限界を迎えたらしいアカエイは巨体を翻しこっちに向かってきた。コエ〜〜〜!あわてて後ろに下がろうとしたがサンゴの根が邪魔をして逃げられない。しかしアカエイは肝を冷やしまくっている僕ので反転し、すぐ目の前をすり抜けると、サンゴの根の上を通ってお隣のプールに引っ越していった。あ〜ビックリしたシッポに刺されなくて良かったよ。

 根の上で遊んでいたたいきも、足元の浅い所をでっかいエイが泳いでいってすごくびっくりしたそうだ。
まさかこんな浅い所にあんなでっかいのが泳いでいるとは思わないもんね。

 水位はさらに下がって、浅い所は泳ごうと思ってもお腹を擦ってしまって泳げなくなってきた。
岩の上に立ち上がってみると、黒っぽい珊瑚の間にぽっかりと開いた穴のように、所々エメラルドグリーンの砂地が見える。あのどこかにエイは引っ越したんだろうけど、あまりしつこくしてると本気で刺されそうなので、深追いは止めておこう。

 珊瑚の根の所ではもう泳げないので根と砂地の境目辺りで遊んでいると、さっきより一回り小さいゴマモンが辛うじて見えるくらいの距離で餌を探していた。幸いこっちには興味ないみたいだけど、触らぬゴマモンにたたりなし。そっと迂回して、見えなくなるとこまで退却。
深めで開けている砂地はゴマモン好みなんだろう。そういう場所は今後気をつけなくちゃ。

 再び平和を取り戻した海の中でなんか綺麗な魚がいないかな〜と根の下を覗き込んでいると、ひーこが肩を叩く。もしかしてまたゴマモン!?とびびったが、そうじゃなくてコブシメがいるらしい。こんな浅場に?
ひーこに連れられてその場所に行ってみると、確かに上手い事海草に擬態した30cmくらいのコブシメが海底でじっとしている。これは言われなきゃ気付かないな。ひーこは良くわかったねえ。
まずは1枚撮って、さらに近づきもう1枚撮ろうとしたら、コブシメはいきなり真っ黒になり、墨を吐いてすごいスピードで逃げていった。あの早代わり、まさに忍者のようだったなあ。

 コブシメも見れたし、ゴマモンも怖いし、さんざん泳いだし、帰りの車の時間もあるので、そろそろ海から上がって着替えようかね。

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