2008年7月11日 最後の夜

 部屋に戻ってシャワーを浴びるともうすぐ日没だ。このまま部屋でダラダラ晩御飯の時間を待つってのも味気ないよなあ。
試しにたいきに「釣りに行こうか?」と聞くがやっぱり嫌だそうだ。まあ昨日あんな事があったんだからいたしかたないだろう。

 それじゃ毎年恒例の橋まで夕日を見に行く会ってのはどう?と提案するがひーこはやっぱり飲んだくれてる方が良いという。冷たいヤツだ。それを何とかなだめすかして、ビール片手に昨日の橋のところまでみんなで出かけた。

背後には野底マーベーが夕日に照らされ、マングローブのジャングルにはアカショウビンの声が響き渡っていた。ビールを飲みながら夕陽を眺めていると、カヌーが海にうかんでいた。それを見たひーこは「夕陽バックにあの人たちの写真を撮って、後で売りつけたらどうだろうか」などどロマンチックもヘッタクレもないことを言っている。さすがひーこだ。

 そして太陽が海に沈んでいく。明日はもうここでこの夕日を見ることができないと思うとなんか寂しいな。
 もし毎年来たとしても、ここから夕日を見られるのは人生であと何回くらいだろうか・・・いっそのこと移住しちゃおうかな・・・

 と感傷に浸ったのもつかの間、日が暮れたらごはんごはん!もうお腹がペコペコだ。今日もいっぱい動いたからねえ。急いで宿に戻り食堂へ直行する。今日のメニューはたいきが焼肉定食、僕らは島料理セット、それにもちろんオリオン生だ。
昨晩がコンビニ弁当で味気なかったから、ちゃんと食堂で食べれるごはんがなんだか余計にありがたく感じるなあ。やっぱり旅行に来た時の晩御飯は生ビールがなくっちゃね。

 そして食後はたいきが待ち望んでいた花火大会。懐中電灯とバケツ片手に裏の浜辺へ向かう。
民家の庭先からは「キョホッ キョホッ」とリュウキュウコノハズクの声が聞こえてくる。こっちに来たら撮ろうと思っていたのだが、昨日はあの騒ぎでそんな余裕なかったし、結局今年はまだ撮っていないんだよなあ。でもまずは花火をしないとたいきがうるさいからね。

 空には半月が出ていて、浜辺は月明かりで結構明るい。その浜辺の上を何か白いものがサーっと滑るように動いている。なんだろうと思って懐中電灯を当てると手の平位の大きさの白いカニだった。

 さあ、それじゃ誰もいない砂浜で花火開始だ。手持ち花火に次から次へと火をつけてゆき最後の晩を名残惜しんだ。
 

 そして大袋入りの手持ち花火を丸々燃えカスにして花火大会は終了。

 帰り際にさっきリュウキュウコノハズクが鳴いていた木のところに行ってみたのだが、もう声は聞こえなかった。去年撮影できた公園からも声は聞こえてこない。どこか遠くの方では鳴いてるんだけど、あれは山裾の道のほうかなあ・・・
 折角ここまで来たんだからリュウキュウコノハズクを撮れないのはちょっと辛い。そこでみんなには先に部屋に帰ってもらっておいて、一人車で山裾の道に向かうことにした。

 夜の山裾の道は、月明かりが覆いかぶさってくる木々にさえぎられ、暗くってなんだか薄気味悪い。ヘッドライトをハイビームにして、枝に何か止まっていないか注意しながらゆっくり進んでいくと、道の真ん中に蛇がいた。
 あっ、この模様はハブ!今まで15年ほど沖縄に来ていていまだ見たことがなかったハブだ!
沖縄に来てもハブを見ていないと本当の沖縄の自然にまだ触れられていないような気がしていたのでとても嬉しい反面、ほんとにハブはいたんだと思うと藪に入るのがこれからますます怖くなりそうだ。
慌てて車を降りると、ハブはこっちに向かってさっと鎌首をもたげた。さすが、動きが敏捷だ。

 あまり近寄りたくはないので、かなり離れたところから記念撮影をすると、ハブは草むらの中にゆっくり入っていった。
 結局この晩リュウキュウコノハズクは見れなかったが、初見のハブには会えたし、やっぱり独り夜の山の中にいるのは怖いので、ここで終了することにして、途中から国道へショートカットできる道を通って宿に戻った。

 さあ、明日はもう帰る日だ。午後の飛行機なので朝撮りの時間は十分ある。どこに行こうか・・・

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