2008年7月12日 野生は手ごわい

 さあ、最終日の朝がきた。昨日はアカ様の姿を一度も見られなかったので、今日はせめてチラッとだけでも姿を拝みたい。
 アカ様ポイントに行けば確実だろうが、それじゃ芸がないしなあ。というわけで、島の中部の林道をさまよってみる事にした。

 夜明け前に宿を出て林道へ向かう。途中のサトウキビ畑には朝靄が漂い、海のようで幻想的だ。
そんななか走っていると、道路標識にカンムリワシが止まっていた。真横に車を止めても全然逃げようとしないのはさすが八重山トビだ。

 県道をそれ、林道に入ったところの電線にも朝日に照らされてカンムリワシが止っていた。今年は良く見かけるなあ。うれしいけど、もうちょっと良い所に止まれないもんかなあ・・・

 そしていよいよ林道に入る。鳥影を探しながらゆっくり車を進めていくとアカ様の声が聞こえてきた。しかし鳴いているのは森の奥深く。これじゃ姿は見えないだろう。

 そのあとも声はしばしば聞こえるのだが、姿が中々見つからない。
 一度は本当にすぐそこで鳴いていたので、しばらく車の中でじっと待ってみたものの全然見える所にはでてきてくれず、痺れを切らして車から降りたとたん、「キョロッ キョロッ キョロッ・・・・・」と鳴きながら飛び去る声だけが聞こえてきた。やっぱりここのは野生が強いんだろう。しかしその分森ははすばらしく、まさに亜熱帯のジャングルそのものだ。

 林道にはキンバトが道路に落ちている餌をついばみながら歩いていたが、こいつも中々手ごわいんだよな。普通のハトっぽくのんびり歩いているように見えるのだが、常にこちらの動きを警戒している。近づくと何気ない風を装って離れていくので後姿以外はなかなか撮りにくい。そして安全距離を越えたとたん、一気に飛んで森の中に消えてしまう。

 しかしこのままじゃほとんど成果がないまま時間だけが過ぎてゆくばかりだ。ちょっと焦るなあ。一度宿の方へ戻って野底マーベーでも行けば、木に止まったカンムリワシでも撮れるんじゃないかと思い適当に辺りをつけて走っていたら道に迷ってしまった。いったいここは何処なんだろう?

 道に気をとられて走っていたら、車のフロントウィンドウから5mくらいの木にアカ様が止っているのに気がついたが時すでに遅く、アカ様は車にビックリしてあっという間に飛び去ってしまった。ここらへんは何処にアカ様がいてもおかしくないんだから気をつけていかなくちゃ。

 しばらく行くと小さい集落を抜け大きなコンクリートの壁の下に出た。どうやらダムサイトのようだ。
 さらに進んでダムの上までいくと、向こうに巨大なパラポラアンテナが見えてきた。アレってもしかしてVERAってヤツだろうか。話には聞いていたけどはじめてみたよ。こんな山の中にあったんだ。
もっとよく見ようと近くまで行ってみると、いきなりモーター音が響きわたりパラポラアンテナが動き出した。もしかして立ち入り禁止の場所に入ったかなんかで反応しちゃったんじゃないかとびっくりしたが、別にこっちを気にはしていないようだ。

 しかし直径10m以上はあろうと思われるこんな大きいものが結構なスピードで首を振る姿は大迫力だよなあ。なんか秘密基地っぽくてワクワクするよ。あとでたいきたちも連れてきて見せてあげよう。

 新しい場所をまた一つ新規開拓できたので良い気分だ。さあ、そろそろ迷子から脱出しなくっちゃ。落ち着いてカーナビを見ると帰り道は林道の反対側のようなので、来た道を素直に戻る事にする。

 再び集落を抜け川沿いの道を進んでいると、手前の木から赤い鳥が飛び立ち、ちょっと先の木陰に止ってくれた。アカ様だ!
ついこの前まで散々撮ってちょっと飽き気味だと思っていたのに、一日おいてその姿を目の前にするとやっぱりめちゃくちゃ嬉しくて、めちゃくちゃ緊張してしまう。ちょっと逆光気味だが、そっと近寄らせてもらいありがたく撮らせていただいた。

EOS-1DMk3 EF600mmF4LISノートリ

 さらに林道に戻って県道に出る途中、やっと木に止まったカンムリワシにも会うことができた。これで目標達成だ。

EOS-1DMk3 EF600mmF4LISノートリ

終わりよければすべてよし。最後のアカ様とカンムリワシのおかげで、この朝もとても充実した鳥撮りになった。
さあ、宿に戻って色々片付けなくちゃ。

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