晩御飯のおかず自給自足の野望

 昼寝から覚めてもまだ太陽は十分高かった。さすが5月の沖縄だ。
夕方からは近くの港に以下を釣りに行こうと思っていた。今回泊まる所はほんとに何にもない僻地と聞いていたので、
晩御飯のおかずはアオリイカでも釣って自給自足しようと、エギをいっぱい持ってきたのだ。

そうなるとやっぱ炭火焼をしたいよねえ。でも着火剤もないしどうしよう・・・
受付で何か良い方法がないか聞いてみるか。

というわけで、このお祭りのために作られた急ごしらえの橋を渡って川向こうの受付棟へ向かった。

しかしこの先に行く手を阻む思わぬ障害が・・・

縁日だ(^^;

くじ引き一回500円とえらい高い気がするが、はずれでもエアガンがもらえるらしい。
たいきはくじ引きやりたいパワー全開で屋台の前に釘付けだ。しょうがない、1回だけやってみようかね。

結果は

みごと1等賞!

すっげ〜!商品はショットガンスタイルのでっかいエアガン。かっこいいじゃん!これで500円なら安いかも

カランカランと当選の鐘も鳴らしてもらって超嬉しそうなたいき。良かったねえ。

 そしてホクホク気分で受付に行き、昨日のおばさんに木炭に火が点けられないんだけどどうすればいいの?と相談すると、もうちょっとしたらスタッフを向かわせますとの事。お祭りで忙しいのに申し訳ない。
それじゃそれまで部屋に戻って待つとするか。

 当然部屋に戻ったらエアガンの試し撃ちをして見なくちゃならない。箱を開けてみると、中にはオマケの保護用のサングラスやナンちゃってダットサイトまで付いていて子供心をガッチリ鷲掴みだ。

さ、それじゃオリオンの缶を的にして射撃練習をしてみようか。僕も子供の頃、こういうの大好きだったんだよなあ。

パーン!とみごと命中、なかなか才能あるんじゃないすか?
でも後が大変、どこかに飛んでいったBB弾を探さなくちゃ。
なにせ10発しか付いていなかったので、弾がすごく貴重品なのだ(^^;

そのうちスタッフのおじさんが軽トラに乗って登場。何か火をつける良い方法がないか聞くと「着火剤があればすぐ着くよ」と言うのだが、それがないから困ってるんだよね。するとおじさんガスバーナーで炭をあぶって火をつけてくれた。とりあえずこれで火は着いたけど、これから釣りに行って帰ってきた時にはもう燃え尽きてるんじゃなかろうか・・・ 
まあいいや、その時はそのときだ。おじさんにお礼を言って釣りに出かける。

港までは車で5分ほど。岸壁ではすでにたくさんの釣り人や家族連れが竿を出していて、
広々と釣りができるスペースは残っていなかったので、対岸の防波堤の方に行って見ることにする。

こちらの方は人がいなかったので、たいきがキャストに失敗してエギが真横に飛んでいってしまっても安心だ。
それじゃ竿の準備をして釣りはじめよう。目標はアオリイカ、そして今晩のメニューは当然シーフードバーベキューだ。
みんながんばるように!

・・・しかし大分長い事キャスト&リトリーブを繰り返しても一向にアタリはない。浮いているイカの姿も見えないしなあ。
僕はイカをあきらめミーバイでも釣れないかと沖に沈むテトラポッド周りを狙ってミノーを投げてみたがこっちも無反応。

そしてひーこはこういうのを始めるとすぐ没頭してしまい、一人釣でどんどん堤防の先端の方に移動していった。
僕とたいきもキャストをしながら少しづつ先端の方へ向かったのだが、途中でたいきが転倒。膝をすりむいてしまった。
でもたいきは泣かなかったよ。さすが3年生!えらいぞ。

もちろんこのとき「磯で膝をすりむいたあと、膝の関節にフジツボが生えてきた子供の話」はしていないが・・・(^^;

やっと防波堤の先端にたどり着くと、そこにいたひーこはなんかやる気なさげだ。
調子を聞くと、案の定あたりもかすりもしないらしい。僕もここで何かが釣れるとは思えなくなってきた・・・

しかし魚は釣れないけど沖のほうにアザラシみたいなのがいて、時折水面に顔を出すと言う。
なんだそりゃ?まさかジュゴンじゃないよねえ・・・

しばらくその場で沖のほうを眺めていると、確かに何かが水の中から顔を出した!ありゃウミガメだ!
後ろのほうにちょっとだけ甲羅も見えたから間違いない。
岸から20mくらいのあたりに注意していると時々顔を出すがまたすぐ潜り、次はどこに出てくるかわからない。
なんかもぐら叩きみたいで、写真を撮ろうとがんばってみたが、結局撮影する事はできなかった。

一方のたいきはというとマイペースで釣りを続けていてキャストもずいぶん様になってきた。でも釣れないんだよねえ。

太陽も大分西に傾き、背後の斜面からはけたたましいヤンバルクイナの鳴き声が聞こえてくる。もうすっかり夕方だ。
しょうがない、晩ご飯は素直に買っておいた肉でも焼くって事にしてそろそろ宿に帰ろう。

帰りがけに村の協同購買所に、残りが心もとなくなってきたオリオンを補充するため寄ってみたら、炭と一緒に着火剤が売ってるではないか。これでもし火が消えていても何とかなりそうだ。良かったよ〜

  部屋に戻ると案の定カマドの炭は燃え尽きていたが、新たな炭をセットして着火剤を使ったら拍子抜けするくらい
あっさり火がついた。これで今晩はバーベキューができるぞ。それじゃまだ明るいけど晩御飯の準備にかかるとするか。

炭に火が十分に回った所で鉄板を乗せ、まずはフランクフルトから焼いていく。ん〜ビールに良く会うねえ。
それにしてもたいき、なんて顔しとるんじゃ・・・

それに野菜も食べなきゃね。普通のクズ野菜も野外の鉄板で焼くとまた一段と美味しいもんだ。
メインの肉は今日はアグー豚だけど、しゃきしゃきしてこちらも中々美味い。
でも本当は昨日のステーキをここで焼きたかったなあ

 シメのヤキソバを作る頃にはあたりもすっかり暗くなり、ちょっと肌寒くなって来た。こんな時やっぱり火がある生活っていうのはいいもんだよなあ、炎を眺めているだけでもなんだかほっとする。。

 晩御飯が終わりテラスでほっと一息ついていると、ちょっと離れたコテージで宴会をしていたお客さんがサンシンを弾き始めた。その音に遠くで鳴くコノハズクの「キョホッ」やヤンバルクイナの「ケケケケ・・・・」、さらにヤモリの「キュキュキュ」という鳴き声が重なる。昼間の喧騒がうそのような穏やかな夜、それを肴に泡盛をなめる。
そんないい気分のまま、真っ暗でにぎやかなな沖縄の夜は更けていった・・・

前へ目次次へ

鳥見旅行記トップへ

inserted by FC2 system