今朝はアカヒゲ一本ねらい

 今朝もまだ暗いうちに車に乗り込み林道を目指す。
ヤンバルと言えばやっぱりヤンバルクイナ、ノグチゲラだけど、実は僕としてはアカヒゲが一番なのだ。
昨日は道路モノばかりだったので、今日こそいい感じの枝どまりが撮りたいぞ〜

 林道に入るといきなり目の前を黒っぽい鳥が走って横切った。ヤンバルクイナだ。
アカショウビンが車を追い越していく。当然どこに行ったのかなんてわからないが・・・

路肩に注意して走っていくと、道路の上で時々アカヒゲが餌をとっているが、車の姿を見かけただけでやぶのなかに逃げ込んでしまい、そうなるとどこにいるのか全然わからなくなってしまう。

 道路際の藪の中から「キャラキャラキャラ」というさえずりが聞こえる度に車を止め、しばらく歩き回ってその姿を探すのだが、いったいどこで囀ってるんだか全然わからない。

 昨日アカヒゲ親子を撮ったところを通り過ぎる時、谷側の斜面からそれらしき地鳴きが聞こえてきていたが、ここで撮ってもまた道路モノばかりになりそうなのでそのまま通過する。今日はアカヒゲの枝どまりを求めてもっと奥のほうまで行ってみるつもりだ。

  林道を走っているうちに朝日が登ってきた。これから1時間が勝負だろう。

 昨日ヤンバルクイナが居た所を通り過ぎる時、何気なく道路わきに目をやると、今日もヤンバルクイナがびっくりして固まっていた。しまった!しかし時すでに遅く、カメラを構える頃には下生えの奥をガサガサと草を踏む足音が聞こえるのみ。

 さらに先に進むと、林床をがさごそ歩き回る鳥の気配がする。もしかしてまたヤンバルクイナか?
車を止めてじっとしていると、その鳥はちょっと高い枝に飛び移った。アカハラみたいだ。ヤンバルにもいるんだなあ。

 かなり森の奥まで来たが、アカヒゲの状況は変わらない。声はすれども姿は見えずだ。

 そんな時、道路に横たわる爬虫類を発見。なんかイモリみたいだけど、道の真ん中で干からびたように動かない。

 これはもしかして天然記念物のイボイモリか!と期待したが、お腹も赤いしそれほどボコボコもしていないからただ単に乾いたシリケンイモリのようだ。それでも普段見かけるイモリと比べると大分大きい。
 こんな所に居ると轢かれちゃうので、木の枝を拾ってきて道路際まで追いやっておいた。

 ここまできてもアカヒゲのまともな姿は撮れない。さらにゴールデンタイムも終わりが近づいてきた。こうなったらしょうがない、道路モノでもいいから昨日の場所まで戻ってアカヒゲの姿をじっくり撮ろう。

 Uターンして林道を下っていくと、昨日のポイントちょっと手前で道路にいるアカヒゲメスを発見。車に気付くとピョンピョンと跳ねながらガードレールの向こうに逃げ込んだが。そこはちょっとした原っぱのようになっていたのでなんとか道路モンではないアカヒゲを撮る事ができた。これがオスだったらなあ・・・

 このメスは一人でミミズを採ってばかりで雛を連れている気配が全然ない。もしかして子育ては旦那にまかせきり?どこの世界も一緒なのか・・・なんだか昨日のパパヒゲが不憫に思えてくるなあ・・・

 昨日のポイントに着き車を降りてカメラをセットしていると、昨日のヒナちゃん登場。相変わらず愛想がいい。

 そしてそんなチビを気にしてか、再びパパヒゲも登場!

 今日もパパヒゲは道路をピョンピョン跳ねて餌をとっている。路肩に積った枯葉をひっくり返し大きなミミズを捕まえたりしているので餌場としての道路は中々良い場所なんだろうが、おかげでまともなカットは1枚も撮れずじまい。
たまに良い岩の上に乗ってくれたとしても。背景にはがけ崩れ防止用ネットが入ってしまったりする。林道の周りは人工物でいっぱいなのだ。

 まあしょうがない、姿を見られただけでもよしとするか。
しかし残るはあと1日。きっと明日ここに来ても同じような道路モノしか撮れないだろう。

 それに一生懸命雛を守るパパヒゲの姿を見ていると、付きまとってストレスを与えてしまっているんじゃないかとなんだか申し訳なくなってきてしまった。明日はどこか他の場所を当たってみようか。といっても心当たりは全然ないのだが・・・
 

 さあ、それじゃ今日はこれくらいにし朝撮り終了!

 宿に戻ると部屋の前に昨日炭に火をつけてくれたスタッフのおじさんがいたのでご挨拶をする。でもおじさんうちらのことは忘れちゃってたようだ、まあこれだけお客さんいっぱいいるんだから無理もないよね。

 おじさん車から降ろしたカメラを見て「ヤンバルクイナ撮れたか?」と聞いて来る。結構鳥のお客さんも多いようだ。
ヤンバルクイナよりアカヒゲが採りたいんだけどなかなか良い場所がなくて・・・と言うと、「今日は忙しいからなあ・・・まあ、連れてくだけ連れてこう、それじゃ付いてきな」と言って軽トラに乗り込んだ。良いポイントに案内してくれるようだ。

今帰ってきたばっかりで再びみんなを置いて出かけるのは忍びないが、たいきは川で遊んでいるし、ひーこもまだ洗濯で忙しいようなので、ここはおじさんに付いて行っちゃおう!

 おじさんの軽トラは結構なペースで走り出した。カーブもかなりのハイペースで飛ばすので付いていくのが大変だ。
 そして川沿いの林道に入ってしばらく行ったところで車を止めると、「この道を入っていくと川に出るから。川を渡ってそのまま行くと昔おばあがやっていたパパイヤ畑の跡があるから、そこら辺ならアカヒゲとかいると思うよ」と教えてくれた。そして「それじゃ忙しいからね」と言って再び軽トラに乗り込み、タイヤを鳴らしながら帰って行った。

 おじさんに言われた所を見たら、確かに路肩からは獣道のような踏み後が崖下に続いている。ハブでもいないかとちょっと心配だったが降りてみると、結構あっさりと谷底の川に出ることが出来た。

 川には綺麗な水が流れていて、木漏れ日がキラキラしてとても綺麗だ。周りは亜熱帯雨林の森に囲まれていて、まさにヤンバルと言う感じの場所だった。アカヒゲの声は聞こえないが、中々良い場所を教えてもらえた。

 川を渡ると小さな流れ込みがあったのでそこをたどるが畑のような場所はないなあ・・・と思ったら、流れ沿いに苔むした石垣がった。ここが畑の跡のようだが、すっかり木々が生い茂り、その面影は全然残っていなかった。
 川岸の草にリュウキュウハグロトンボが止まっている。金属光沢のある胴体が美しい。
胴体が青いのがメス、緑なのがオスということだ。良く見るとそこらじゅうに飛んでいる。

 鳥の気配はしなかったので川に戻り、倒木や岩を乗り越えながら下流の方に歩いていくと、川岸のひときわ高い木に大きめの鳥が「キョッ キョッ」と言う声と共に飛んできた。ノグチゲラだ。
 今回も葉っぱかぶり、枝かぶりでイマイチくっきり撮れなかったけど、昨日よりはまだ良い感じ。

 ノグチゲラが見られただけでも来た甲斐があったが、さすがにここまで日が高くなってくるとアカヒゲは難しいようで声も全然聞こえない。 それにしても気持ちの良い場所だ。あとでたいきとひーこも連れてきてたら喜ぶかも。

 時計を見るともう昼前だ。あまりみんなを待たせてもまずいので、ここらへんで引き上げる事にする。

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