ヤンバルラストチャンス

 明けて5月5日こどもの日、今日もいい天気だ。最後のチャンスにかけて一路昨日のポイントを目指した。

 現地に着くと今日もノグチゲラらしき声が響いている。しかし昨日のようなアカヒゲの出迎えは受けられなかった。
 昨日はたまたまだったのだろうか。今朝を逃すともう今回撮影できる可能性はなくなってしまう。時間を有効に使うためには、道路モノ覚悟で昨日の林道に移動するべきか悩むところだ。

 とはいえノグチゲラのほうも気にはなる。今回何度か姿は見られたが、まだまともには撮れていないからなあ・・・
 それじゃここは一瞬ノグチゲラ狙いに変更して、ちょっと探してダメだったら昨日の林道に行く、この作戦でいくか。

 声を頼りにノグチゲラの姿を探すが、すぐ近くで鳴いていると言うのに姿は全然見つけられない。
しばらく注意していると、樹冠付近の茂みのなかで何かがガサゴソやっているのに気がついた。どうやらあの中にいるようだ。

一度見当がつくと、木から木へと飛び移る姿が頻繁に目に入るようになってきたのだが、止るのは幹の裏側や葉っぱの中が多く、中々はっきりと姿を見ることは出来ないし撮影なんて全然無理だ。

 しかしそのうち2羽のノグチゲラが絡み合うように上空を通り過ぎ園地の先の木に止った。おおっ、ここからでもはっきり見えるぞ!慌ててファインダーに入れシャッターを切るが、SSは1/1桁しか出ず、画像チェックするまでもなくブレブレなのがわかる。ああっ、せっかくの2羽ものが〜〜

 でもそのうちの1羽がもうちょっと日当たりの良い所に止まってくれたのでなんとか撮影成功!やった〜

 一度撮れると気持ちにもちょっとゆとりが出てきて殺気が減るのだろうか、しばらくすると
結構近くまで飛んできてくれたのででっかいのも撮影する事ができた。うれし〜

 以前奄美でオーストンオオアカゲラを見たときは色の濃いオオアカゲラって感じだったので、ノグチゲラもそれよりさらに色の濃いオオアカゲラを想像していたのだが、実際見てみるとお腹と背中の赤が想像していたよりずっと鮮やかで、「オオアカゲラの色違い」みたいな印象はすっかり拭い去られた。大きさもかなり大きいんじゃないだろうか。

 それじゃノグチさんも堪能したし、アカヒゲのほうへ移動するか。と思ったらアカヒゲオス登場!しかもアスファルトの上じゃない!これは再度予定変更してここで粘るしかないだろう!

 この園地周辺のアカヒゲは林道のと違って子育てどころかまだ縄張りも確定していないようで、2羽のオスが入り乱れてバトルの真っ最中。ブンブン威嚇しあいながらひたすら相手を追い掛け回している。
時々メスが現れるのだが、こちらはこのオスバトルには無関心なようでマイペースで過ごしている。もしかしてメスの取り合いなのかな?


 バトルが一段落すると藪から出てきて餌を採りはじめるのでその一瞬を狙うしかない。SSは相変わらず1/1桁。こうなるともう運を天に任せて連写し続けるしかない。そんな中撮れた1枚。SSは1/4!きびし〜

 さらにその餌とり自体が常にピョンピョンと移動しながらなので、ピントを合わせるのも大忙しだ。でも地面がアスファルトじゃないってのはうれしいな。

 一番激しかったバトルはこいつが木の影で調子に乗って囀りだした時。何とか見えるところで囀っていてくれたので「ブレるな!」と念じながら連写していると(ブレたけど)もう1羽がえらい剣幕でやってきて近くでブンブン鳴き出した。

 と思ったら囀っているオスに突っ込ん行き「ガツッ」と鈍い音をさせてぶつかったと思ったら、2羽とも地面に落っこちてしまったのだ。しばらく草むらからガサゴソ音が聞こえていたのだが、そのうち静かになってしまった。どうなっちゃんったんだろう?カメラを置いて2羽が落ちたあたりに近づくと、かすかに「ピロピロピロ・・・」と言う囀りが聞こえてくる。

 声のする当たりを探すと、そこには2羽のアカヒゲが向き合うように横たわっており、片方はじっと動かず、もう片方は苦しそうにお腹を上下させながら、今にも消え入りそうなか細い声でピロピロとつぶやいていた。このまま2羽とも死んでゆくのだろうか・・・しかし僕には何もしてやる事が出来ない。自然界の厳しさを見せ付けられて声もでないよな。さっきまで綺麗な声で囀っていたのに・・・・

 しかし野生の生き物を撮影する者としては、たとえそれが辛い場面だとしても記録しておくのが使命ではなかろうか!
 気を取り直し、死に行く2小さな命の最後の姿を撮影するべくロクヨンを構え、横たわる2羽をファインダーに入れようとしたとたん、2羽のアカヒゲは大慌てでもがき始め、あっという間に別々の方向に飛び去っていった。なんだかな〜
まあ何事もなくて良かったけどねえ・・・

 その後も2羽は元気にバトルを続け、時々良く見えるところにでてきて楽しませてくれた。

 同じ地面でもちょっと高くなった所が好きみたいで小石の上にのって胸を張ったり

木の幹に飛び乗ったりとチョコマカと動き回っていたが、懲りずにバトルも続けている。ただ見えるところに出てくるのはいつも同じこの個体のようなので、さっきのバトルはこいつの勝利に終わったようだ。

 背景、ブレなど、「これだ!」って言うようなバッチリショットは撮れなかったがまあそれはいつもの事なので、
これだけ撮れたらまあまあってところかな。

 今日は帰って荷物の片付けをしなくちゃならないので、ベストショットは次回来た時の課題と言う事にして
ここらへんで引き上げるとしよう。
そう思ってカメラを持ち上げたら再びノグチさんと接近遭遇。

最後に再びでっかちゃんが撮れたので、ちょっとだけ幸せな気分で引き上げる事が出来た。

しかしこれで実質的に今回の鳥撮りは終わりと言う事になると思うと・・・もっと撮りたかった〜

前へ目次次へ

鳥見旅行記トップへ

inserted by FC2 system