1月11日 タンココでナマのチャバラショウビン

 いよいよタンココ初日の朝が来た。外はまだ薄暗いが空は晴れているようだ。

 5時30分、まだ夜が明けきらぬ中、昨日言われた通り砂浜を右に向かって歩いていくと、漁師さんのロングテールボートが出航の準備をしていた。英語は通じなさそうなので「スラマッ パギ!」とご挨拶をして船に乗り込む。

 昨日貸して貰ったブルーシートでロクヨンを包んでひざの上に乗せ、手にはFZ18を持っておく。これで準備完了だ。
漁師さんにOKサインをすると、ロングテールボートは「ポンポンポン」と軽い音を立てて鏡のように凪いだ海に出航した。

 船は正面に見えるタンココ山のシルエット目指してゆっくり進んで行く。ほんとにゆっくりで、エンジン音だけ聞いているとアイドリングをしている位にしか聞こえない、これが限界なのかそれとも燃費節約のためなのか・・・

海のうえには沢山のアマツバメが飛び交っていたので、それをなんとか撮れないものかとチャレンジしてみたが、FZ18じゃ飛んでいるツバメは厳しいな。

 そのうち板が張ってあるだけの座席ではお尻が痛くなってきた。でも船はまだ行程の半分も来ていないようだ。

プリサンのウェブサイトにはタンココまで船で45分と書いてあった。見た感じはすぐそこなんだけど、このペースじゃそれくらいかかりそうだな。となると到着は6時15分か。まあ鳥撮りをはじめるにはいい時間だろう。

 やがて朝日が昇りきった頃、右手に村が見えてきた。これがタンココの手前の村、Batu Putih のようだ。朝ご飯の支度をしているようで所々で煙がたなびいている。時計を見ると時刻はもう6時45分。なんだか大分遅れているけど、このスピードじゃしょうがないか。

 そこからさらに15分ほどでやっと国立公園入り口の建物が見えてきた。ロングテールボート遅すぎ・・・

 岸では今回ガイドをしてくれるアテン君が手を振って待っていてくれた。 
 6時から待ってたんで、どうしちゃったのか心配していたそうだ。ちゃんと時間通りに出てきたんだけどねえ。

 まずは自己紹介をして、今回見たいカワセミを伝える。
「I try!」・・・確実ってわけじゃないってことか。まあ自然相手だからしょうがない。
「虫除けは塗った?」と聞かれたので「忘れた」というと自分のを分けてくれた。
ここは蚊はたいした事ないらしいけど、わきの下や困る部分に付く毛ジラミみたいなのがいるらしいのだ、しっかり塗っとかなきゃ。

 さあ、それじゃタンココ探検だ!と意気込んで三脚の足を伸ばしていると、まずその前にFinch Billed Sterlingを見に行こう、ということになる。これは何も見れなかったときの押さえなのか?う〜む

 とにかくバイクの後ろに乗せてもらいダートを走る事数分。一本の枯れ木に群がる黒っぽい鳥のコロニーに着いた。
これがFinch Billed Sterlingというスラウェシの固有種だそうだ。

 名前からしてムクドリ系だろう(後で調べたらシュウダンムクドリっていうそうだ。まんまだなあ)
一応固有種だから撮っておこうかね。でもあまり気合が入らないから手持ちのままだ。本心は一刻も早くカワセミ系を探したいんだけどなあ・・・
 ある程度シャッターを切り「もう十分」と言うと、再びバイクに乗ってもとの公園入り口に戻る。
そして三脚をセットして本格的に撮影準備完了、いよいよタンココの森の中に踏み込んだのだった。


 時折アオバトとオウム系のの声が聞こえて来るだけでわりと静かな森の中。ほんとに目当ての鳥は見れるんだろうか。期待と不安、それに若干のあきらめの入り混じった複雑な気持ちで10分ほど森を歩いていくと、アテン君が立ち止まった。なんだなんだ!?
アテン君はそっと森の中を指差し「Greenbacked」とささやいた。ええ〜そんなイキナリですか!?

 かなり焦りながら指差す方を見ると、確かにそこには
チャバラショウビンが!
しかも夢にまで見た青い頭が鮮やかなオスが尻尾をゆっくり振りながらじっと佇んでいた。なんと美しい色なんだろう・・・

 大きさはアカショウビンよりかなり大きい。慌ててファインダーに入れシャッターを切るが、テレコンをかましたままだったのでデカすぎだし、F値も暗いので森の中はますますSSが上がらない。
 ブレを防ぐため出来るだけ動かないように固まると、わきの下や背中がチクチク痛み始めた。げげっ。これってもしかして例の毛ジラミ?!でも今はそんな事かまっちゃいられない。
 痛みに耐えながらもテレコンを外し、ロクヨン単体絞り開放!ISOを500まであげて連写を続け、やっと満足がいくものが撮れた。う〜ん幸せだ〜〜 でもチクチクする〜(汗)

 一息ついたところでアテン君に恐る恐る「体中がチクチクするんだけど、もしかして例の毛ジラミかな?」と聞くと、「それはアリだよ」と笑っていた。たしかによく見ると小さいアリが腕を這っている。こいつが咬んでいたのか。ホッとしたけど痛いもんはやっぱり痛いなあ(^^;

 チャバラショウビンはまだ動かずじっとしている。ここでボディーをデジスコに替えて再び撮影開始。距離が近いので画面いっぱいだ。SSは1秒ほどしかでないので、ここは連射で撮りまくるしかないだろう。

 うう〜んデッカちゃんだ〜幸せ〜 でもやっぱチクチクする〜(大汗)
そのうちオスは地面に降りて何かを捕まえるとそのまま森の奥に飛んで行ってしまった。

 憧れのチャバラショウビン、見れた、撮れたよ・・・・幸せ感いっぱいで呆然としていると、アテン君が「female」と別のほうを指差した。するとそこにはメスも佇んでいたのだ。うれしすぎ〜〜

アテン君はリュックから図鑑を取り出し、「メスは顔が茶色いんだよ」と説明してくれる。たしかにそうだねえ。でも今はそれより撮影でしょ!Mk3で連写連写。さらにボディーをデジスコにチェンジして連写しまくって少しでもいいショットを押さえなくては。

結局このメスも納得の行くまでたっぷり撮らせてくれたので、アテン君に「もう十分」と言って、この場を後にした。
なんだかいきなり大満足だ。それじゃアテン君、次はライラックを探そうか!

 

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