1月11日 午後からみんなでタンココ

 部屋に着くと、ひーことたいきが待っていた。もうお昼ごはんの時間だねえ。
食堂に行くと、ちょうど料理が運ばれてくる所だった。今日のメニューは魚のフライのチリソースと小松菜のような葉っぱの炒め物、それに野菜サラダとごはんだった。
 朝から飲まず食わずでお腹ぺこぺこノドカラカラだったのでビンタンビールを頼む。
 今日もいまいち冷えていないけどやっぱり昼間っから飲むビールはうまいよなあ。

 午後のスタートは2時半から。まだ大分時間があるのでたいきと一緒に宿の周りのお散歩に行った。

 僕が朝撮りに行っている間、たいきはひーこと一緒に海で泳いだりリゾートの中を探検をしたりしていたようで、このプリサンについてはとっても詳しくなっていて、ハンモックの乗り方とか、海のあそこら辺はお風呂代わりに使えるとか、レストラン棟の裏には飼育小屋があって怪我をしたクロザルを飼っているんだとか色々教えてくれた。

 敷地内の地面はほとんど砂なので、たいきは裸足で歩き回っている。それもこれも僕がにみんなのクロックスを入れてくるのを忘れたせいだ。ごめんよ〜

 ひとしきり見てまわったらなんか疲れたので、ベランダの椅子に座ったらいつの間にか眠っていたようで、気が付くと午後ツアーの出発時間が迫っていた。

 午後からのタンココツアーは他のゲストも一緒に行くことになっている。
 本来観光客が参加するのはこういう半日ツアーで、クロザルの群れを見たあと、日が暮れてから夜行性のタルシウスと呼ばれる15cmほどのメガネザルを探すらしい。鳥についてはサイチョウが見れれば良いかな、位の感じみたいだ。
 今回はシンガポール在住の欧米人の4人家族とORAT家の計7名での参加なので、スピードボートを出してくれる事になった。

 スピードボートといってもごく普通の船なのだが、朝1時間半かかった所を30分ほどでタンココに到着。たしかに早かったけど、どちらかと言うとこれが普通でアウトリガーカヌーが遅すぎるんだと思う・・・

 タンココの岸辺では、見覚えのある小柄な若者が手を振っていた。アテン君だ〜
どうしたの?と聞くと、ORAT家の午後のツアーは彼が専属でガイドしてくれるとのこと。それなら小回りが利いていいねえ。ついでにセレベスブッポウソウも探せるかも。

 アテン君はひーことたいきも自己紹介したあと「ここでちょっと待ってて」と言ってバイクでどこかに行ってしまった。 欧米人一家は他のガイドと一緒に既に出発してしまったので、残されたうちらはそこら辺でジャングルっぽい生き物を探す。

 綺麗な蝶を見つけ、撮影しようと追いかけていると、木の幹に小さなトカゲがついているのを発見。キノボリトカゲみたいだ。 たいきとひーこを呼んでくると、たいきが「上のほうにももう一匹いるよ!」と教えてくれた。ほんとだ、こっちの方が大きいねえ。撮影しようとすると、そのトカゲはその場所から消えていなくなっていた。

 何処いったんだ?と不思議に思っていると、ひーことたいきは「あっちの木に飛び移った」という。
二人が指差すあたりの木を探すと、そこにはトビトカゲがまだヒレ?を閉じきらないまま止っていた。
あばら骨をヒレのように広げて木から木へと滑空するトカゲなのだが、実物は初めて見た。さすがスラウェシ!

 よく探すともう一匹、さらに大きめで色鮮やかな個体を発見。翼を全部閉じきっちゃうとただの地味なトカゲなのだが、ノドや脇のヒレを広げると、内側はハデハデだ。

 たいきはちょうど学校で「まぼろしのトビトカゲ」という本を読んだばかりらしく、実物を目の前にして大喜びしていた。こういうのを自分の目で見られたんだから来た甲斐があったよね。

いきなり良いものが見れたのでこの先も期待できそうだ。

 そのうちアテン君が戻ってきたので、トビトカゲをあとにして午後のタンココツアースタート。 みんなで森の中に分け入っていった。さあ、たいきは付いてこれるかな?さし当たっての目標はクロザルの群れを発見すること。

 あんまりサルに興味はないが、まあここの名物だし鳥探しのついでにちょっとだけのぞいて見るか、と言う程度のこっちの気分はお構いなしにアテン君はどんどん森の中を進んで行く。鳥なんて全然見向きもしない。セべレスブッポウソウ探してくれって言ったのに〜(‐‐♯b

 アテン君は時折携帯メールで仲間と連絡を取り合っているようだ。文明の利器だねえ。
目印も何もない森の中をひたすら登り続けけ、そろそろ1時間ほど経っただろうか。結構きついんだけど・・・
 当然たいきももうヘロヘロ。時々水分補給をして元気を取り戻すものの、なんだかうつむき加減でテンション下がりまくり。 しまいには「づがれだ〜」とすわりこんでしまいました。

 そんなたいきに、アテン君がノコギリ椰子の新芽で扇子を作ってくれた。
これでたいきもちょっとご機嫌を直してくれ、捜索を再開。

 しばらく行くと、森の奥から「ホゥーッ ホゥーッ」と言う大きな声が聞こえてきた。
何の生き物だろう?とアテン君に聞くと、ニヤッと笑って「My friend」だって。ん?イエティでもいるの?と思ったら他のガイドさんがクロザルの群れを見つけた合図だったようだ。なんか原住民っぽいなあ、つうかさっきからチェックしてた携帯メール、意味ないじゃん。 そして声のほうに急行すると、そこにはクロザルの群れがいた。やった〜!でもなんかクロザルが見られた嬉しさより、もう探さなくていいんだという安堵感のほうが勝っていたような・・・(汗)

 クロザルは赤ちゃんも含めた数十頭の大きな群れで、地面を歩いたり、木から木へと飛び移ったりしながらゆっくり移動して行く。 あまりこちらを警戒してなさそうなので、17−70mmのズームでは遠すぎ300mmでは近すぎるという微妙な距離を克服するためさりげなく群れの中に入り込もうとしただが、向こうもさりげなく移動して行き、結局受け入れてもらう事は出来なかった(^^;

 途中金属的な鳴き声とともに出てきてくれたオウチュウが唯一の鳥だったけど、こっちの方が全然萌えたなあ・・・

とにかくこれでクロザルミッションコンプリート。

 まだちょっと時間が早いけど、今回のもう一つのターゲット、タルシウス(スラウェシメガネザル)を探しに移動する。
本当は夜行性の動物なので、日が暮れてから探すものらしいのだが、夕方にはもう目を覚ましているらしいので、運が良ければ見つけられるとのこと。

 今度は下りなのでわりと楽だけど、たいきはもう歩くのがイヤみたい。これもダイエットだ、がんばれ〜
そして20分ほど歩いてたどり着いたのがこの大きなバニヤンツリー。ここにタルシウスが住んでいるんだそう
だ。


 アテン君は洞の入り口に捕まえてきたバッタを止らせ、中をサッとライトで照らす。 しばらくそれを繰り返すと、手招きして洞の中をライトで照らしてくれた。するとそこには体長15cmほどのタルシウスがじっと佇み、こっちを見ていた。

 なんか目玉と耳が異様にでっかくて宇宙人っぽい。動きは意外とすばやくて、一瞬見えるところまででてきてくれるが、バッタを捕まえるや否やすぐに奥に引っ込んでしまう。もっとゆっくり撮るにはやはり真っ暗になってからの方がいいようだ。
 そんなわけで撮影は中々難しかったが、たいきにその姿を生で見せることができただけでも良かったよ。
これなら頑張って歩いた甲斐もあったんじゃないかな。 野生のタルシウスを見た事のある日本の小学生なんてそうはいないと思うよ。

 さあ、これで目標はすべて達成だ。真っ暗になる前にボートの所まで帰らなくちゃ。

 夕暮れの森の中を歩いていると「フィーッフィーッ」という大きな鳴き声が聞こえてきた。アテン君が「あれがグリーンバックの声だよ」と教えてくれた。日の出日の入り前後のごく短い時間しか鳴かないそうだ。

 ボートの所までたどり着くと、別行動していたシンガポール在住チームもすでに戻っていた。タルシウスが見れたか聞くとコンデジの画像を見せてくれたが、ちゃんとシッポまで写っていた。あっちの方がサービス良かったみたいだなあ。
そしてアテン君と明日の再会を約束して、綺麗な夕焼けの中、スピードボートで宿へ向かったのだった。

 しかし良い天気だったのはここまで。宿の方は真っ黒な雲に覆われていて、プリサンに着く頃には土砂降りの大雨になっていた。

 部屋に戻ると手桶で水浴びにチャレンジするが、やっぱ冷たいよ〜(泣)
でも今日は結構汗かいたし頭も痒いからガマンしなくちゃ。イチゴ石鹸でゴシゴシ頭をこするけど全然泡立たない。オマケに水で流すと髪の毛がごわごわになってしまい指が通らない。シャンプーを持ってくれば良かった。

 辛い水浴びを終え、あまりさっぱりしないまま食事に行き晩ご飯を食べていると、カトリンに明日の予定を聞かれた。
 早朝タンココに行くとなると、また今朝のようなロングテールボートで果てしない航程を行かなければならない。それもちょっと辛いよなあ。

 セレベスブッポウソウは見れなかたけれど、一応目標のカワセミ系はクリアしたし、あと残るはタンココからボートをチャーターして行くセレベスコウハシショウビンだけだ。
アテン君の話だと、これは午後からでも大丈夫だという。それにミナハサメンフクロウも見られるらしいので中々魅力的だ。それに早朝じゃなければひーことたいきもついて来るだろうからスピードボートを出してもらえるよな。と言うもろもろの事情により午後からのセレベスコウハシショウビンツアーに行く事に決定。手配の方をお願いしておいた。

 部屋に戻る前、持ち帰り用にまたビンタン2本を厨房にもらいに行くと、村人のスタッフが台所の隅においてあるクーラーボックスからビンタンを取り出して渡してくれた。電気がないから冷蔵庫も使えないんだ。それじゃいまいち冷えていないのもしょうがないか。

 部屋に戻るとなんだか眠くなってきたが、今は1日のうちで唯一電気が使える時間だ。眠い目をこすりながらPCを立ち上げ今日の画像をバックアップする。来る前に8GのSDを買っておいてホントに良かったよ。それにFZ-18の充電もしておかなきゃ、あ〜いそがしい。

 そしてすべての仕事を終え、蚊帳のなかに潜り込むと今日も電気が消えるのを待つまもなく眠ってしまった。

 しかしその夜中の3時頃の事、ものすごい騒がしさに目が覚める。どうやら外は暴風雨が吹き荒れているようだ。風の音もさる事ながら、屋根に打ち付ける雨の音がすさまじい。
その上何かが屋根の上にガンガン落ちて来るし、屋根裏には猫が入り込んでニャーニャー鳴きまくるのでうるさくて寝られやしない。今晩は寝不足になりそうだ・・・

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