1月12日 雨の中の朝撮り

 結局寝不足のまま朝を迎えたが、雨は小降りになったもののまだシトシト降り続いている。今朝はタンココに行かなくて良かったかも。

 でもせっかくウォーレシアまで来てるのにこのまま惰眠を貪るのももったいないので、宿の周りで鳥撮りすることにする。

 カメラにレインカバーをつけて小雨の中プリサン村への道を歩きだす。道端のパパイヤの木には雨に濡れてたわわに実がなっていた。これが雨季の恩恵なんだろうな。

 そしてこの日まず最初に出会った生き物はブタの親子。
道の向こうからブヒブヒ言いながらやってきた大きなブタ母さんはこっちに気付くと一瞬固まり、それから一目散に藪の中に逃げこんでゆき、かわいい子豚も必死で母さんブタを追いかけていった。

 ここらへんでは豚もニワトリも放し飼いでそこらじゅうをブヒブヒピヨピヨ言いながら歩きまわっている。
 たしか鳥インフルエンザってのは鳥から豚に伝染って、豚から人に伝染るんだよな。この環境じゃ、インドネシアに鳥インフルエンザが多いのもうなづけるよな・・・

 昨日履いていたトレッキングシューズがビショビショになってしまったので今日はクロックスを履いてきたのだが、ほとんど凹凸のない靴底ではドロドロにぬかるむ道は滑りまくって非常に歩きにくい。

 山側の木の上のほうには、時折シュウダンムクドリやキュウカンチョウ。カラスモドキ系の鳥などが止まっているのが見えるが、距離が遠すぎだ。 海側の藪の向こうはマングローブ帯のようだ。

 竹が道に覆い被さってトンネルになった場所を過ぎると平坦な道が終わり、小川に突き当たる。そこにかかった橋を渡るとプリサン村への登りが始まった。橋の下では一昨日来た時の小さな流れが濁流となってごうごうと音を立てている。昨夜の雨はかなり激しかったんだろう。
 道の真ん中にも流れができているが、その中を歩くと表面の泥が洗い流されていて意外と滑りにくい。
足元に気をつけながら登って行くが、周りの藪からは時折鳥の声が聞こえてくるものの、姿はどこにも見つけられない。

 そのうち上から降りてくる村人とすれ違うようになってきた。みんな大きな荷物を頭の上に載せて細い泥道を器用に降りてくる。「スラマッパギ!」と挨拶をすると、みんな笑顔で「パギ〜!」って返してくれる。なんかうれしいな。

 道を覆うようにせり出していた木々が少なくなり、回りがちょっと開けてきた頃、斜面の上のほうの木で何かが動くのが見えた。カメラを下ろしてしばらく眺めていると、尾羽が長くて大きな鳥が木の枝を歩いている。あれはYellow billed Malkohaってやつだな。和名はセレベスバンケンモドキといい、スラウェシの固有種だ。

 枝カブリのないところを探してじっとチャンスを待つが、向こうもゆっくりとしたペースではあるが結構絶え間なく歩き回るのでなかなかいい感じのところに止まってくれない。その上アリの巣の上に立っていたらしく、昨日の小さいアリがまたしても噛みまくってくる。痛い・・・

何とか顔が抜ける場所を見つけ、空抜け逆光だし雨が強い上薄暗くてSSが上がらない中シャッターを切る。

セレベスバンケンモドキ

 一応証拠写真だけは撮れたので、足にたかっているアリをこすり落としていると、道の先の方に何かの鳥が飛んできて止まった。今の位置からじゃ木が邪魔でよく見えないのでちょっと横にずれると、そこに止まっていたのはアオミミショウビン!

アオミミショウビン

 昨日も見たけど、今朝はカワセミ系ははなっから諦めていたのでかなり嬉しい。またしても逆光で暗いが、ISOを640まであげて何とか撮る事ができた。今日はこれでもう十分だ。

 でもあとちょっとだけ行ってみようと思い先へ進むと、程なくアスファルトの舗装路に出た。プリサン村に着いたようだ。
 そこには一昨日乗ってきた四駆がとまっていてフランツさんが乗っていた。どうしたの?と聞くと、ロスアンジェルスチームがミナハサツアーに行くのでお迎えに来たらしい。朝早くから大変だねえ。フランツさんと話していると、斜面の上のほうでナンヨウショウビンが鳴き出した。一応見に行ってみようかな。

泥の斜面を登っていくと、木の上のほうに止まっているナンヨウショウビンを発見。やっぱり空抜けだ。曇り空だと背景が真っ白になってしまってどうにもならないよなあ・・・まあ一応撮影しておこう。

ナンヨウショウビン

草むらにはタテハ系やアサギマダラ系の蝶も止まっていたのでこれも撮影。

 ここまではうまくいったのだが、斜面を降りる時、泥で思いっきり滑ってしまい尻餅をついてしまった。でも担いでいたカメラは死守する。尾てい骨が痛い・・・ フランツさんに見られたかな(^^;

 雨も大分強くなってきた。痛いお尻をさすりながら、まだ来ないらしいゲストを待っているフランツさんにバイバイして来た道を戻る。

 下りの泥道は滑らないようにするのに精一杯で鳥なんか見ている余裕はない。
 慎重に下ってゆき、やっと橋の所に着いたと思ったら、気が抜けたのか思いっきり足を滑らせて再び転倒。でも身体を張ってカメラだけは死守し、三脚とレンズの衝撃を全部肩で受け止めた。

 暫く息ができないくらい肩が痛く、もしかしてどこか折れたかな、と心配したがだんだん痛みも引いてきて一安心。
 被害は履いていたクロックスのベルトがもげただけだった。まあ突っかけサンダルとして使う分には問題ないかな。
何にしても機材が無事でよかったよ。でもちょっとムチ打ちになったかも。首が回らん・・・

 ここからは平坦な道だが、1日に二回も転ぶと泥道恐怖症気味になってしまったので、ちょっとチクチクはするのはがまんしてできるだけ滑りにくい草むらの中を渡り歩いて、なんとか部屋にたどりついた。

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