ドバイの暑い朝

 そして現地時間の午前4時50分、ボーイング777はドバイに無事着陸。

 次にここを飛び立つのは午前10時45分なので6時間ほどの空きがあった。その間空港で過ごすのもしんどいので空港近くのホテルで足を伸ばす予定なのだが、そうなると一度ドバイに入国して、また出国手続きをしなくてはいけない。

 エアチケットはシンガポールで発券済みだからチェックインの必要はないにしても、午前9時過ぎには空港に戻っていたいので、あまり長い事ホテルにはいられない。予約を取った時点でわかってはいたけどやっぱ短いよなあ。
 ホテルのピックアップの車は30分おきにでているようだったので、がんばって5時半のに乗れればそれだけホテルでゆっくりしていられる。頑張らないと。

 しかし空港内は予想外に広く、大急ぎでイミグレーションに到着したものの、この時点ですでに時間切れ。次は6時のピックアップを目指すしかないか・・・

 入国の審査はとってもゆるくて、スタンプを押してハイどうぞ、って感じだった。

 まだ20世紀だった頃、新婚旅行の途中でやはり一時入国した時は、自動小銃を持った迷彩服の兵士がモノモノしく荷物検査をやっていて、フィルムをX線に通したくないって話でかなりもめ、銃をガチャっと鳴らされ威嚇されたり、一時出国だからってので、イミグレーションでパスポートを預けさせられたりしたのでちょっと緊張していたのだが、あまりにあっさりしていて拍子抜けだ。10年でずいぶん変わったんだなあ。

 入国審査のあとホテルの車にピックアップしてもらう予定の出口を目指したのだが、これがまた遠い。

 ひたすら歩く歩道に乗り続け、ヘロヘロになってやっとのことでそれらしき出口に到着すると5時45分。
 早くホテルのベッドに横になってちょっとだけでいいから眠りたいよ〜

 もしかしてもうピックアップの人が来てるんじゃないかと思い、あたりを見渡してみたがそれらしき姿はない。
 インフォメーションカウンターの人にお迎えはここでいいのか聞いてみると、「そこの待合室で待っていればドライバーが呼びに来るよ」と教えてくれたのでとりあえず一休み。あ〜疲れた。

 しかし予定時間の6時を過ぎてもドライバーはやってこなかった。まあここは海外なんだから、多少の遅刻もあるだろうと思いもうしばらく待ってみる。

 しかしピックアップ予定時間から30分以上がすぎてもドライバーは一向に現れない。痺れを切らしてもう一度インフォメーションに再確認してみたが、やっぱりここで待ってれば大丈夫だという。でもちょっと遅すぎるんじゃない?もう次の便が来てる時間だもんな。場所が違うのかもしれないなあ・・・

 飛行機を降りてからはや3時間が経っている。このまま待ち続けていたらホテルに行く前に搭乗時間が来てしまいそうなので、もう送迎バスはあきらめてタクシーに乗ることにした。
 でもタクシーに乗るにはお金がいる。うちらはドバイデュラハムを一銭も持っていなかったので、ひーこが1000円分だけ両替してきてタクシー乗り場に向かう。

 クーラーの効いている建物の外に出てみると、まだ太陽が出ていないせいかそれほど暑さを感じない。砂漠気候だからか、それとも今年は日本も暑かったから慣れちゃってたりもするのかな

 タクシーに乗るとほんの5分ほどでホテルに到着。フロントへ向かうと2組ほどの欧米人がチェックインだかチェックアウトだかの順番を待っていたのだが、受付に人が一人しか折らず、この人が非常に手際が悪くてなかなか先に進まない。早く部屋に入りたいのに〜

 まだ大分時間がかかりそうだったので、ひーこにはそこで待っててもらってホテルの外に出てみると、ちょうど椰子の木の向こうに朝日が昇るところだった。 日本を飛び立ってすぐに日が暮れて、いまが翌日の日の出だ。その間20時間くらいがたっている。思い返すと長い夜だった

ホテル前の芝生をインドハッカが歩いていたので7Dとタムロン18-270mmで撮影。今回初の鳥撮りだ

 さ、そろそろ順番回ってきたかな、と思いフロントに戻ると、やっとうちらの前の欧米人の手続きが終わったところだった。
 と、そこへ横から中国人が割り込んできて、フロントのおっちゃんにすごい剣幕で何かを訴えだした。

 えらい早口何言ってんだか良くわからなかったが、もしかして寝坊でもして飛行機に乗り遅れそうなのかな?と思いおとなしく待ってると、どうやらただチェックインしたいだけみたいだ。なんだよただの割り込みじゃねえか!

 最初は「順番だから」と言っていたフロントのおっちゃんも、あまりにしつこい中国人に根負けしたようで、ウンザリした顔で受付を始めた。さらに予約に不備でもあったのか、なんだかんだともめはじめた。
 こっちはあと2時間位しか滞在できないんだ。ちょっとでも休みたいってのに、ほんと腹が立つ!

 そしてまんまとチェックインを終えた中国人はすぐうしろでムッとして睨んでいたこちらを振り返り「Japanese?」と聞いてきた。ムッとしながらうなずくと「コンニチワ」とちょろっと愛想を振りまきつつエレベーターに乗っていった。ほんとずうずうしいなあ。

 そのあとフロントのおっちゃんが謝りながらチェックインの手続きをしてくれて、やっと部屋に入ることができたが、なんかとっても疲れたし腹がたったなあ。

 部屋は普通のシティーホテル、ほんの2時間滞在するだけじゃちょっともったいないけど、まあ空港のベンチで暇をつぶすことを考えたら100倍くらい快適だからしょうがないな。

 それじゃまあまずはビールでも飲んで、と思ったらこの部屋ミニバーがどこにもないじゃないか!

 しょうがないのでひーこがタクシーのお釣りの小銭を握り締め、ビール探しの旅に出たのだが、しばらくして意気消沈して戻ってきた。ビールはどこにも売ってなかったそうだ。やっぱりイスラム圏だからなのかな。
その代わりにジュースを買ってきてくれたのでとりあえず乾杯。シュウェップスもコーラもアラブっぽいデザインだねえ。

 そのあとシャワーを浴びて一眠りしたらもう出発時間だ。ほんとにあっという間だなあ。
でも背筋をちょっと伸ばせただけでもずいぶんリフレッシュすることができたので、残りの行程もなんとか乗り切れそうだ。

 午前9時の送迎便に乗りたかったので、15分前にロビーに降りるとすでに結構たくさんのお客さんが待っていた。

 ひーこがチェックアウトを済ませている間、たいきと二人で外へ出てみると、さっきと違って凄い暑さ。さすが砂漠だね。
送迎バスは何処に止まってるんだろうと見渡してみるが、それらしい車はなく、タクシーの運転手が寄ってくるばかり。

  やがて時間になると、さっきまでロビーにいた人たちがぞろぞろと外へ出てきた。彼らも送迎バスは何処なのかさがしているようだ。全員で30人くらいはいるけど、これだけの大人数で乗れる車はあるのかな?と思っていたら、一台のエスティマがアプローチに入ってきた。もしかしてこれが送迎車?そこらへんにいたホテルの人に聞いてみると、これで何度も往復するらしい。ひゃ〜この人数みんなが空港に行くまでにいったい何往復しなきゃいけないんだろ。

 しょうがないのでみんな一列に並び、6人づつくらいで車に乗り込みピストン輸送が始まった。と、その列を無視してスタスタ通り過ぎ、いきなりエスティマの助手席に乗り込もうとしている奴がいる。あれはさっきの中国人じゃないか!何処までもずうずうしいやつ・・・中国人ってみんなあんななんだろうか。ほんといやになっちゃうなあ。

 一方うちらの列は遅々として進まない。もうめんどくさくなってタクシーに乗ろうかと思うが、デュラハムはほとんど残っていない。試しにドライバーにUS$で乗せてくれないか聞いてみると無理みたい。どうしようかなあ・・・と思っていたら、ホテルスタッフがリムジンに乗らないかと聞いてきた。US$でも良いというので、空港まで幾らか聞いてみると10$だという。そりゃ高いな。さっき来る時は5$だったよ、と言うと、あっさりとそれでOKという事になったので乗せてってもらうことにした。

 そして再び5分ほどで空港に到着。
一眠りしたとはいえ疲れているんだろう。みんな暑さがかなりこたえてるようだ。

 急いでクーラーの効いた建物に入り、チェックインカウンターは素通りしてそのままイミグレーションに直行。

出国審査もあっさりと済ませることができ、出発フロアに向かう。ここまでくればもう飛行機に乗り遅れる事はないだろう。

 にぎやかな出発フロアのガラス張りの天井からはドバイの強い光が降り注ぎ、香水やコーヒーのにおいが入り混じった、
空港独特の香りが満ちていた。今朝来た時とは大分ちがってとっても華やかな雰囲気だ。

 飛行機の出発までまだ大分時間があるので腹ごしらえをしておこう。

 ここのマクドナルドにはドバイオリジナルバーガーがあるらしいのでそれを食べたかったのだが、空港が広すぎてどこにあるか良くわからない。そこで目についたのがバガキン!まさかここまで来て食べるとは思わなかったけど、ワッパーはどこで食べても美味かった。

 腹ごしらえも済み、いよいよ最後のフライトの時間がやってきた。

 再び素敵な機内に乗り込み、今度も予定よりちょっと早めにナイロビ行きEK719便はドバイを飛び立った。
 ドバイ国際空港を飛び立ってすぐ、海の上に浮かぶドバイ名物椰子の木島がみえてきた。よくこんなの作ったなあ・・・

機内ではまずビール

そしてゲーム

 さらにお食事と、いつものスケジュールを着々とこなしてゆく。
さっきは夜行便でちゃんとした食事が出なかったが、こうしてみるとお皿もなんかおしゃれだしとっても美味しい。
やっぱエミレーツはレベルが高いな。

食事を終え一息ついてふと窓の外を見ると、そこには赤茶けた海が広がっていた。ん?海がこんなに赤いの?。
・・・これってもしかして砂漠?そうだ!あの縞々は砂紋だ!

単調な砂の海は本当にどこまでも、地平線の果てまでまるで海のように続いていた・・・
 飛行機から見ると、さらにその広さを感じることが出来る。この高さから見ても一面の砂漠なのだ。 
砂漠は広いんだろうとは思っていたが、まさかここまで広いとは・・・はじめて見る本物の砂漠に感動してしまった・・・

 しかしそんな感動をよそに、機内では非常事態が発生していた・・・・

 その現場はうちらの席のすぐ前のトイレ。 どうもドアが故障してしまったみたいで、何人ものお客さんが出てこれなくなり大騒ぎになっていたのだ。まさに人喰いトイレ。そして挙句の果てに使用禁止に・・・

 この機内の限られたトイレが一箇所使えなくなると言う事は一大事だ。当然他のトイレの前には永遠とも思える行列ができはじめた。こんな時、もしお腹が痛くなったら・・・ いや、そんな事考えちゃいけない。いざとなったら出てこれなくなってもいいから人喰いトイレを使っちゃえばいいじゃんか・・・いかん!そんな事考えてるだけでお腹が痛くなってきそうだ〜

ここはととっと酔っ払って寝ちまうしかないか・・・

前へ目次次へ

鳥見旅行記トップへ

inserted by FC2 system