はるばるとナイロビ

 そんな感動と困難?を乗り越え、飛行機はついにケニアの領空に入り、徐々に降下をはじめた。
眼下にはさっきの砂漠から打って変わってサバンナが広がっている。アフリカの大地だ!

 そして午後3時前、ジョモ・ケニヤッタ空港に無事着陸。窓の向こうにはどんよりとした曇り空の下、アカシアの木が点在する草原が広がっている。やっ〜とアフリカに到着だ。家の玄関を出てほぼ35時間、いや〜めちゃめちゃ遠かった〜

 僕とひーこは2度目だが、たいきは初のアフリカ。さぞ感慨深い?でもそんな事よりまず到着した事がうれしいね。
 飛行機から降りてイミグレーションに向かうが、ここは前回とほとんど変わってない感じだ。ここが一国の正面玄関か?と思うようなローカルっぽいブースでの入国審査を済ませると、機内預け荷物もすぐにに出てきてくれて一安心。

 このあと一気にナイバシャ湖まで移動なので、念のためみんなでトイレに行っておく。ちなみにナイロビの空港の男子トイレはこんな感じ。小の方がひとつながりになっている位であとは普通だ。

 さて、ちゃんとお迎えは来てるだろうか。ドバイのことがあったのでちょっと心配だったが、バゲッジクレームの外に出てタマシャの看板を探すと、Orat家の名前を書いた看板を高々と、しかも上下逆さに掲げた大柄な黒人を発見 なんか先が思いやられる(^^;

 彼の名前はアンドリュー、身長190cm以上ありそうな大柄な人だったが、看板さかさまだよ、と指摘すると恥ずかしそうにしていた。

 そして空港の外に出て、アフリカの外気に触れる。曇が多い事もあってか、赤道付近だというのにそれほど暑くない。

 うちらがこれから1週間ちょっとお世話になるのはこの白いワンボックスカー。
天井が全体に持ち上がるようになっているサファリカー仕様だ。

今回はOrat家だけの専用車をお願いしたので、車内はひろびろ使えるのがありがたい。
カメラリュックはオフロードでの振動の事を考えてエアクッションの上に載せ、シートベルトで座席に固定しておく。

 ここからナイバシャ湖までは2時間くらいという事だ。それじゃ出発!

 空港の周りにはすでにサバンナっぽい場所が広がっていて、もうドップリとアフリカだ。
 駐車場を出てすぐ、アンドリューが「giraffe」といって遠くを指差した。
 え〜〜、いきなりキリンですか??とびっくりしてタムスパで覗いてみると、確かに遠くにクレーン車のようなキリンのシルエットが見えた。こんな空港のそばにキリンがいるなんて、さすがアフリカ。
 それにアンドリューの目もたいしたもんだ。

 道すがらアンドリューに見たい鳥のリクエストをすると、カンムリカワセミとオオヤマセミはナイバシャで、セネガルショウビン、ハイガシラショウビン、タテフコショウビンはマサイマラで、そしてヒメショウビンはバリンゴ湖かマサイマラで見れるだろうとのことだった。
へえ、全然期待していなかったヒメショウビンも見れるんだ!草原性の鳥だと思ってたけど、湖にもいるのかな?

 まあとにかく一応鳥のことも知っている人みたいなので一安心。

 しばらくしていきなり大渋滞がはじまった。なんだろうと思いながらゆっくり進んでいくと、ロータリーの手前の道の真ん中で、乗客を満載したバスが故障して止まっていた。
 そのバスをよける為他の車がクラクションをけたたましく鳴らしながら無理やり割り込みを繰り返していて、その混雑の中物売りが歩き回っているというなんかぐちゃぐちゃな状況だ。これも別の意味でさすがアフリカって感じ。
 路肩のアカシアの木のコロニーからアフリカハゲコウがその様子を見下ろしていた。

 渋滞を通過しナイロビ市内に入るとわりと近代的なビルが立ち並ぶようになる。でも10年前とあまり変わっていないような気もする。東南アジアの都市の急激な近代化と比べると時間が止まっているようだ。

 前回泊まったナイロビサファリクラブも当時のままのたたずまいを残していた。
アンドリューの解説で車窓からの観光をしながら市内を抜けるが、彼の英語は達者すぎて時々何を言ってるのかわからなくなる。あんまり難しい単語使うなよ〜(汗)

 途中、これからの長旅に備えてミネラルウォーターを買いたかったのでスーパーに寄ってもらった。
 最近旅先で行く事の多い、ガソリンスタンドに隣接したコンビニだったが、ここではちゃんとビールも売っていた。
 でもこれから行く場所は部屋に冷蔵庫なんてなさそうなので、おとなしく水とジュースだけにしておく。

 店をでると、ガソリンスタンドの敷地内をセグロセキレイに似た鳥が歩いているのを見つけた。ハジロハクセキレイだ。
警戒心はあまりないようで、かなり近くまで寄らせてくれる。

 コンビニを出てさらに郊外へすすんで行くと、道路沿いからはビルがなくなり、変わって掘っ立て小屋が目立ち始めた。
地面もむき出しで、かなり荒れた雰囲気だ。その向こうにはスラム街が見える。
 ここを一人でブラブラ歩くのはちょっと勇気がいりそうだ。

 そのうちそんな民家も見えなくなると長〜い上り坂が始まる。長い大型トレーラーが息も絶え絶えに、もう止まっちゃうんじゃないかってくらいのゆっくりしたスピードで昇っていく横を、対向車線に飛び出してクラクションとパッシングを駆使して追い抜いていくのは中々スリリングだ。

 そしてこの坂を上りきるとグレートリフトバレーが見渡せる丘の上に到着。
普通だとここの土産物屋で休憩して、広大なアフリカの大地を眺め感慨にふけったり、人類の歴史に思いをはせたり土産物屋の執拗な勧誘を断るのに目を吊り上げたりするのだが、今日は早くナイバシャに着くために素通りして、その代わり帰りに寄るんそうだ。

 夕方で土産物屋も閉まっているし、だったら寄ってもドライバー的にはメリットがないんだろう(^^;

 車窓からグレートリフトバレーを撮ってみた。全体にモヤがかかっていてよくわからないが、この先はるか彼方まで、人類発祥の地といわれる大地溝帯が続いている。

 気分的にはこの峠を超えると本当のアフリカに入った感じになる。周りにはアカシアの木が増えてきた。
道は谷底に向けてどんどん下って行き、やがて平坦になる頃、わりと賑やかなマイマイウという街に入った。

 アンドリューの話だとではここは温泉が出るらしく、この「マイマイウ」というのはスワヒリ語で「温かい水」という意味なんだそうだ。僕も「日本では『まいうー』は『美味しい』って意味なんだよ」と教えたが、なんか軽く聞き流されたような・・・

 マサイマラに行く道はここから分岐しているので、数日後にはここまで一度戻ってくることになる。

 マイマイウを抜けるとそこから先はひたすら一本道だ。周りには草原と言うか荒地が広がっているだけで他には何もない。この道は海からナイロビを通ってずーーとウガンダの方まで続いている唯一の幹線道路だそうだ。

 所々で装甲車を配備して検問をやっていたり(うちらは止められなかったが)戦車を積んだトラックとすれ違ったり、

 路肩で停車している戦車に遭遇したりしたのでこっそり写真を撮る。アンドリューに「写真を撮ったらやばいかな?」と聞くとニヤっと笑って「危険だよ」と言っていた。堂々と撮ったらマジで連行されちゃうかなあ・・・

 しかし何でこんなに戦車がいるんだろ?暴動とかの気配でもあるのかな?まあこれから向かう先はそんな事にはあんまり縁がないと思うけど、ちょっと心配になる。

一方、道路わきでは牛の群れがのんびり歩いていた。牛の放牧はマサイ族によって行なわれているらしい。
マサイも勝手に写真を撮るとやばいらしいので、人がいてもできるだけカメラを向けないようにしておいた(^^;

 その先に見えてきた右手に広い山裾を持った綺麗な山はロンゴノットという火山で、2日あれば登山できるそうだ。 
 クレーターの中には野生動物がいっぱいいて、歩いてサファリできるんだって。僕は登りたくないけど・・・

 そのあとしばらく行くと、草原の向こうに、夕陽を受けて光るナイバシャ湖が見えてきた。

 今まで走ってきた幹線道路をそれ湖畔に向かう道を曲がると、今まであまり見かけなかった通行人の姿が目に付くようになり、なんだか生活臭が漂ってきた。ナイバシャの村に入ったようだ。

 この道沿いには工場のような建物がいくつも建っていたので何だか尋ねるとバラのビニールハウスだった。ここらへんの気候はバラの生育に適しているため一杯栽培されていて、ヨーロッパなどに輸出されているそうだ。アフリカとバラ、あまりピント来ない取り合わせだな。

 そして最後にちょっとしたダートを抜けると、やっと今晩の宿「ナイバジャ・シンバロッジ」に到着!
ついたついた〜。遠かったね〜

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