ナイバシャ湖の朝
 アフリカ最初の朝が来た。

 いつもながら旅先では暗いうちから自然と目が覚める。
 時刻は午前4時、カーテンを開けて外の様子をうかがってみるとまだ真夜中だ。所々常夜灯に照らされて何か生き物がいるのがわかる。もしかしてカバが来てるのか!?

 部屋の中からロクヨン付きの幕4を向けてみるがファインダーでは真っ暗で何もわからない。
 そこでライブビュー切り替えるとおぼろげな影が浮かんだ。ISOはオートで12800に設定されている。
そしてそのままシャッターを切ってみると、常夜灯に照らされて佇むウォーターバックの姿が写っていた。このカメラすごい!まさに暗視カメラじゃん!

 今日の出発は7時半、結構早い。いつでもチェックアウトできるよう大方の荷物を片付けて、昨日のセキュリティーのおじさんの言っていたガイドツアーに参加すべく、いまだ真っ暗な5時前に部屋を出た。

 しかしこんな暗いのにほんとにツアーなんてやるのかねえ?実は6時スタートの間違えじゃないのかなあ、と思いながらヘッドライトにハンドライトの完全装備で昨日のフェンスの木戸の所まで行ってみると、案の定誰もいない。やっぱあのおっさんテキトーだったんだ(^^;

 しかしもう門は開いていた。と言う事は外に出て良いって事だな。

 ここいら辺には肉食動物はほとんどいないらしい。とはいえアフリカだ。もしかしてどこかにライオンが潜んでいるかもしれないし、カバが突進してこないとも限らない。いざとなったらこの三脚で戦うしかないか。と、覚悟を決める。

 そして少し生命の危機を感じながら、少し白んできた空の明かりを頼りに遊歩道らしき道を進んでいくと、ライトに反射して動物の目が光るのが見えた。なんだ!? 
 まだこの明るさじゃ肉眼でその姿を見ることはできないし、遠すぎてライトの光も届かない。

 もう一度その辺りを照らすと、確かに2つの光る目が空中に浮かんでじっとこっちを見ている。ここは逃げた方がいいだろうか・・・でも逃げたら後ろから襲われたりするかもしれないし・・・

 幸いこちらに近寄ってくる気配もないのでまずは正体を見極めなければ、というわけで再び暗視カメラモードの幕4登場。 ライトで照らされた目の光をライブビューで捉え、マニュアルでピントを合わせてシャッターを切る。

 すると、写ってたのはまたウォーターバック。な〜んだ。ちょっとビビッたぞ〜(汗)

 気を取り直しで進んでいくと、空もだんだん明るさを増してきた。ただ雲が多くていまいちすっきりしないお天気だ。
 先のほうに小高い丘があり、そこに展望台のような建物が見える。あそこが湖畔だろうか。だとしたらカンムリカワセミはいるんだろうか?気が急く。
 急ぎ足で丘を登りきると、その先には曇り空の下、ナイバシャ湖の湖面が広がっていた。

 遠くの水面ではアフリカトキコウの群れが羽を休めていてなんかすっごくアフリカっぽいじゃん!

展望台から伸びる岬の先の方には数名の人影が見える。地元の人たちだろうか?
「こんにちは」の意味の「アサンテ・サナ」くらいは知ってるから、とりあえず挨拶位しておこうかな、と近寄ってみると、
ホテルのお客さんらしき西洋人の集団だった。中には昨日のセキュリティーのおじさんも混じっている。
朝のガイドツアー、本当にやっていたんだ。どうやら僕が集合時間に遅刻しただけらしい。

みんなに挨拶をしていると、背後から「チィ〜」と言う声とともにカンムリカワセミらしき鳥が飛んでいった。
ガイドのおじさんに「キングフィッシャーだったよね」と聞くと、「そこにもいるよ」と湖の方を指差した。
おお〜っヒメヤマセミじゃあないか!こんなはっきり見るのは初めてだ。
まだISOは12800から下がらないが、証拠写真をまずは一枚。取り合えずカワセミ一種ゲットだ。

その先の湖面に浮かんでいるのは・・・カバだ!
前回の新婚旅行のときは見ることが出来きず心残りだったので、こうやって出会えたことは嬉しいが、
意外と凶暴だって言うカバと柵も何もない所で対面するのはちょっと怖いかも。
まあここから見てる限りは平和そうだけど、きっと夜になると豹変するんだろうな・・・

カバを眺めていると近くの枝にヒメヤマセミが2羽飛んできた!
カワセミの2羽モノだって貴重だってのに、ヒメヤマセミの2羽モノなんてすごいっ!と興奮してシャッターを切る。

 さらにもう1羽がかなり近くまでやってきた。ここはヒメヤマセミがいっぱいいるんだなあ・・・あいにく曇り空の上、
まだ太陽も昇りきっておらず薄暗いため、ISO感度は相変わらず12800のままだって言うのがちょっと残念

夢中になってヒメヤマセミを撮っていると、ガイドツアーの人たちはホテルのほうに戻り始めた。
セキュリティーのおじさんがこちらにやってきて、もう帰るから付いて来いという。
ええ〜、まだカンムリカワセミ見てもいないのに〜

ほんとは放って置いて欲しかったが、ここで一人残っているのは安全上問題があるようで、
ガイドの一人に完全マークされてしまった。これじゃ居残るわけにも行かず、しぶしぶ湖畔を離れることにする。

他のお客さんたちに追いつくと、みなさん何かを熱心に眺めていた。なんだなんだ?
おおっ、ウォーターバックの向こうにいるのはキリンじゃないか。こんなホテルのそばにもいるんだ。
こうやって他の動物と並ぶとその大きさが良く分かる。

キリンポイントのちょっと先の藪の中にはシマウマも見え隠れしている。
地面にはそこらじゅうに草食動物の糞が転がっていてまさに野生の真っ只中だ。

もうちょっとでホテルのフェンスって所まで戻ってくると、ガイドの監視の目も緩んできたので、
こっそりみんなから離れ鳥のいそうな所を探しに行くと小さな池のほとりに出た。

池畔の木には大きなアフリカハゲコウが止まっている。
この鳥、アップで見るとお世辞にも綺麗な鳥とは言えないよな、というかむしろグロい。

潅木に止まっているのはハグロオナガモズだ。ここに来てやっとISOが8000まで落ちてきた。

池の周りを歩いているのはツバメゲリ。

鴨の雛が泳いでいたので親は何処かな?と思って探すと・・・

近くの木の上にエジプトガンの夫婦が佇んでいた。たぶんこれが親だろう。
しかしこんな放任しちゃって良いのだろうか、あまり天敵がいないのかな?

と、朝撮りに夢中になっていたらもう7時を過ぎていた。

 あわてて部屋に戻ると鍵がかかっていて誰もいないようだ。きっと朝ごはんを食べに行ったんだと思いレストランに行くと案の定二人は朝ごはんを食べ終わってデザートを食べている所だった。
 出発時間まであと15分しかないので、僕も急いでパンとソーセージでサンドイッチをつくり、ジュースで流し込み朝ごはんは終了。部屋に戻って出かける準備をする。

そして予定より5分遅れで部屋を後にした。
このナイバシャシンバロッジはまわりに動物もいっぱいいたし中々いいところだったなあ。
1泊だけってのはちょっともったいなかったか・・・

駐車場に行くと、アンドリューは既に準備万端で待っていた。
このロッジの看板と一緒に記念写真を撮ってもらってからナイバシャ湖のボートサファリに出発だ。
はたして今度はカンムリカワセミに会えるだろうか

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