ナイバシャボートサファリ
 
 快適だったナイバシャ・シンバロッジを後にして、ボートの発着所へと向かう。
 あのロッジにも桟橋があったんだから、そこからスタートしてくれたら楽だったんじゃないかとも思うが、大人の世界は契約とか色々事情があるんだろう。

 昨日来た道を引き返し、途中でわき道にそれる。そこから荒地の中の細い道をしばらく進むとキャンプ場に到着。
 ここがボート乗り場のようだけど、湖はいったいどこにあるんだろ?

 キャンプ場は地元の人たちで結構にぎわっている。
ナイロビに住んでいる人たちにとっては河口湖にキャンプに行くようなノリなのかも。

 ここの事務所のようなところから現地ガイド兼船頭さんが出てきてみんなにライフベストを配ってくれた。
でもたいきはお腹がきつくてちゃんとチャックがしまらずにもう一サイズ大きいのに変えてもらう。困ったもんだ(^^;

 サファリと言えばカメラがなくちゃ始まらない。
 たいきにはしょうがないのでにゃっちさんのキスデジとタムロンの18-270mmを貸してあげる。 
 あ〜あ、あれスナップ用に使おうと思ってたのにな〜

 大体このレンズ貸しちゃうと、24mmと300mmの間がなんもないんだよな。まあ偏りまくったレンズラインナップがいけないといえばいけないんだけど、こんな事ならプライスレスついでに70-200mmF2.8IS辺りも一本買っときゃ良かったかも・・・

 舟の準備が整うまでの間、キャンプ場に来ていたクロトキを相手にたいきは撮影開始。

 最初は「カメラなんて別になくてもいいよ」なんて言ってたたいきだけど、いざ撮りだして見るとめちゃくちゃ熱中してる。
 どうだよ、やってみたら面白いだろうが。全く、もう4年生なんだから自分のケツは自分でふけるようになってくれよなっ

 こちらがそのクロトキ。コサギよりちょっと大きいかな。僕としてはあまり萌える鳥ではない(^^;
それよかカンムリカワセミに早く会いたいぞ。そろそろボートの所に移動しよう。

 ツキノワテリムクの歩き回るキャンプ場の中の道をロクヨンを担いで進んでいくと、ほどなく水辺に出た。ぬかるんだ岸辺にはエンジン付きのボートが何艘か繋いである。ここがスタート地点のようだ。

 それじゃまずは三脚とカメラをばらしてからボートに乗せて・・・と、すぐ目の前でヒメヤマセミがホバッてるじゃないか!慌ててロクヨンを手持ちで連写!曇り空の空抜けで全然画にならないが、なんせホバだよ!しかもヒメヤマセミの!そんなこといっちゃいられないのだ。

 とりあえずブレブレだけど一応撮影できたので一安心。あらためてボートに機材を積み込む。
 ボートでのロクヨン使用はいつも悩む所なのだが、今回は湖だし風もなく穏やかだし、感度を上げればブレも何とかなりそうなので、三脚併用で行くことにする。傍らには念のため手持ち用の7Dとサンヨンのセットも置いておく。

 安定が良いように三脚の足を広めに開いてカメラをセット。
 ひっくり返して湖に落としでもしたら、ネタじゃすまないからなあ。

 準備も整った所でいよいよナイバシャ湖ボートサファリスタートだ!果たしてカンムリカワセミは見れるだろうか。

 カンムリカワセミに関しては、結構良く見られるという話も聞いていたが、タマシャのメールを読んだ感じだと見られる場所が限られているという印象を受けた。本当のところはどうなんだろう。情報が少なくてよくわからないが、今回はカンムリカワセミが撮りたくてアフリカまで来たようなもんだ。ここでクリアできれば、あとの日程は精神的に大分楽になる。
 なので船頭さんにはキングフィッシャーが撮りたいんだよ!キングフィッシャー!マラカイトね!マラカイト!と連発しておいた。アンドリューの話では運が良ければ見れるだろうとのこと。まあそう簡単にはいかないか・・・

 曇り空の下、ボートは鏡のような水面をゆっくり進みだした。

 まず現れたのはモモイロペリカン。こうやって水面に浮いているとなかなかかっこいい。
水際にはハダダトキが歩いていた。鳥の種類は豊富で撮影するのが忙しくなりそうだ

水草のそばにはカバが眠たそうにボ〜っと浮いていて、たいきは夏休みの宿題「動物クイズ」の取材のために
それを一生懸命撮影している。しつこいようだけど、やっぱカメラって大事だろ?

 岸辺の潅木にはヒメヤマセミが止まっていた。ボートのエンジンを止めて近寄るが、警戒心が薄いようで中々逃げようとせず、ドアップを撮らせてくれた。よっしゃ、とりあえず一種クリアだ!

 上空をキャラキャラ言いながら飛び回っているのはクロハラアジサシ(Whiskered Tern 。内陸の湖でもアジサシがこんなにいるんだ、と思ったらその他ほとんどはヒメヤマセミ。数羽で群れて飛んでいることもあるしホバりまくってるし・・・

 岸辺にもいたるところに止まっていてなんだか個体数が半端なく多いんですが・・・

2羽並び、3羽並びも珍しくない。これが普通のヤマセミだったらもう興奮しすぎて鼻血出ちゃうところだが、
こう群れていられると「量産型」ってレッテル貼られちゃいそうだな(^^;

 さすがにヒメヤマセミはもうお腹いっぱいなので、次はカンムリカワセミを重点的に探して欲しいと
船頭さんにお願いすると、前に営巣していた所があるからそこに行ってみよう、と言う事になった。

しばらく湖面を走ると走らせると幅2mほどで岸辺から草が張り出した細いクリークに乗り入れた。
ここがカンムリカワセミのポイントだそうだ。エンジンを止めるとオールを使って静かにボートをすすめる。

 しかしここでも現れるのはヒメヤマセミばかり。
 しばらく行くと土手の壁にいくつも穴の開いたところに出た。船頭さんの話だと、これはヒメヤマセミのコロニーだそうだ。へ〜、群れるだけじゃなくて巣もこんな密集して作るんだ。
 同じブッポウソウ目でもハチクイの仲間はコロニーを作るので、そこら辺の血が繋がりだろうか。

 突き当たりまで行くと、船頭さんが木の上のほうを指差して「Kingfisher!」と教えてくれる。カンムリカワセミか!?と慌てて見上げた木の枝に止まっていたのはオオヤマセミ!これも初めて見るカワセミだ。
 図鑑だとナイバシャでは運がよければ見られるくらいだと書いてあったのでとっても嬉しい。大きさはワライカワセミ位あってかなりでかい。しかし全体のバランスは普通のヤマセミと同じ感じでスマートだ。

 お腹の茶色がきれいなのがメス。すぐ近くに胸の方が茶色いオスも止まっていた。 ヒメヤマセミのモノトーンに食傷気味になっていたところにこの茶色は鮮やかに映る。

 結局このクリークではカンムリカワセミは空振り。

 そのあと、岸辺に佇む人たちから情報収集をしながら何箇所か同じような細いクリークに乗り入れて様子を見るが、相変わらず飛び出すのはヒメヤマセミがほとんど。
 時々オオヤマセミも止まっていたりするが、カンムリカワセミの気配はない。

 これは無理かな、とあきらめかけた頃、ボートのすぐ手前の草むらから青い鳥が飛び出し、かなり先の木に止まった。あれはもしや!と慌ててレンズを向けると、真っ赤な嘴に輝くような深い青のカンムリカワセミが止まっていた!

 息を整えシャッターを切ろうとするが、たいきとひーこが「どこどこ?」とボートの上で動き回るので、揺れでファインダーの中はブレブレだ。でもとりあえず一枚撮っとかなきゃ!

 しかしこんなんじゃ画像チェックするまでもなくまともに写っているわけがないのはわかる。

「みんなじっとしてて!」と少々キレ気味でお願いし、非難お色が濃厚な視線を感じつつもう一度撮影体勢に入った時にはカンムリカワセミはすでにどこかに行ってしまっていた(泣)

こうしてカンムリカワセミとの初遭遇は不本意な形で終了。

あ〜あ、もう一回チャンスがあるかなあ・・・凹む

 でもなんかこれでカワセミ探しは一段落、一応見れたからいいじゃん、と言うムードになってきてしまった。
ひーことたいきも飽きてきたみたいだし、ここは素直に皆さんの言うとおりにするか。

 ボートはクリーク地帯から離れ、漁師の小屋と思しき所に立ち寄ってそこのおじさんから小魚を数匹分けてもらう。そして岸辺を離れ、湖の中ほどへ向かった。

 どうやらここでサンショクウミワシに餌付けをするらしい。

 アンドリューが遠くの岸辺を指差す。よく見ると枯れ木のてっぺんにサンショクウミワシが止まっていた。

 船頭さんがさっきもらった小魚を振り回しながら口笛を吹き、そのあとその小魚を水面に放りなげると、はるか彼方のサンショクウミワシはそれを目ざとく見つけ、こちらに向かって飛び立った。さすが鷹の目、あんな遠くから見えるんだ。

 こちらに向かってきたサンショクウミワシは、うちらのボートから10mほどのところに浮かんでいた小魚を水飛沫を上げて掴み取るとUターンしてさっき止まっていた木の上に戻っていった。

 さて、撮影のほうだがいろいろ問題が山積みだった。いくら猛禽とはいえ、目の前に飛んでくる鳥をボートの上からロクヨンで狙うのは厳しいだろうとサンヨン+テレコンのついた7Dを構えていたのだが、本来RAWで撮るべきところがJPEGになっていた。これがまず失敗。さらにろモードダイヤルがずれて、いつの間にかマニュアル露出になっていた。これで完璧露出アンダーorz

 さらに7DじゃAFがあわん・・・

 結局全部没ショットになってしまい凹んでいると、船頭さんがもう一回やるから準備して!という。

今度は失敗できないぞ。サンヨンのボディーを7Dから幕4に付け替え、さらにテレコンも外す。さすがにこれなら追従できるだろう。

 再び船頭さんが口笛を吹き小魚を放り投げると、サンショクウミワシはまたやってきた。今度は逃すもんか、とファインダーに入れ続け連写しつづける。しかしやっぱり距離近すぎ。さらに露出をAモードにしていたので、シャッター半押しでAEロックする仕様にしてある幕4は最初のショットで露出が固定されてしまいかなりのアンダー気味、なさけない・・・

とても納得のいく一枚というわけに行かなかったが、僕の連写音を聞いて「こんどはばっちりだろ!?」と喜ぶアンドリューにはそんなこと言えず、「ま、まあね(汗)」と喜ぶふりをしてこのイベントは終了。まあ餌付けだし別に良いよな、と自分に言い聞かせる。

さあ、それじゃ次行こう!

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