カバの恐怖と天の川の夜
 
暗い部屋の中は涼しくて、そこではプールから帰ってきたひーことたいきが寛いでいた。

 ビール飲みたいね、と言うと、それじゃ私の分ももらってきて、とひーこ。オレはジュースが飲みたい!とたいき・・・
 と言う事は僕がみんなの分もらってくるってことですか・・・まあ今日の午後は二人をほっぽらかしにして鳥撮りしてたんだし、これからの事もあるからあまりひーこには逆らわない方がいいか・・・というわけでたいきを道連れにレストランの横のバーに行き、冷えたタスカー2本とコーラをもらってきて、部屋の前のテーブルで乾杯。

 ん〜〜、これまた美味い〜〜!キンキンに冷えたビンからラッパのみで流し込むタスカーは最高だ。
 干からびた身体にどんどん染込んでいくみたい。

 目の前にはカンムリカワセミのいる湖が広がり、庭のどこかにはセネガルショウビンが住んでいる、こんなシチュエーションでビールを飲んで寛げるなんて極楽じゃ〜。

 喉の渇きも癒され一息つくと、たいきは部屋にDSをしに行ってしまった。ひーこはビールを飲みながら読書タイムと各自好きな事をするようなので、僕ももう一度鳥撮りでもしようかな。でもちょっと疲れたな。

 とりあえず椅子に座って部屋の周りを眺めていると、ツコオナガテリムク(Pueppell'sLong-tailed Glossy Starling)が歩いていた。
これはまだ撮っていなかった種類なのでカメラを持ち出して撮影する。もう大分日も傾いてきたが、こんな状況でも撮影できるのは幕4の高感度のおかげだ。7Dと比べるともう月とスッポン。ISO12800でもリサイズすればノイズまみれってほどでもないんだからすごいよなあ。

 これで勢いがついたので、ついでに部屋のそばの木に集団で営巣しているマミジロスズメハタオリ(Whitebrowed Sparrow-weaver)も撮っておく。この鳥いっぱいいるのだが、枝の入り組んだ所にいるのでなかなかいいのが撮れない。まあまだ初日だし、これから撮る機会はいくらでもあるだろう。その木の下を歩いているのはフタスジヤブコマドリ(White-browed Scrubrobin)だ。警戒心が少なく、すぐ近くまで寄らせてくれた。

 日が沈む頃、もう一度湖畔まで行って見た。 静かな湖面には、カンムリカワセミの声が響き渡っていた。

夕暮れの空をアマサギの群れが飛んでいく。のどかだ・・・

 と、その時、すぐ近くで「グワハッ」という大きな鼻息のような音が聞こえてきてビクっとする。これはもしやカバ?

 そういや夜になると庭に上がってくるっていってたよなあ。いままで鳥撮りに夢中で忘れてたよ・・・
 こうしてパラダイスは一変して恐怖が支配する危険地帯に変わってしまった。

 ビビりながら音のするあたりに注意していると、そこら辺のパピルスが動いている・・・
 さらに監視を続けると、再び「ブフォッ」と言う音がして、パピルスの向こうにあくびをしている大きなカバの上あごが見えた。ひえぇ〜やつら段々岸に近づいてきてるようだ(T T)

気がつくと水から目と鼻だけ出してあたりの様子をうかがっている姿があちこちに見える。上陸するチャンスを狙っているのだろうか・・・

 このままではやばいと思い鳥撮りは終了し部屋へ戻る。
 そして不安を紛らわすために追加のタスカーを買いに行ったり飲んだりしているうちに夕食の時間になった。今の所カバの襲撃はうけていない。

 この日の晩ご飯はあまり記憶になく画像もない。カバの事でちょっと動転してたのかもしれない。
 ブッフェ形式であまりたいしたものはなかった気がするが、たいきが「アフリカのご飯にはふりかけが合わない」と文句を言っていたのは覚えている(^^;

 レストランで夕食を済ませ、お土産のタスカー片手にほろ酔い気分で部屋に戻る途中、ふと空を見上げるとすごい数の星と一緒に天の川がくっきり見えた。こんな風にしっかり天の川を見るのは何年ぶりだろう。
あまりの綺麗さにカバのことも一瞬忘れてしばし夜空に魅入っていた。

 そのあと部屋から幕4と広角レンズを持ち出して星空を撮影してみる。ISO12800だとそれなりのSSが出て、流れないで星が撮れてしまう。技術の進歩ってのはほんとにすごいなあ。

 高感度のすごさに調子に乗って、庭にぽつんとある電灯の近くにいたコウモリを撮影みたが、ファインダーでは暗くて何も見えないのにSSは1/8で一応ちゃんと写ってる。すげ〜


 なんてことをしていたら、暗闇の中からぬっと黒い影が現れた!ヤバイ!カバ!?すっかり忘れてた!

・・・と、正体はセキュリティのおじさん(^^;

 「夜はカバが出るから暗いところには行かないように」と注意されたので「やっぱりカバはやっぱやってくるの?危険なの?」と聞くと、「危険だけど、ここの草を食べに上がってくるんだからしょうがない。私達が一晩中見張ってるから大丈夫だ」と、心強い答えをもらった。それなら安心して眠れるな(^^)

 というわけで多少安らかな気分になって部屋に戻ると、ひーことたいきはすでに爆睡していた、なんだよ〜一人で置いてくなよ〜

 しょうがないので一人寂しくタスカーを飲みほし蚊帳をくぐってベッドに潜り込む。
カバの吠え声で目が覚めたら怖いので耳栓をしてから横になったが、はたして眠れるか心配だなあ・・・しかし連日の早起きの疲れも手伝ってかすぐに意識がなくなっていた(^^;

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