VSカバ?朝撮りも命がけ
 散々ビビらされたわりには、結局この晩は、カバのドシンドシンという足音や「グワハ〜」という盛大な鼻息や、何て鳴くのかわからないがその吠え声に悩まされる事もなく、平穏無事に過ぎて行った。これもセキュリティーのおじさんが寝ずの番をしててくれたおかげかな。ありがたいことだ

 翌朝は5時ころ目が覚める。外はまだ暗そうだ。カバはどうしたろうと思い恐る恐るカーテンの陰から庭を見渡すと、昨夜点いていたはずの照明は消えていて、真っ暗で何も見えん。
 セキュリティーのおっさんもいる気配がない。アノヤロー調子のいいこと言いやがって、全然見張りなんてしてないじゃんか〜 でもまあカバもいなそうで一安心だ。

 それじゃ顔でも洗おうかと洗面所に行くと、蛍光灯の下にユスリカの死体がいっぱい落ちていた。まあこれも自然が豊かな証拠だろう。


  午前6時、まだあたりは薄暗い。

 しかしせっかくアフリカまで来て部屋いるのももったいないので、ヘッドランプの明かりを頼りに部屋を出て鳥撮りに向かった。もしかしてまだカバがいるかもしれないのであたりをライトで照らしながら慎重に進む。
そして湖畔までたどり着くと三脚とレンズをセットした。

   東の空がだんだん赤みを増していくのを見る限り、もうカバの危機も去ったようだ。
朝焼けに赤く染まった鏡のような水面には時折なにかの波紋で縞模様ができる。

 その美しさに見とれていると、不意に凄く近くでいかにも機嫌の悪そうなカバの「グワッハ〜」という鼻息と「バシャン!ドシャン!」という水の中でのたうつような大きな水音が聞こえた!めちゃやばそ〜、カバオコッテルヨ〜(泣)

 湖の中から水を蹴散らしてこちらに突進してくるカバ!!(←ここ想像)
 その襲撃から逃れるため、カメラと三脚は放置したまま、一目散にその場を逃げ出した(^^;

 100mほど走っただろうか、久しぶりの全力疾走で荒くなった息を整えつつ、木の陰から見捨てられたロクヨン達の様子を伺うと、カバに踏み潰されることもなく無事にそこに佇んでいる。あたりにカバの姿も見えず、どうやらさっきのは襲撃じゃなかったようだ。それにしても怖かった〜(大汗)

 しばらく木陰から様子を伺ったが、カバが出てくる気配もないようなので、ビビリながらもロクヨンのところに戻り、とりあえず水際から避難する。

 部屋の方まで逃げる途中、芝生の上で何かをついばんでいるシュモクドリ(Hanmmerkorpf)を発見!
ISO12800で撮影した。

 そのうちあたりも大分明るくなってきた。ここまでくればカバの危機は完全に去ったと思っていいだろう。

 警戒しながらも岸辺に近づいてみると、カバたちはかなり沖の方で見え隠れしている。勝ったな・・・(爆)

 カバ危機の去った湖畔には、岸に寄せて来る水音だけが響き、平安な静けさが広がっていた。

 その静寂を破る「チィ〜」という甲高い鳴き声と共に、今日最初のカンムリカワセミが沖目の木にやってきた。
ん?なんか魚を給餌体制で咥えているぞ!

 と思ったらメスがやってきてあっという間に給餌終了。この明るさじゃトマリモノなら何とかなるが、相手に動かれるとブレブレで何が写ってんだかわからなかった。

 そのあと2羽のカンムリカワセミはさらに沖目の水没したアカシアに移動。

 メスが羽を震わせておねだりのポーズをしていたがやがてそろってどこかへ飛んでいってしまった。
 でもこれならチャンスはあるかも。しばらくここで待機してみよう。

 すると5分位してカンムリカワセミが戻ってきた。ちょっと遠いがいい所に止まってくれた。
この濃い色はオスだろう。何度見ても綺麗だよなあ。

 カンムリカワセミはしばらくここらへんを行ったりきたりしていたので、ボディーをIXYにしてデジスコロクヨンでアップを狙ってみた。しかしやっぱりブレが出るのか距離がありすぎるのか、いまいちくっきりとは写ってくれなかった。

 沖の枯れ木に目をやると、ヒメヤマセミとハリオハチクイの群れが止まっていた。

水辺にはアフリカクロクイナ(Black Crake)やツバメゲリ(Spur-wihged Prover)がえさを探し回っている。

カモやサギもどこかに飛んでいったり飛んできたりと世界は朝の活気にあふれてきた。

  庭の木にはきょうもコオナガテリムクが止まっていた。

 こうして鳥撮りに夢中になっているうちに朝食の時間になってしまった。
ほんとはもうちょっと粘りたかったのだが、今日はこれからボートサファリがあるのでそうのんびりもしていられないのだ。

 一度部屋に戻ると、たいきとひーこを起こし「結局カバは来なかったねえ、やっぱおれたちをビビらせようと思ってみんな大げさなこといってたんじゃねえの?」と話しつつレストランに向かった。

 すると途中の道に大量の草の混じった泥のようなものがばら撒かれているじゃないか・・・これってもしかしてカバの糞でないの!?しかも新鮮・・・やつらやっぱり来てたんだ(−−;

 さらにその先に「野生動物危険」と書いている看板発見。

 この場合野生動物ってカバの事だよね?やっぱ危険なんだ。知らぬが仏、ぐっすり寝ててよかったよ・・・(汗)

 しかし今晩ももう一泊するんだよな。どうしよう・・・

 と不安を抱えつつレストランに入ると、これまたブッフェ形式の朝ごはんを食べる。内容は萌えるほどでもないが、一応卵料理コーナーにはコックさんがいて、頼んだとおりに調理してくれた。

 食事のあと急いで支度をして約束の9時にフロントに行ったのだがアンドリューの姿はどこにもない。
 ホテルのスタッフに「うちらのガイド知らない?」と聞くが見ていないと言う。どうしちゃったのかな?

 念のためエントランスの向こうの駐車場までいってみるが、うちらの車はどこにもない。
そかわり木の上にズグロコウライウグイス(Black-headed Oliole)を見つけた。

 おかしいなあと思いながらテラスに戻るが、宿泊客はほとんどツアーに出かけてしまった後のようで、ホテルの中は静まり返っていた。このまま待っていても時間がもったいないので、アンドリューの事はひとまず忘れることにしてしばし鳥撮りタイム。その間ひーことたいきは部屋で休憩しているそうだ。

 さっそくロクヨンを担いで歩き出すと、庭の木の上で仲良く羽繕いをし合っているチャイロヤブチメドリ(Rufous Chatterer)発見。

ウツクシオナガタイヨウチョウ(Beautiful Sunbird)も出てきてくれたが空抜けででいまいち

そのあとカンムリカワセミを探しに桟橋の所に行ってみる。

すると沖のほうで浮き沈みする黒いものが見えた。カバだ!

 カバのやつ、じっとこっちを見てるよ。 やっぱ凶暴そうな目をしてるよなあ。でももう朝だし怖くないもんね〜

 岸辺の草にはズグロハタオリ(Black-headed Weaver)が止まっている。
その下の水辺をごそごそ動いているのはナイルオオトカゲだ。

 カンムリカワセミは相変わらずチーチー言いながら飛び回っているが、いまいち良い所には止まってくれないんだよな。
なんせ距離が縮まらないのだ。水の中にジャボジャボ入っていくわけにも行かないしね。

 色の薄い個体もやってきた。こいつはメスのようだ。

ヒメヤマセミも相変わらずたくさんいて、にぎやかにキャラキャラ鳴き交わしていた。

 これだけ鳥がいるんだからもうボートサファリなんて行かなくてもいいかな、と思ったのだが、9時半になったので一応みんなでもう一度テラスの所に行ってみるとアンドリューが待っていた。
 どうしたの?9時に待ってたんだよ、と聞くがゴメンなさいと言うばかり。お腹でも壊してたのか、それとも昨日飲みすぎたかな?まあいいや、それじゃボートサファリに出発だ!

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