ディープで充実 イブニング鳥撮り |
テラスへ行くとアンドリューと双眼鏡を持った少年が待っていた。かれが今日お世話になる地元ガイドのマックスくんだ。サッカーウエアを着た小柄な姿はベテランガイドには見えないのだが、大丈夫だろうか。 うちら一向はホテルを出ると、そのまま駐車場脇の細い道に入り、ホテルの塀沿いに歩いていく。 するとちょっとした広場があって、そこには欧米人のバードウォッチンググループの先客がいた。アンドリューの話だと、ここの木にアフリカオオコノハズクがいるそうだ。 VRロクヨンとD3Sのおじさんがいたので何処にいるのか教えてもらうと、葉っぱ被りが激しいが、確かにその木の上の方にアフリカオオコノハズク(African
Scops-Owl)がいた。オオコノハズクというだけあって確かに大きい。 しばらくロクヨンおじさんとD3Sの話などしながら目を開けてくれるのを待っていたが、全然その気配はない。まだこの先他のポイントも回ると言う事で、後ろ髪を引かれる思いでこの場をあとにした。 駐車場に戻ると車に乗り込み出発。いよいよ本格的な鳥撮りになってきたぞ。 何の鳥のポイントなのかもわからないので聞いてみると、マックス君が持っていた鳥の写真集を開いて、この鳥だよ、と教えてくれた。なんだ、マックス君英語じゃべれるんだ。しかもアンドリューよか全然わかりやすい。アンドリューは流暢過ぎるのかな? ここで狙う鳥はウロコクビワスナバシリ(Hewglin's Courser)と言う鳥だった。ツバメチドリの仲間らしいスナバシリは予習で見てみたいと思っていたので楽しみだ。 マックスを先頭に、道路わきの斜面をどんどん登っていく。しかし暑い。さらにロクヨンがやけに重く感じる。疲れているんだろうか。 5分ほど行ったサバンナの真ん中で、マックス君は足を止めた。ここらへんがポイントだそうだ。ここからマックス君とアンドリューが二手にわかれて捜索開始。 僕はその場で待機させてもらう。それにしてもここらへんの植物はアカシアにサボテンと刺だらけだなあ。 しばらくするとマックス君が呼びにきてくれた。後についてゆき、彼の指差す辺りを見るが、何がいるのか良くわからない。カメラを託しファインダーに入れてもらうと、草陰になんとか背中だけが見える。でもこれじゃあねえ。 そこで密生したサボテンを廻り込んで近づいてみると、すぐ目の前でつぶらな瞳がこっちを見ていた。ウロコクビワスナバシリだ!しかしこんな保護色されてちゃわかんないよなあ。 ウロコクビワスナバシリのクビワがよくわかる、地味だけど複雑な模様の鳥だ。 ウロコクビワスナバシリは一向に動く気配がないのでこの場を引き上げ次のポイントへ向かおう。 しかし疲れたなあ。夕方とはいえ気温も高いし車にはクーラーもない。移動中の風だけが元気の元だ。普段水なんてほとんど飲まないのにやたらとノドが渇くので、持ってきた500mlの水をもう半分位飲んでしまった。 そんな移動も5分もかからず終わってしまい、再び路肩に駐車。ここではヨタカを探すそうだ。民家の横の細い道を入ってゆく。日干し煉瓦で造った塀に囲まれた民家では、お母さんと子供が晩御飯の仕度の真っ最中。 そしてその先の廃墟周りが今度のポイント。再びアンドリューとマックス君は二手に分かれる。僕はアンドリューについていく。二人は一定の距離を取り、スワヒリ語で話し合いながらヨタカのいそうなあたりを探っていく。するとアンドリューの足元からヨタカが飛び出し、サボテンの茂みの向こうに飛んでいった。 すぐに降りただろうということで、そのあたりに近づいていくと、石ころだらけの地面の上にマックスがヨタカ発見。相変わらず見事な擬態だ。 一度居場所がわかればこっちのもん。と思って場所移動したが、何処にいるのかわからなくなってしまい、もう一度マックス君に教えてもらう。なんて種類のヨタカか聞いたのだがLong−tailedではないかとのこと。 しかしヨタカを探し回って体力はもはや限界。車に戻るともうグッタリだ。残り少ない水をちびりちびり飲みつつ移動開始。 今度の移動はかなり長めなようで、窓からの風でしばらく涼む事ができそうだ。 車はガタガタ揺れながら森の中を走り、崖のふもとで止まった。もしかしてこれからこの崖登るんじゃないだろうなあ? と思ったら悪い予感は当たり、マックス君はどんどん崖を上り始めた。う〜ん辛そう。 まあしょうがない、付いて行くか。最初は普通に歩いて登れた崖だが、斜度がだんだん急になってきた。このままロクヨン付けた三脚を担いで登るのも辛いので、マックス君に三脚だけ持ってもらってなんとか崖上に登頂。 ここもさっきに引き続きフクロウ系のポイントらしい。 足場の悪い崖の上にカメラをセットする。 するとちょっと見下ろし気味の正面の木にアフリカワシミミズク(Spoted
Eagle-Owl)が止まっていた! しかしマックス凄いね。 さすが地元ガイド。ポイントを良く把握してる。今回会ったなかで唯一の「鳥」ガイドと言ってもいいんじゃないだろうか。 アフリカワシミミズクが目を開けないかなあ、とファインダーに集中していたら、いつの間にか知らないおじさんが隣に座っていた。何処から来たの!? そしてさらに子供達が崖の下からわらわらと沸いてきた。見渡す限り家が見えないようなこんな所でも結構人が住んでいるんだな。 子供達が何してるのか聞いてくる。 目はいまいちちゃんと開けてくれなかったもののアフリカワシミミズクもたっぷり撮ったので、撮影は終了。 帰り道、みんなで一緒に崖を降りていると子供達はいきなり「1$ちょうだい」・・・なんだよ、ここでも金くれかよ〜。仲良くなったと思ってたのになんかがっくりだ。 そして車のところに着くと、うちらの車は地元のお母さん達に囲まれていた。 なんだなんだ?と思っていると、お母さんたちは歌いながらジャンプしてダンスをはじめた。 ダンスのあと、長老っぽいおばあさんにアンドリューがすかさず紙幣を握らせるのを見たが、おばあさんはアンドリューとしきりに何かを言い合っていた。 そして車が走り出すと、さっきの子供達が手を振りながら走って追いかけてきてくれた。そして叫んでいた言葉は・・・ 「Somethi〜ng」 orz 気を取り直して先に進むか。車は舗装道路に戻るとホテルと反対側のほうに向かう。 しかしほんと疲れた、ペットボトルの水もすべて飲み干してしまいノドも渇いた。あと何種くらい行くのだろうか?はたして付いていけるかなあ、と思っていると、車は再び舗装道路をそれ、ダートの道を上っていく。 崖の所まで行って眼下に広がるサバンナを眺めていると、遠くに何か動くものが見える。 しばらくするともう一台のサファリカーがやってきて、中から欧米人のグループが下りてきた。 一方、夫婦2組と思われる欧米人のグループは、ロクヨンが気に入ったらしく色々話しかけて来てくれた。 彼らはここで夕景を眺めながら一杯やるようで、クーラーボックスからワインやウィスキーを取り出した。 生憎空には雲が広がってきて夕焼けは見られなかったが、3杯目のワインでいい気分だ。 どうしようかねえ、とフランスチームと話していると、アンドリューが「とりあえず車に乗って待っていて」と言いに来た。話はついたのかな?と思ったがその後も話し合いは延々と続く。 それから30分位が過ぎた頃、話し合いはやっと一応の決着が付いたようで、悪徳警官モドキは車に乗って道を明けた。気付かなかったけど、アノヤローいままであの乗用車で道を塞いでいたのだ。それで帰れなかったのか。 アンドリューとマックスが車に戻ってきて「それじゃ帰ろう」と車を出す。いったい何かあったのか聞くと、あのオッサンは地元の有力者で、この丘の上は自分の土地だから入場料を払えと言ってきたらしい。でも実際は公共の土地だから、そんなお金払う必要は全然ないらしい。「あのオッサンが勝手に言ってるだけなんだ!」と怒り心頭のアンドリュー。「BadGuyってやつだね」というと「そうそう!あいつはBadGUYだよ!」とマックス君と一緒に盛り上がっていた。 ホテルまで送ってもらい、別れぎわマックス君にチップを渡すと、とっても喜んでくれた。でも今回はチップを払うだけの価値のある内容だったよ。 まあとりあえずビールビール!機材を置いていそいそと通いなれたバーに行ってビールとコーラを注文し、カウンターに座って冷蔵庫から出してくれるのを待っていると、いきなり電気が消えた。なんか停電みたいだ・・・ バーのおじさんは慣れた様子でろうそくに火をつけ、栓を半分開けたビール2本とコーラを渡してくれた。この停電、普段はどれくらい続くのか聞くと、すぐ直ることもあるし、一晩中電気がつかないこともあるそうだ。 空にはまだわずかに明るさが残っていたので、その光を頼りに部屋に戻るとひーこがろうそくに火をつけていた。初日に見つけたろうそくがここで役に立ったわけだ。 ひーこはいきなり真っ暗になったので、たいきのDSの明かりを頼りにろうそくを見つけて火をつけたのだそうだ。たまにはDSも役に立つんだな。 それじゃ待ちに待ったビールと行こうか。ろうそくの明かりの中みんなで乾杯!う〜〜〜〜いつもにも増してビールが美味いぞ〜〜〜〜 身体に染み渡っていくようだ。今日のノドの渇きは半端じゃなかったもんな。さっきワインを飲んじゃったからますますノドが渇いてたんだ。 人心地つくともう食事の時間。懐中電灯やヘッドランプを探し出し完全装備でレストランに向かう。 レストランではテーブルにロウソクがおかれていて結構明るい。いつもの窓際の席に案内され、まずはタスカーを注文。運ばれてきたスープをいただく。 スープのあとブッフェの料理を取りに行くが、暗くて何があるか良くわからない。 そのあと中国人たちが一息ついた隙を突いて、僕らもなんとか料理を取って来る事ができた。 ロウソクの光の中で食べる食事もなかなか雰囲気があっていいんじゃない? そして食事を食べて終わるころ、やっと電気が復活し明かりがともり、レストラン中から歓声が上がった。 しかしこれだけやかましい中国人集団がいれば、今夜はカバも上がってこないだろうから安心して眠れるな。
|