ダートの洗礼


ナロクから道を左に入ると、あとはマサイマラまで一本道だ。道は予想外に舗装してある。
この10年で整備が進んだんだろうか?でもまあダートが少ないに越した事はないのでちょっとうれしい。

しばらくはナロクの郊外を走るのだが、この街は石作りの壁で出来ている家が多くて、石垣が連なった砦のようだ。

ちょっとした空き地では子供達がサッカーに興じていた。ボール一つで遊べるサッカーは世界共通の遊びなんだろう。

そのうち周りの家も見えなくなってきて、いよいよナロクを抜けたようだ。あとはひたすらサバンナの中を進むのみ。

道路の舗装はまだ続いているが、だんだん路面が荒れてきた。
しかも所々舗装がはがれて穴が開いている。きっと整備なんてしてないんだろう。
はじめのうち、アンドリューは巧みなハンドルさばきで穴をよけていた。

 しかし進むにつれ道路の穴の数はどんどん増えていき、しまいには穴だらけになってしまった。
もはや避けられるなんてレベルじゃない。無理やり突き進めば激しい段差でパンクしたり車が壊れたりしかねない。
これに比べればボゴリア湖のボコボコ道が赤ちゃんに思えてくる。

 何とかまともに通れるのは路肩だけ。それでも乗り心地は大してよくならず、ダートを走っているのと変わらない。
しまいにはあえて舗装道路を避け、横のダートを走り出す車も出始めた。ほんと性質の悪い道だ
そんな状況の中を何台ものサファリカーが抜きつ抜かれつしてマサイマラを目指しているのだ。
これじゃほとんどサファリラリーだな。

そんなガタガタの道を走り続けてやっと次の休憩所に到着。乗り心地がひどかった分、なおさら遠く感じたなあ。

シートの上で振動を受け続け痛むオシリをさすりつつ外に出ると、さっきまでより空が一段とと青い気がした。
文明社会から遠く離れてきた証拠だろうか。

ここのトイレに書いてあったのがこのマサイ族の人の絵。男便所と女便所を表しているのだが、
男が長髪で女が坊主なので、どっちが男でどっちが女か、かなりわかりづらいのだ(^^;

トイレの中は意外にも綺麗で、なぜかピンクで統一されていた。

ひーこのトイレチェックによると、ここの個室は和便形式だったそうだ。

このタイプ、東南アジアでも良く見かけるけど、世界的に見ると和便の方がスタンダートなのかな。

すっきりした所でちょっとお散歩。日差しは強いが空気はとっても爽やかだ。

こんな乾燥しきったような土地だが、道路際にはアザミが咲いていて、その紫が際立っていた。

休憩ポイントはここで最後。次に停車するのはマサイマラに着いたときだ。それじゃあとちょっと。がんばろう

ここから先はひたすら荒野が続くのみ。道もいつの間にか完全なダートになっていた。

さっきのボコボコ舗装も辛かったが、やっぱりほんとのダートは辛さが違うわ(汗)
この道は、車でマサイマラに向かう時には避けることの出来ない通過儀礼のようなもの。

このダートを80km近いスピードで飛ばすもんだからその揺れは荒波の海を飛ばずボート並みだ。

 ブルドーザーが均したと思われるキャタビラあとのような細かい振動と、地面の凹凸から来る大きな振動がミックスされ、もう体中がたがたになりそうだ。隣の席においておいたカメラリュックが振動でずれ落ちてきたので助手席に乗せかえてしっかりシートベルトを締めなおす。しかしきついなあ。

時折見える人工物はマサイの放牧場とか

マサイの集落とか・・・

そんなのだけ。しかしマサイの建物って、自然の中のあると全然目立たなくて動物の巣みたいだ。

さすがにここまで来るとキリンが普通にいてもあまり違和感がない。

マサイの放牧している牛の群れだと思ったらヌーの群れだったりもする。
ここまでくればもうほぼマサイマラだ。
しかしマサイマラと言ってもかなりの広さ、目的地はまだはるか彼方だろう。

そしてダートとはいえ一応メインロードだったと思われる道さえそれ、
サバンナの中の木々の間を縫うようにして道なき道を走り始めたサファリカー。
周りにはもはや文明の香りはどこにもなく、マサイの家どころか轍さえない。

永遠とも思えるようなダートが続き、最後の休憩からもはやどれだけ走ったかわからなくなった頃、
木立の向こうにゲートが見えてきた。

あ、あれは・・・マラシンバロッジ・・・・

やっとついた〜〜〜

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