ナイロビ行き超特急

 
さあ朝だ。トイレに行くとケツを拭いた紙に血がついていた。長旅で僕のケツ穴もついに限界を迎えたようだ。

 一方ひーこもお腹が痛いらしい。最後の最後でどうしちゃったんだろ?と原因になりそうなものを思い浮かべると、
やっぱり昨日のランチボックスのフルーツ以外考えられないな・・・(汗)あんな全力で平らげちゃって自業自得だ。

それぞれそんなトラブルを抱えながらも荷物を片付け部屋を出た。元気なのはたいきだけだ。

 フロントへ行ってチェックアウトをしていると、一昨日一緒にワニを探したセキュリティーのおじさんが通りかかった。
僕の事は覚えてくれていたようで、今日帰るというと、また来てくれよ、と言ってくれた。
ついでにたいきと一緒に記念写真を撮ってもらう。いろいろありがとう。

そして清算も終わり外に出ると、ちょうど朝日が昇るところだった。

これでマラシンバロッジともお別れだ。すごく居心地のいいところだったな。11年ぶりというのに全然古さは感じられなかったし、またマサイマラに来る機会があれば泊まりたいロッジだ。

それじゃナイロビに向けて出発しよう。

今日のダートは昨日の雨でぬかるんでいた。
でも走り出すとその分細かい凹凸が均されて、意外と乗り心地がよくなっているのに気づく。

そんなダートをアンドリューはかなりのスピードで突っ走った。宿を出たのが7時半。となるとナイロビ到着予定は午後1時半くらいだろうか。それに間に合わすために焦っているのかも。

 窓の外には今日も雲と光が織り成す絶景が広がっているが、アンドリューの必至さを見るととても止めて欲しいなんて言える雰囲気じゃない。なので窓を開けて走りながら撮影する。

昨日までヌーとシマウマだった草食動物の群れが牛の群れに変わり、
それを放牧しているマサイ族の姿を見たとき、もうここは動物保護区の外なんだ、というのを実感した。

 やがて道はナロクへと続くメインロードに合流。と言ってもこちらもデコボコのダートだ。さらにここは交通量が多いから路面がとっても荒れていて、ちょっと雨が降ったくらいじゃゴツゴツ感はちっとも軽減されていなかった。

 そんな道をスピードを落とすことなく飛ばし続けるものだから、車はボンボン跳ねまくり、荒れた海を飛ばすボートにのっているようだ。機材が大丈夫か心配になってくる。

 さらに前に走っていた車を無理やり追い越そうとして危うく横転しそうになったりして、こんなんではたして生きてナイロビまでたどり着けるか心配になってくる。

 この後しばらくはただひたすら天井に頭をぶつけないようにふんばって、揺れに耐え続けた。

 そして長く辛い時間が終わり、やっと路面がデコボコ舗装になると乗り心地は一気に改善された。
 来る時はあんなに荒れていると思っていたデコボコ舗装だが、片輪が舗装路に乗っているだけではるかに快適、景色を眺める余裕も出てきた。

外を見るとうちらの車を追いかけてマサイの子供が手を振りながら走っている。
こっちも窓を開けて微笑みながら手を振り返すと片手を上げて「Somethi〜ng!」・・・orz

まあこれもアフリカの一つの面だからしょうがないわな。いい加減慣れてきた。

セグロジャッカルは路肩でおしっこ中

検問所みたいな所で停車してアンドリューがなんかの手続きをしている時、
その横の木に止まっていた猛禽、これは冠羽があるからヒメイヌワシで間違いないだろう。

そして周りに建物が増えてくるともうナロクの街だ。来た時より確実にペースが速いな。

ここで休憩をかねてガソリンスタンで給油をする。
ただでさえお腹ピーピーだったのに激しく揺られてもう爆発寸前だったひーこは慌ててトイレに駆け込んだ。

こちらがそのトイレ

なんとか間に合って一安心、でもなんか具合悪そうだ・・・

ナロクからは路面舗装も綺麗になり、さっきから比べるとまるで水の上を滑っているようだ。
ひーこは一番後ろの席で横になり本格的に休養することにしたようだ。

僕もあまりのズムーズさにいつの間にか気絶していたようで、次に気がついたのはマイマイウの町に入ったときだった。

マイマイウを過ぎるとすぐグレートリフトバレーから出るための長い上り坂が始まった。
9日前、希望に胸ふくらませて下ったあの長い坂だ。あの時のことがはるか昔のことのようだな。

そして坂を上りきるとグレートリフトバレーを見渡せる展望台、というかお土産物屋に到着。

ここでまた15分の休憩。ひーこは再びトイレに行ったがお腹は痛いのに何も出ないというかなり辛い状況らしい。
しかしお腹だけは丈夫なひーこがこんなになるなんて、よっぽど強いバイキンにやられたんだろうな。
ほんと他人事でよかったよ〜(^^;

 とりあえずお土産物屋に入ってみると店員がしつこくまとわり着いてきた。そうそう、これがほんとの土産物屋ってもんだ。こうなると意地でも買いたくなくなったが、一応どんなもんがあるか眺めていると、ワニ探しの時マサイ君が「これ買わない?」と言ったの同じような棍棒みたいなやつが置いてあった。
 でも仕上げは荒くていかにもお土産物用に作りましたって感じの代物だ。試しに「これ幾ら?」と聞くと、店員は待ってましたとばかりにこの棍棒の良さを力説しだした。値段が幾らなのか聞いてるんだけどねえ。
 改めて幾らか聞くと、30$!たっけ〜〜〜、そんな高いの?じゃあいらない。
でも店員は30$は安いよ、としつこい。こっちが知らないと思ってぼったくろうとしているのが見え見えだ。
 腹が立って「マサイ族はもっとちゃんとしたやつを10$でいいって言ってたぞ!」と言うと、店員も怒り出して「それはマサイ価格だ!」とわけのわからない事を言い出した。じゃあやっぱ高いんじゃないか!だったらマサイ族から買うからますますいらないよ!

 険悪な雰囲気になったのを期にお土産物屋を脱出。崖の所へいってグレートリフトバレーをバックに記念撮影をした。

崖を見下ろすと、茶色い大地に咲く赤い花がとても鮮やかに見える。

岩の上ではトカゲが日光浴をしていた。いままで過ごしていた自然がいっぱいの世界をあとにして
これからナイロビの街中に向かうと思うと、こういうちょっとした野生のものとの出会いが名残惜しく感じる。

 さあ、休憩時間も終わりだ。車に戻って再びナイロビに向けて出発しよう。

前へ目次次へ

鳥見旅行記トップへ

inserted by FC2 system