最終目標 カニチリ


再びタクシーに乗ってクラークキーに戻ってきた。今日もリバーサイドのライトアップが綺麗だ。

まだ夕食にはちょっと早いので、川沿いに並んだバーに入ってみる。
夕暮れ迫る川沿いの景色を眺めながらの一杯もまた格別だ。

ここで暗くなるまで過ごし、そのあとは夕食を食べるべく店探しに出かけた。

今回アフリカの帰りのシンガポールに寄ったのにはひとつ大きな目的があった。それが

カニチリ!

と言ってもカニチリ鍋ではなくて、蟹のチリソース炒め!
ガイドブックで一目見て、これは食べておかにゃ、と家族で意見の一致を見たわけだ。

このリバーサイドにはシーフードで有名なお店があるということだった。それじゃそのお店に行くしかあるまい。

 リバーサイドポイントの並びにあるその店は、オープンエアの席が並んで川の景色を眺めながら食事が出来る素敵なシチュエーションだった。でもまあもうちょっと他所も見てから入るかな。何せ既にビール2杯を飲んでいるので気持ちのゆとりがあるのだ。

 と思っていたところに怪しい日本語を話す呼び込みの兄ちゃん登場。ここの2階で中華屋をやっていると言ってメニューとともに名刺を出してきて「ニホンジントモダチ」「ウチノリョウリ、オイシイヨ」「コノメイシミセレバ10%オフネ」と押してきた。でもうちらの狙いはさっきのお店。名刺だけもらってその場を離れた。

そして他のカニチリの店を探しリバーサイドを歩き回ったが、いまいちこれという店は見つからない。

やっぱりあの有名店に行くしかないかな。お腹も減ってきたしねえ・・・



 そして再訪した有名店はかなりの混雑で、店員に席が開いているか聞いたら、奥の方の階段の外にあるコンビニのの陰という、オープンエアの恩恵なんてどこにも見られない席に案内された。いくら料理が有名でもこれじゃなあ・・・

そこに再びあの呼び込み兄ちゃん登場、「カニチリモオイシイヨ!」と急所を突いてきた。さらに「マドギワノセキ、アイテルネ」と追い討ちをかけてくる・・・う〜んどうしよう。お腹も減ったしなあ。そこで「10%オフ、マチガイナイネ」となぜかこちらも中国風に尋ねると「マチガイナイ、リョウリモジシンアルネ」というので、ここで折れることにした。

 お客さんをゲットして喜ぶ兄ちゃんが「アンナイスルネ」といってお店に連れて行ってくれたが、外はこんなににぎやかなのに、ビルの中は閑散としていた。これじゃなかなかお客も来ないよなあ。

お店の外にはカニチリの素となるワタリガニが料理される順番を待っていた。
これを見て美味そうとは思えないけどまだ動いているから新鮮ではあるのだろう。

呼び込みをしてるだけあって店の中も閑散としていてちょっと不安になったが、
そのおかげで窓際の席が開いていたんだからまあいいか。確かにリバーサイドは良く見える。

それじゃまずはビールビール!ちょっと冷房が強めだけどそれでも美味いねえ

そしてここの名物だと言う黄金チャーハン2人前盛りと鳥の煮込み料理をいただいた。それにビールももう一杯!
チャーハンは具沢山で上に錦糸卵がのっている。これが黄金の由来だろう。
鳥のほうはエスニックな甘辛味でビールに良く合う。

そして本日のメインディッシュ、カニチリ登場!

期待していただけのことはあってとっても美味い!
ワタリガニだから身が少ないのかな、と思ったけど、そんなことはなく、結構身だくさん。

さらにこれをチリソースといっしょに黄金チャーハンにかけて食べるともう美味いの何の!
あっという間に食べつくしてしまった。

ひゃ〜美味かったよ〜

お腹もいっぱいになりでお会計しようとすると、10%オフになってないじゃん!と言うことで少々もめ、
さっきの兄ちゃん(実は店長だったっぽい)を連れてきて負けさせて、満足して店を出た。

今日でシンガポールも最後、そしてこの長かったアフリカ遠征も最後だ。明日からは日本での日常生活が待っている。
そう思うとこのまま部屋に戻る気になれず、もうちょっとリバーサイドを散歩することにした。

 この華やかなリバーサイド、日本にはこんな場所あるかなあ。
たとえ夏にこんな感じでも冬になれば寒風が吹きすさぶだろう。
そんな気候的なものは日本で真似しようったって真似できるものではない。
これもここが赤道直下の熱帯だから成立しているんだよな。

一瞬の夏のピークが一年中つづく、そんなところに熱帯への憧れを感じているのかもしれない。
でもそれも四季のある日本に暮らしているからこそなのかな。

そう思うとこの地をなんとも去りがたい気分になってきて、
もう一軒、リバーサイドの歩道に出ているバーのテーブル席に腰を下ろした。

そしてシンガポール最終夜、さらにアフリカ遠征最終夜を名残惜しみながらみんなで乾杯。

その目の前にはきらめくようなリバーサイドの景色が広がっていた。なんか夢みたいだなあ・・・

前へ目次次へ

鳥見旅行記トップへ

inserted by FC2 system