やんばる初日の朝が来た。
　去年の経験から暗いうちはヤンバルクイナを狙い、日が昇ってからは本命のアカヒゲに集中する事にして宿を出る。
空にはまだ月が明るく輝いていた。

　幹線道路から薄暗い林道に入ってすぐ、目の前をヤンバルクイナが横切る。今年も姿を見ることができて一安心だ。

　周りの森からはアカヒゲの声も聞こえてくるが、この鬱蒼と茂った森の中ではその姿を見つけるのは難しい。

　その後何度かヤンバルクイナを見かけるが、いずれもこっちの姿を見たとたん藪のなかへ一目散。
カメラを構える暇もない。なんかストレスたまるなあ・・・

　林道を進んでいくと、見覚えのある場所に出た。去年親子連れのアカヒゲが良く見られた場所だ。しかし今年は静まり返っている。まあ去年と全く同じ状況なんて期待するほうが無理か・・・それにしても今年はほんとにアカヒゲの姿が少ないなあ。

　そのうち日も大分高くなってきたので予定通りヤンバルクイナタイムは終了。あとは明日にかけよう。
　ここからはアカヒゲ一本狙いで行くつもりなので、林道には見切りをつけて、去年アカヒゲとノグチゲラが良く見られた場所まで一気に移動した。

　しかしその場所も今年は既に縄張りが決定してしまったようで、アカヒゲは定位置の藪の奥深くで囀るばかり。
　ノグチゲラにいたっては声も聞こえない・・・ガックリ。

　代わりに今年はアカショウビンの声が良く聞こえる。わりと近くで2羽が鳴き交わしていたのだが、ヤンバルアカショウビンの手ごわさは相変わらずで、結局その姿を見つけることはできなかった。

　と、そのうち急にお腹がギュルギュルし始めた。やばいやばい。おぼろげな記憶を頼りにトイレまで突き進みギリギリセーフ。
　ほっとして結果を確認すると・・・ゲゲッ！玄米そのまま出てきやがった！僕のお腹はやっぱり玄米は消化できなようだ。もう玄米ご飯はたべるのやめとこっと。

　しかしここがダメなんじゃ一体どこへ行けばいいんだ・・・全然いい考えは浮かばないが、このままここにいても良い結果は得られそうもないので一旦林道まで退却することにした。

　アカヒゲの姿を探しながら林道を引き返していくと、ちょっと開けた路面に想定外のヤンバルクイナ発見！
　こっちに気がつかないらしくその場で佇んでいる。これはチャンスだ。とりあえず助手席においてあった３００ｍｍF4ISと７Dのセットを掴み上げ、まずはフロントウィンドウ越しに証拠写真を撮ってから、窓からカメラを出して撮影成功！

　その直後、ヤンバルクイナはこちらに気付いたようで、草むらの中に駆け込んでしまった。とりあえず去年よりは近かったかな。
　でも去年の経験からすると、ヤンバルクイナは初日に撮れたのがベストで、日を追うごとに撮影するのが難しくなってくるんだよな。と言う事は今回これ以上のものは無理かも・・・

　　でもなんかこれで調子が出てきた気がする。次は本命アカヒゲ出て来い！

　路面に注意しながら車を進めていくと、ついに側溝から飛び出してきたママヒゲ発見！パパでないのがちょっと残念だが、とりあえず今回初のアカヒゲチャンスだ。まずは証拠写真と思って撮影。すると続いて藪の中からパパヒゲが出てきた！
　この際道路モノなんて言ってられないのだ。あわてて７Dサンヨンで一連写するがブレブレだ。こんなんじゃ撮ったうちに入らない。

　よっしゃ！それじゃ気合を入れて撮り直すぞ！とロクヨンとマク３を持ち上げたところに今日初めてすれ違う対向車がやってきて、パパヒゲは森の中に飛んでいってしまった・・・ううっ

　なんだか諦めがつかないので、ここに車を止めてアカヒゲが再登場してくれるのをしばらく待つことにする。
　三脚にレンズをセットして、ボディーはまく３をセットして準備は万端だ。

　そのマク３だがここのところ撮影した画像に1本くっきり横線ノイズが入ると言う症状が出ていた。どうもCFカードスロットのせいみたいだった、と言うかそう思いたかったので、今回はSDカードで撮影するつもりでいた。

　ここらへんで念のため試し撮りしておこうと思い、森にレンズを向けて撮影してみた・・・ら、げげっ！SDでも横線出てるじゃん！

　今まで「きっとカードスロットの”ちょっとした”故障だろう」とタカをくくっていたのだが、SDでもCFでも出るとなると、センサーとかもっと大切な部分の”重大な”故障だよなあ。
へたすりゃセンサー交換・・・修理にいったい幾らかかるんじゃ〜(泣）

　なんだか断然やる気がなくなってきた。
　そしてこんな時に限って目の前にノグチゲラが飛んできやがった、が、すっごく近かったのに撮り損なう・・・

　あ〜あ、アカヒゲもいないしヤンバルクイナにはことごとく逃げられるしマク3は壊れてるしノグチゲラも撮り逃がすし・・・

ショックのせいかなんだかすごく眠くなってきたよ・・・

今日はもう帰ろう・・・・