やんばる上流探検

 こうしてこの日の朝撮りは惨敗。もう何も撮れる気がせず、魂の抜け殻のようになったうえ、いざ帰ろうと思ったら道に迷ってしまい、細い林道を心細い思いで走りまわりほうほうの体で宿に戻った。

 部屋の前の藪では今朝もアカヒゲが「ピロッピロッピロッ」と鳴いているが、相変わらず姿は見れそうにもない。

 部屋ではひーことたいきが朝ご飯を食べていたので「俺にもグレ コンニャロウ!」と八つ当たりしながらパンをかじる。
 そのあと涙ながらに今朝の惨状をひーこに訴えるという緩急織り交ぜた高度な作戦により、明日の朝撮りリミットを10時半までのばしてもらった。明日はまた頑張ろう・・・

 食後のコーヒーを飲みながら、二人が朝の散歩で拾ってきたサンゴで作ったネームプレートを見せてもらう。へ〜、いろんな形のサンゴがあるもんだねえ。ちゃんとTAIKIになってるじゃん。

 空には薄雲が広がっているが、時折太陽も顔を出す、という天気。
朝飯の後は宿の横を流れる川に散歩に行ってみた。

 河原には朝っぱらからバーベキューパーティーのテントが並びとってもにぎやかだ。これじゃ鳥はダメだろうな。

 たいきは川の中を「ツメテ〜」とニコニコしながら歩いていくが、よその人がテントを張っている前でバシャバシャやるのも気がひけるので、あまり一所に長居はせずにどんどん上流に向かう。

 しかしどこまで行ってもポツポツとテントが続き、ひと気のないところがない。沖縄人はキャンプが好きなんだなあ・・・
 最終的に突き当たった大きなプールでは小学生の集団に遭遇。みんなで川に入る前の注意などを先生から聞いているようだったが、この場所が市民プールのようになるのも時間の問題だな。

 河原はここで途切れていたが、その先もなんとか進めそうだったので、崖を登ってさらに上流に行ってみる。

 道はどんどん細くなってゆき、もはや踏み跡なのか獣道なのかわからないくらいになりながらも、小さな滝を高巻くように続いていた。

木々の向こうには綺麗な緑色をした淵が見下ろせる。

 そのうち道はさらに険しさを増してゆき、たいきはついにギブアップ。
僕もカメラ片手にサンダル履きで進むのは厳しくなってきたので、ここで引き返すことにした。

 来た道を戻って行くと、下から若者がやってきてサルのような身のこなしで僕らを追い越して言った。どこまで行くのかな?と見ていると、さらに上流にある滝の上に顔を出し、そこから5mくらい下の滝つぼへ一気にジャンプ!すごいね〜。
 

 たいき達はとっとと引き返してしまったので、僕は一人で岸まで降りて川の様子などを撮りつつゆっくり下っていく。
エメラルドグリーンの淵と落ち込みが繰り返す景観は渓流と言ってもいい雰囲気だよなあ。
でもここから海まではまだ1Kmも離れていない。沖縄は海から渓流までの距離がほんとに近いのだ。

 さっきのプールまで戻ってくると、例の小学生達が飛び込み大会をやっていて、みんなもそれを見学中だった。
たいきもやってみれば?と言ったが恥しいから嫌だそうだ。まあ気持ちはわかる(^^)

 下りは気分的に余裕があるのでカエルを撮ったり蝶を追っかけたりしながら河口まで戻る。

 沖縄の人は潮水が嫌いなんだろうか、橋から下流の海に近いほうにはテントもほとんど建っていなかった。
ここなら誰の迷惑にもならなそうだし危険もなさそうだ。たいきにはここで心行くまで水遊びを楽しんでもらおう。

 その間、僕は海岸線の偵察に行ってみる。
 この時間は潮が引いているようで、砂浜の先は小石の海底が顔を出していた。そこになにやらシギチっぽいのが動いているのを発見。レンズをサンヨン+テレコンに付け替え鳥撮りモードに入り接近開始。保護色でじっとしていると何処にいるのか良くわからないが、餌を探して歩いている時はかろうじて存在がわかるので、そのあたりをレンズ越しに探してその姿をやっと発見。シロチドリだ。

 今日は朝からほとんど鳥相手にはシャッターを切っていないので、シロチドリでも撮影できれば多少はストレス発散になるってもんだ。

 シロチドリはちょっと飛んですぐ着地、餌をとりまたちょっと飛びを繰り返していく。それを追っかけて僕も移動していくと、海岸になにやら大きなものが転がっているのを発見。
 最初流木かなんかかと思ったら、岸に打ち上げられたウミガメの死体だった。オスみたいなので卵を産みに来て力尽きたわけではないようだけど一体どうしちゃったんだろう。もしかしてビニール袋とかを食べちゃったりしたのかなあ・・・

 これだけ大きなものの死体を目の前にするとかなりショックだったが、命の大事さを身をもって感じてもらうため、たいきとひーこも連れて来て見せておく。

 なんか鳥も撮れないし、カメの死体を目の当たりにしてしまいますますどよ〜んとした気分になってしまったので、一度部屋に引き上げる事にした。
 追い討ちをかけるように宿へ続く踏み分け道の真ん中にはでっかいウ○コが・・・・誰がこんなところでしたんじゃ〜!

※画像とは関係ありません

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