腕は痛いがアカヒゲゲット!

  やんばる2日目の朝、今朝もアカヒゲの可憐なさえずりで目が覚める。はずだったのだが、なぜか腕の痛さで目が覚めることになった。どうしたんだ?

 そういえば昨日の夜からなんか寝苦しかったんだよなあ・・・
 明るい所に行って見てみると、両腕とも肘から先が笑っちゃうくらいパンパンに膨れていて、手首がなくなって赤ちゃんの腕みたいになっている。さらに良く観察するとナニモノかに咬まれたと思われる痕を両肘の辺りに発見。これはもしかしたらムカデ?まあハブではなさそうだし死にはしないか・・・しかしなんだか幸先悪いなあ。

 痛い腕に鞭打ちつつ出かける準備をするが、きっと今日も簡単には行かないだろうしなあ、と思うと早くもやる気がなくなってきた・・・でも頑張んないとヤンバルでの朝撮りも実質これが最後だからなあ。そう思うと焦るけど、これでダメだった時の事を考えると・・・

 カメラを持ち上げるとズーンと痛いしいまいち腕に力も入らないが、頑張って車に機材を積み込んで、行くあてもなくとりあえず出発。運転には支障はないようだ。

 天気は雲が多めだか、まあ悪くはない。昨日と同じところから林道に入ると今日も所々でヤンバルクイナが道を横切った。でもカメラを構える暇もないまま藪の中へ一直線だ。やっぱり今日も撮れなそうな予感・・・

 サンショウクイの声が聞こえたので車を止めると、電線に止まっている姿を発見。
 絵にはならないけどあまりに何にも撮れないこの状況をなんとか打破すべく、景気付けにシャッターを切っておく。

 カメラを構えると腕は相変わらず痛くって起きた時より腫れてきたようだ。ほんと何に咬まれちゃったんだろう?

 アカヒゲの声も時折聞こえてくるものの、鳴いているのは多分姿なんて絶対見つけられないであろう藪の中や、あきらかにシャッタースピードが1桁になってしまいそうな薄暗い川沿いだったりして車を止める気にもなれない。

 そんな中、道路わきに佇んでいた猫位の大きさの生き物がこっちの車に気付いて一目散に逃げ出す場面に遭遇。
 ず〜っと道路沿いを走っていくので車で追いかけつつ、まさかイリオモテヤマネコじゃないよなあ・・・と思いながらその後姿を観察すると、お尻がプリプリしている。あのケツどっかで見たことあるなあ・・・  たいきじゃん!(^^;

 まあたいきがこんなところを走っているわけない(あたりまえじゃ!)あいつの正体はチビイノシシのようだ。
 それにしてもすごいスピードで走れるもんだなあ、と感心していたら、チビイノシシはそのまま落っこちるように道路わきの斜面の下に消えていった。うう〜また撮れなかった・・・

 その後、鳥を探しつつゆっくり車を走らせて行くと、前方の木に赤い鳥が飛び込んだ。もしやと思い静かに車を近づけると、やっぱりアカショウビンだ!しかし木の枝が邪魔をして顔が隠れている。痛む腕でカメラを掴み、よく見える所まで車を移動させ、ファインダーを覗き込むと・・・居なくなっていたorz

 そしていつの間にか日が昇っていた。ヤンバルクイナはもう出てこないだろう。アカヒゲの姿も全然見られない。

今日も鳥運は最悪のようだ。それにこの朝を逃したらもう今回チャンスはないんだよな。

ここまできてまさかのボウズ!?でもなんかこれって最高のネタになる!やりっ・・・?

いやいや、せっかくやんばるまで来たってのになにやってんだろ・・・

マク3もこわれるし・・・・

腕も痛いし・・・

眠いし・・・

なんか何もかも嫌になってきた・・・

いっそもう鳥撮りなんてやめちゃおうかな・・・

 なんかすっかり意気消沈。この先チャンスもなさそうだし、まだ早いけどこりゃもうダメだな、と思って宿の方へ戻ってゆくと、あとちょっとで林道も終わりと言うくらいのところで、結構近くからアカヒゲのさえずりが聞こえてきた。

 まあどうせ撮れないだろうとは思いながらも、声のするほうにで目を凝らすと、下草の中をうごめく赤い影を発見。それを見失わないようにしながら車から三脚を降ろしロクヨンをセットする。

 すると葉っぱと葉っぱのスキマを通して辛うじて見える倒木の上にママヒゲが止まってくれた。こ、こ、これはシャッターチャンスだ〜〜。今までまともに撮れなかった分緊張もひとしお。シャッタースピードは1/15だけどええいっ、ままよ 止まっとくれ!と念じながら連写を続け、ちょっと逆光気味ながらもやっとまともなママヒゲゲット〜!

 しばらくすると同じ木にまた赤いのが止まっている。ファインダーに入れてみると、パ、パ、パパヒゲだ〜。でも慌てすぎてこれは失敗。でもまだチャンスはありそうだ。

 気持ちを落ち着けてあたりを見渡すと、倒木からちょっと離れた所にいい感じの切り株があった。ここに止まってくれたらすごく画になるのになあ・・・と思いながら、生い茂る葉っぱのスキマからピンスポットで切り株が見える所に移動してじっとしていると、狙い通りママヒゲが止まってくれた。やり〜!

 となるとパパヒゲも来るかも・・・今日は10時半まで鳥撮りできるから時間はたっぷり余裕がある。こうなったら徹底的に待っちゃおう。

 そして待つこと数十分、集中力も途切れだし、腕の痛みに気をとられていたら、いつの間にか切り株にパパヒゲが止まっていた!ファインダーに入れて連写!シャッタースピード遅すぎっ!

でもなんとかパパヒゲゲット〜!今回はもうホントにこれで十分、今までダメダメだった分余計にうれし〜!

 気がつくと心臓がドキドキしていた。腕が痛いのもすっかり忘れてたよ。
こんなに興奮した鳥撮りは久しぶりだ。楽しかった〜

 これで厄が落ちたみたいで、パパヒゲが飛び去ったあと大満足して周りの森を撮影していると、森の中の枝に止まっているパパヒゲ発見。普段地べたを歩き回っているアカヒゲがこんな抜けたところに止まっているなんて千歳一隅のチャンス!しかも今度はさっきより大分明るいのでシャッタースピードも速い!
あわててカメラをセットし、ファインダーに入れAF−ON、シャッターを切った。やった〜!枝どまりゲットだぜい

 そのあともパパヒゲはしばらくこの枝に止まっていてくれたので、去年よりナチュラルな状況でいっぱい撮影する事ができ、数十分前とはうって変わってめっちゃくちゃ幸せな気分だ。惜しむらくはこれをマク3で撮れたら・・・とも思うが、一応ちゃんと撮れたからこれでいいのだ。

 そしてこのパパヒゲが飛び去ったころ、辺りで数羽のヤンバルクイナが一斉に鳴き出した。こんなにいっぱい何処にかくれてるんだろう?ここでのヤンバルクイナの生息密度はかなり高いみたいだ。姿はチラッとも見えなかったけどねえ。

 でもいいのだ、パパヒゲいっぱい撮れたから♪

 そろそろ終了時間も近づいてきた。腕はまだ痛いけど、とってもいい気分。さあ宿に帰ろ〜っと。
 

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