渡嘉敷からの帰還

 さあ、いよいよGW沖縄遠征最終日の朝だ。
 ここの所の早起き癖が抜けず6時過ぎに目を覚ましバルコニーに出てみる、ドンヨリとした曇り空が広がっていた。
 そういえば昨日見た天気予報では沖縄地方は今日から梅雨入りって言ってたなあ。

 今日は9時15分に送迎バスがでるので早めに朝ご飯を食べておかなければ行けないのだが、まだ時間がある。
 まだ寝ているひーこ7時半にレストランで待ち合わせる約束をして、サンヨンと18-270mm、フィッシュアイズームを持ってホテルの周りに一人で散歩に出かけた。

 最初はホテルの裏の空き地で蝶でもいないかと探していたのだが、折角だから裏山に昇って高い所からとかしくビーチの全景を撮っておこうと思い立ち、一昨日マイクロバスで降りてきた道をのんびり登ってみた。

 山側の斜面からはアカショウビンの声が聞こえてくるが、姿は全然見つけられない。その反対側では木のてっぺんでメジロが元気に囀っていた。

 時折雨がぱらつく中、道端の花を撮影しつつ、見晴らしのいい場所を探しながら歩いていく。

 するといつのまにか県道まで出てしまっていた。ずいぶん登ってきたなあ。
さすがにここまで来るととかしくビーチは良く見渡せるが、天気が悪いので海の青さは今ひとつ鮮やかさに欠ける。
 

 県道から先に行くと帰ってくるのが大変そうだし、そろそろ朝ごはんの時間も近づいてきたので、ここから来た道を引き返すことにする。途中とかしくビーチから上がってきたスクールバスとすれ違った。そういえば今日はもうGW終わってるんだなあ。それにもう学校に行く時間か。急いで戻らなくちゃ。

 坂を折りきってホテルの裏の空き地に差し掛かった時、道路わきのガジュマルの木陰からアカ様の声が聞こえてきた。かなり近いぞ。これはチャンスかも!と臨戦態勢になりカメラを構えてアカ様の声のするあたりに全神経を集中する。・・・と同時に空から大粒の雨が落ちてきて、あっという間に土砂降り土砂降りになってしまった。アカ様の事を別名雨乞鳥っていうけどまさにその通りだったなあ。
 いくら防塵防滴を謳っている7Dとはいえこの雨のなかで撮影を続けるのはちょっと躊躇してしまう。
 まあ時間も押してるし、アカ様はまた別の機会ゆっくり探す事にして今回はあきらめよう。

 カメラが濡れないように庇いながらホテルにかけ込み、そのままレストランへ直行するとテラス席に座るひーことたいき発見。二人はもうあらかた食事は済ませてしまったようなので、僕も急いで料理を取ってきて掻き込んだ。この朝もメニューは豊富で、できることなら心行くまでいろんなものを食べておきたかった・・・

 食後はダイブセンターに干しておいたウェットスーツを回収して部屋に戻り、最終パッキングをする。なんか来る時より確実に重くなってるけど、やっぱウエットの湿り気の分かなあ。

 そのあとフロントでビールやダイビング代の清算を済ませるとそのまま送迎バスに乗り込み、まだ降り続く雨の中あわただしくホテルを後にした。

 バスに揺られる事10分ほどで到着した渡嘉敷港は雨の気配はなく、曇り空の中に青空が顔をのぞかせているところもある。同じ島でもひと山超えると天気はずいぶん違うもんだ。

 やがて高速船がやってきた。なんだか疲れてしまったので早々に船に乗り込み、今回は船内のキャビンに入る。
 横に8列ほどの座席が並ぶ船内は八重山の高速フェリーとは比べ物にならないくらい広々としていた。クーラーも効いてるしリクライニングもできて、デッキ席のアルミベンチより10倍は快適だ。来る時もこっちにしておけば良かったよ。

 定刻になり船が岸壁を離れるとすぐ、お疲れ気味のたいきはウトウトしだした。僕も連日の早起きが効いているのか座席をリクライニングさせて背もたれに体重を預けるとなんだかまぶたが重くなってきた・・・

 そして気がついたときにはもう那覇港に到着。ほんと快適だったなあ。
こちらは渡嘉敷とちがってとってもいい天気。青空に太陽がまぶしくて、なんだかうれしくなってくる。
さて、これからまず空港に行って、この大荷物を預けてこなきゃ。

 ここから空港まで、この大荷物を抱えて移動となるとタクシーしかないよなあ。しかし桟橋のタクシー乗り場は今高速船から降りたお客さんで大混雑。

 ここで困っていると「タクシー探してるの?」と呼び込みのオジイがやってきた。
 それならこっちですよ、と言ってとっとと歩き出してしまったので多少怪しいと思いつつも付いて行くと、桟橋の外にオジイのタクシーが路駐してあった。白タクとかじゃなく、ちゃんとしたメータータクシーだったし、オジイもいい人っぽかったので乗せてもらうことにして、荷物をトランクに押し込んで空港へ向かった。

 空港への道すがら、オジイといろいろおしゃべりをする。前半は東村の先に行ってたんだというと、オジイの出身地だという事で話が盛り上がる。もとは海人でタコ漁が得意だったそうだが、最近はあまり採れなくなってしまったのでタクシーの運転手に職換えしたそうだ。

 なんだか凄く素朴な人で、「どこからきたの?」と聞かれ東京からと答えると、「あきびしょ〜!東京なんて行ったことないさ。東京じゃ地面の下に電車が走ってるらしいね。沖縄にいては想像もできんさ〜」と妙に感心してくれた。

 ちなみに初日に乗ったタクシーの運転手さんが言ってた「飲みに行って夜2時に帰るようじゃ付き合い悪いと文句を言われる。」ってあたり、本当なの?ときくと「わしは飲んで8時になったら寝てしまうさ〜」だって(^^;

 沖縄の人だっていろいろいるって事だな。こんなオジイだったらずっと楽しく付き合えそうだ。これなら移住も何とかなりそうな気がしてきたぞ〜

 そしてタクシーは那覇空港に到着。「また沖縄に来なさいね〜」とにこやかに手を振ってるれるオジイといい気分で別れたのだった。

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