みんなでカオヤイ探検

 今日は朝からみんなでカオヤイ国立公園に行き、一日バードウォッチングや何やらをする予定なので5時半にたいきとひーこをたたき起こし、6時にフロントへ集合。当然ナンさんは来てやしない(^^;
 今日もまだあたりは真っ暗。早朝はかなり寒いので、たいきとひーこにもカッパを着てフル装備だ。

 そして6時15分頃、やっとナンさんが一人で登場。今日は運転手さんの都合が付かなかったようで、ナンさんがガイドと運転手を兼ねるそうだ。それにしても遅いぞ〜

 国道へ出るころには、東の空がちょっと明るくなってきた。空には三日月が昇っている。

 公園ゲートを抜け、朝の空気の中、ピックアップトラックの吹きさらしの荷台に座り、寒さにガタガタ震えながらつづら折れの山道を登っていく。

 大分明るくなってきたころ、ナンさんは車を路肩に寄せると窓から手を出して木の上のほうを指差した。今日はじめてのターゲットだ。たいきとひーこも車から降りて何がいるのか目を凝らしている。樹幹の葉っぱがガサガサ動いているのがわかるのだがなんだろう。

 するとナンさんは三脚とフィールドスコープを持ち出してきた、今日はマイカメラじゃないんだ。たいきとひーこもいるからガイドに徹するつもりなのかな。ならば見直しちゃうんだけどねえ。

 ナンさんがスコープの視野に入れて見せてくれたのは「Great Hornbill」オオサイチョウだった。枝がゴチャゴチャしていていまいち見づらいが、オレンジ色の木の実を食べているらしい。

 もうちょっといったところに子育て中の巣があるから、そこで待っていればやってくるというので車に乗って移動する。そういえば昨日の朝「後で来よう」と言ってたところかな。そのままうやむやになってたなあ・・・

 オオサイチョウの営巣ポイントで車を降りると、森の向こうからちょうど朝日が昇ってきた。

 オオサイチョウは道路わき数十メートルの所にある大きな木の穴に巣を作っているいるというのでよく見ると、幹に四角い板が打ちつけてあるのがわかった。巣となる洞を板で補修した半人工的な巣のようだ。広いカオヤイといっても、オオサイチョウが営巣できるような古木は数が減っていて、こうやって人が繁殖に手を貸さなければいけないそうだ。

 しばらく待っていると、「グォッグォッグォッ」というものすごい羽音とともに朝オオサイチョウが飛んできた!じっくり見るのは初めてだが、オオサイチョウというだけあってほんとに大きい。体長1mはあるんじゃないだろうか。

こういった大物は特に鳥に興味がない人たち(ひーことたいき)にも受けが良いのでありがたい。二人とも一生懸命観察しているみたいだ。

 巣穴のふちに止まったオオサイチョウはお辞儀をするように頭を下に下げる。こうやって喉にためていた木の実を吐き出しているらしい。

 出てきた赤い実を咥えなおしたオオサイチョウは巣の中の雛にそれをあたえる。それを何度も繰り返し、餌を全て吐き出したあとは、再びものすごい羽音とともに新たな餌を採りに飛び立っていった。

 オオサイチョウが飛び去った後、麓のほうから登ってきた一台の車がうちらのちょっと先に止り、中からタイ人のお客さんと思われるグループが下りてきた。

 このグループのガイドさんもナンさんの知り合いのようで、例によって僕の撮った画像を再生して自慢しているとお客さんたちも集まってきて「このレンズ、何倍?」とか「いくらするの?」とか「プロのカメラマン?」とかいろいろ質問攻めにあっていた。 

 その中にいたちょっとかわいいお姉さんはたいきの事をすっかり気に入ってしまったようで、名前を聞かれて「タイキ」と答えると「Oh!Taiki!pretty!」といって抱きついてほっぺたをプニュプニュ、そしてキスの嵐、ちょっとうらやましいかも・・・

 しかし普段モテたためしのないたいきはあまりの愛されぶりに戸惑うばかり。しまいにはビビッてしまい、泣きながらひーこの所に逃げていった(^^; このためこれ以降、このお姉さんは「恐怖のおばちゃん」と呼ばれる事となった(汗)

 ここでオオサイチョウが戻ってくるのを待つというタイ人グループと分かれると、次は昨日のカザリショウビンポイントへ向かう。今日こそはカザリ出てきてくれ〜

 トレイルの入り口に着くと、またナンさんの得意技、コールバック開始。でも今日も反応は全然ない・・・
 それじゃ今日はちょっとトレイルに入ってみようか、ということになり、みんなヒル対策で靴下にズボンのすそを入れて森の中に踏み入った。ちなみにナンさんはもうガイドに専念するのは止めたみたいで、三脚についているのはマイカメラのサンヨン+40D(^^;

 コールバックしつつ周囲にも最大限の注意を払って森の中を進んでいく。時間的にもベストタイムだろう。今居なくっていつ居るの!って感じだったが、現れたのはカササギサイチョウのみ。カザリショウビンの気配は全然ない。

 しばらくその場で待機してカザリショウビンが現れるのを待つことにするが、たいきとひーこは退屈してうちらとは別行動で虫を探し始めた。

 ここで10分ほど息を潜めていたものの、結局カザリショウビンは表れなかった。最後にトレイルの出口付近でズアカキヌバネドリを見つけたが撮影する事はできず、成果はほぼゼロ。ナンさんも少々肩身が狭そうだ。

 車のところまで戻ると、木の上のほうでなにやらガサガサと音が聞こえてきた。ナンさんが「Gibbon!」とはげしく反応し木の上を指差した。そこに居たのはテナガザル。あまりサル系は萌えないが、よく考えたら今まで見た事なかったかも。

 僕としては「それより鳥」だったが、ナンさんが大興奮で撮りまくっているのでちょっと付き合うことにする。

 しばらく眺めていると、うちらの事が気になったのかテナガザルは枝の先の方に移動してゆき、枝先までたどり着くとそこから大ジャンプ!これにはひーことたいきも大興奮。いいものが見れたなあ。

 ナンさんはテナガザルが飛ぶ瞬間が撮れたといって、大喜びで液晶の再生画面を見せてくれたのだが、僕のよりいい瞬間が撮れていてちょっと悔しい・・・

 テナガザルはそのまま森の奥に入っていってしまったのでうちらも車に戻って移動開始。

 草原の道に出る頃には気温もすっかり上がってきて、ピックアップトラックの荷台を吹き抜ける風が気持ちいい。からっとした空気はアフリカに居るみたいだ。

 道端の草に止まる地味な小鳥がいたのでナンさんに車を止めてもらうと、おなじみノビタキだった。こんなところで越冬してたんだね。

 草原を抜けしばらく行くと公園本部に到着。今日はここで朝ごはんにするんだそうだ。なんか昨日の菓子パンと比べるとえらい格差だけど、ひーこが居るから気を使ってるのかな?

 駐車場に車を止め、まずは食堂裏の川を見に行くと、岸辺のサトイモに似た葉っぱの中ではスイロクが休んでいた。

 対岸の木にはキュウカンチョウの群れが止まっている。

 あとは特筆すべきものもいないみたいだ。それじゃ朝ごはんにしようかね。
ナンさんが「何が食べたい?」というので「パッタイ!」とリクエストしたが、ここにははないそうだ。残念。

 それじゃどんなものがあるのか見てみよう。
 ナンさんと一緒に食堂の隣の屋台に行くと、スープ麺を出す店だっだ。
 ここでナンさんがスープ麺を注文したので作るところを見ていると、ドンブリにタレとスープを居れ、そこに湯がいたビーフンのような麺を投入。最後に肉団子みたいな具を乗せて出来上がり、というすごくローカルっぽい感じだった。麺好きのひーことたいきは迷わず同じものを注文。

 みんなの麺ができるまで、僕はもう一軒ある屋台に行ってみたが、こちらはご飯の上にいろんな具を載せてくれるナシチャンプル見たいなのを作ってくれる店だった。ショーウィンドウの中にある、まっ茶色に色づいた煮抜き卵と豚の角煮?がめっちゃ美味しそうだったので、僕はこっちを頼む。

 おばちゃんがでっかい炊飯器からお皿にご飯をよそい、どの具を載せるか聞いてきた。英語はまったく通じないようなので、身振り手振りでおかずを注文、お支払いはナンさんがやってくれた。

 その間にひーこたちの分もできたようで、二人はホクホク顔でスープ麺をレストランのテラス席に運んでいった。

 それじゃ、みんなそろったところでいただきます〜

  これが今日の朝ごはん。両方ともすごく美味しくて、煮抜き卵も期待を裏切らない味だった。

 しかしこんなところでこんなご飯が食べれるとは思っていなかったなあ。川を眺めるテラス席もすごく気持ちいい。
特にひーこは大喜びで、「この麺が今回の遠征の中でも一番美味しかった」と、この後子孫の代まで永遠に語り継ぎそうな勢いだ。

 おなかいっぱいになったあとは、ちょっと一休みしてから相変わらす川岸で幸せそうに佇んでいるスイロクに別れを告げ、次のポイント、昨日も行ったガマヒロハシポイントに向かった。

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