カオヤイ最終決戦

 とうとうカオヤイ国立公園ガイド付きバードウォッチングの最終日がやってきた。目標のカザリショウビンはまだ撮れていない・・・

 この日も予定通り?遅刻して登場したナンさん、いつもの事だからもう慣れたよ。それじゃ今日も頑張ろう!

 いつものごとく、まだ薄暗いうちに公園のゲートを通過して、きょうはカザリポイントへ一直線。

 トレイルの入り口に着いたがまだ薄暗い。これじゃくっきりと撮るのは難しいかもしれないが、それでも撮れないよるはマシだ。周囲をうかがい、姿が見えないとわかると早速ナンさんお得意のコールバック開始。

 しかし今日もカザリショウビンらしき姿はない・・・3度目のスカを食い、肩を落としていると、近くからそれっぽい鳥の声が聞こえてきた。もしかしてカザリショウビン?!と激しく期待したのだが、ナンさんはTrogonだという。なんだ残念・・・まあせっかくだから姿を見ておこうかな。

 声を頼りに木々の間を透かして姿を探すが、僕には一向にどこにいるのかわからない。
しかししばらくするとナンさんが姿を見つけたようだ。
 木々の間から抜けて見える場所を教えてもらい、指差す方を見ると・・・Trogonじゃん!Drongoと勘違いしてた(^^;

 激しい見上げポジションでかなり厳しいものがあるが、長めの尾羽にオレンジがかった黄色のお腹がなかなか熱帯っぽい鮮やかな鳥だ。

 ここでナンさんのコールバックが威力を発揮、携帯の音に反応しているのかキヌバネドリの声は途切れる事なく聞こえてくる。一度その姿を見失ったのだが、声を頼りに茂みの中を探すと再び発見。でもなんかこんどの個体の方が色が薄いかも・・・

 カワセミ系以外ちゃんと予習をしてなかったので、ここらへんのキヌバネドリはオスが赤くてメスが黄色いと思い込んでいたのだが、実はカオヤイには赤いのと黄色い2種が生息しているようで、後で調べたところ、ここにいたのはヤマキヌバネドリ(Orange-breasted Trogon)らしい。お腹の色からすると最初のがオス、後者がメスだったようだ

 その証拠に、この雌を追っていると、もう一羽が飛んできて交尾をはじめたのだ!
 大興奮のナンさんの声を隣に聞きながら、僕も鼻息荒く連写したが、しかしとっさの事で暗くてブレブレorz

 結局ヤマキヌバネドリは見れたものの、ここのカザリショウビンは完全にはずしたみたいだ。しょうがない、次に行こう。

 森林地帯を抜けて草原に出ると、霧が出ているのか何となくモヤっていた。

 ここでナンさんに「今日はカザリショウビンさえ撮れればいいから」と言っておく。ほんと頼むよ。
となると次に向かう先は公園本部か昨日のキャンプ場かな。そういえばブラインドのリベンジもしなくちゃならないしね。

 公園本部に着くと、道路わきにシマアカモズがいたのでちょっと撮影。

 庭石の上には一昨日も見かけた青いイソヒヨドリがとまっていた。これがヒメイソヒヨだったら幸せだったんだが・・・

 ここでカザリショウビンを探すのかと思ったけれど、車はそのまま朝モヤの公園を先に進む。キャンプ場を目指しているんだろうとは思うけど、時間ばかりがどんどん過ぎて行き、焦りがつのる。

 車は予想通りキャンプ場に到着、さて、ここで気合を入れてカザリ探しか、と思ったら、ナンさんは車を止める気配がない。何処行くんだよ・・・・

 すると昨日パッタイを食べた滝の駐車場への道の手前でたむろっていた知り合いらしき人に声をかけ車に同乗させた。なんだなんだ?カザリはどうなっちゃったんだ??

 わけがわからぬまま車は滝の駐車場に到着。さっき乗せた人はここの食堂の人だった。うちらはタクシーかよっ
 さらにここでカザリショウビンが見れるなんて話は聞いてないんだけど・・・今は朝の一番良い時間帯だってのになにやってんだろ。むっとしつつ、ナンさんに「ここでどうすんの?」と聞くと、朝一だとオオトカゲが餌を食べに来ると言う・・・

 オオトカゲよかカザリショウビン探して欲しいんだけど・・・・orz

 まあ来てしまったものはしょうがない。そのオオトカゲでも撮るかと思い姿を探すが何処にもいなかった。

 かわりに小さな鳥が飛び回っているのを見つけたので、コーヒーを飲みながらやってきたナンさんに何なのかたずねると「Gray-headed(Canary)Flycatcher」だそうだ。和名はそのままハイガシラヒタキ。ほんとに小さいヒタキだった。

 食堂の屋根の周りでは綺麗なリスが走り回っていた。この木に絡み付いているツル植物はガマヒロハシが巣材として咥えてきてたやつだ。こういう風に生えてたんだ・・・

 リスを撮っているとナンさんがキツツキがいると呼びにきた。
 そういえばさっきからコツコツと木をたたく音が聞こえていたなあ。またどうせコガネゲラだろうと思っていたのだが、ナンさんについていくと、ピンポイントからしか見えない場所にアオゲラのようなキツツキがいた。タケアオゲラ(Laced Woodpecker)だ。

 ここでは他にもオオジュウイチ(large hawk cuckoo)

 残念ながらオスは撮れなかったもののヒイロサンショウクイ(Scarlet Minivet

※チャイロサンショウクイ(Swinho's Minivet) 

※ロクショウヒタキ(Verditer Flycatcher)などを見かけ、期待してなかった割には結構収穫があった。

 でもやっぱ今日の目標はカザリでしょ?ナンさんほんと頼むよ〜 そろそろ行こう。

 というわけで駐車場を出ると来た道を再び戻ってキャンプ場へ向かう。がちょっと走るとすぐに車をとめた。
周りは結構いい雰囲気の森なので、もしかしてちょっとは可能性があるんだろうか・・・

 ここでもコールバックをするものの、カザリは現れない。しかし代わりにキヌバネドリの声が聞こえてきた。何処にいるんだ?必死で探すもののどこにいるか全然わからない。

 しかしここでナンさんの面目躍如。ここに来い、というと、ピンスポットでヤマキヌバネドリがいるところを教えてくれた。おお〜ほんとだ。しかも今回のは結構低い位置に止まっている。

 残念ながら胴体のど真ん中の枝がどう動いても被ってしまい、前ボケになってしまったが、さっきより大分大きく撮ることができた。これはナンさんちょっと見直したよ。

 それじゃこんどこそキャンプ場に・・・と思ったらまたすぐ停車。ナンさんは木の上のほうを指し、「Gibbon!黒いからこの前のとは別の種類だ!]といって興奮している。しかも子連れだ。
カザリじゃないけど確かにこれはちょっと撮っておくべきかも・・・

 いろいろ道草してやっとキャンプ場に到着したものの、ナンさんは車を止める気配がなくそのまま通過。

 何の説明もないこの事態にさすがにちょっとムカついて「何でキャンプ場で止まらないの?ブラインドの所にも行くんじゃなかったっけ?」と問い詰めると「ブラインドは今日は他の人の予約が入っているから無理なんだ・・・」という。それじゃ最初からそう言ってくれればよかったじゃないか。それにカザリは?
 でもちょっと悲しそうな顔をしているナンさんを見ると、それ以上なんか言うのも申し訳なくなってしまい「OK」といって先に進むことにする。 でもこんな感じじゃもうカザリショウビンはあまり期待できそうもないなあ・・・

 そんな気持ちを癒すようにインドブッポウソウが出てきてくれた。昼間の光線の下で見るその色はまた一段と綺麗だ。

 さらにゾウも登場。うちらの車に気づくとあわてて森の中に入っていった。凹んだ気分もちょっと盛り上がってくる。

 次は何を目指すのかナンさんに聞くと、ハッカン(Silver Pheasant)らしい。
 車は最高地点へ向かう道を登り始める。この調子だと、昨日うやむやになっていたズアカキヌバネドリのところには寄れるかな?とやる気が出てきた。

 そしてナンさんが車を止めたのは、まさにズアカキヌバネドリポイント。
ここにあるトレイルがハッカン(Silver Pheasant)のポイントでもあるということだ。

 ズアカキヌバネドリの事が気になって、車から降りてまずはあの枯れ木を見に行くと、いきなりズアカキヌバネドリが止まっているじゃないか!あわてて手に持っていたロクヨンを構えるが、SS1/15の手持ちで止まるはずもなく、ブレブレ画像をを量産しているうちにズアカキヌバネドリは巣穴の中に入ってしまった。残念・・・

 まあそれじゃズアカキヌバネドリはまたトレイルから戻ってから改めて狙おう、ということになり、気分も新たにロクヨンを担ごうとすると、ここからは山道だからロクヨンはやめてタムロンの18−270mmVCと7Dの手持ち軽量セットだけで行くように薦められた。
 このズーム、便利ではあるけど画質に関してはいまいちピシッとは来ないんだよなあ。こんなことならサンヨンも持ってきておくべきだった・・・実際ナンさんはサンヨンと40D、あちらのほうが豪華装備な感は否めない。ほんとはナンさんのサンヨン、貸してほしかったぞ〜(^^;

 トレイルに入りしばらく行くとナンさんが立ち止まって、藪の奥を指差した。
 藪の向こうで何か白いものが動いているのがわかる。そしてそいつはだんだんこちらに近づいてきた。ハッカンだ!
 こんなにあっさり見られるとは思っていなかったなあ。意外に小さいが暗い森の中で白い羽が良く目立ちなかなか凛々しい鳥だ。正直キジ系はあまり興味がなかったのだが、隣でナンさんが興奮して連写し始めると、こちらも釣られて興奮してきてしまう。

 ナンさんはハッカンの進む先を読んで飛ぶように道を進み、挙句は藪を突っ切ってゆくので付いていくのが大変だ。確かにこれじゃ三脚もってたらきつかったかも。

 ハッカンは数羽の群れで地面のなにかをついばみながらゆっくりと歩いてゆく。こちらを意識はしているようだが、慌てて逃げるような事はないようだ。
 一度はホロ打ちまで披露してくれたのだが、常に藪の中にいるものだから葉っぱかぶり、枝被りばかり、その上暗くてSSも上がらず、どうにもならない。

 それでもなんとかならないもんかと四苦八苦しているうちに、ハッカンは急な斜面の向こうに消えて行ってしまった。

 結局まともな画像がないまま車のところまで戻ってきたが、この鳥珍しいらしいし、見れただけでも良かったか。
さあ、次はズアカキヌバネドリだ。

 機材をロクヨン+1Dmk3に持ち替えて再びトレイルの入り口に向かうと巣穴は留守だった。
 しかしここであきらめちゃいけない。枯れ木にピントを合わせ待つこと数分。ついに待望のズアカキヌバネドリが戻ってきた!しかもオスじゃないか!

 ファインダーいっぱいに写った真っ赤な頭のズアカキヌバネドリは、なんともいえない美しさだった。これが撮れたんだから、多少は溜飲も下がるってもんだ。今日一番の収穫だ。中々カザリを見つけられずちょっと気まずそうだったナンさんも、なんとか体面を保てて大喜び・・・で、隣で夢中になってシャッターを切っていた。ただ撮れて嬉しかっただけか(^^;

なにはともあれこいつのお陰でみんな幸せになれてよかったよかった(^^)

※今回鳥の識別についてはfeathercollector様にアドバイスをいただきました。この場を借りてお礼申し上げます

 

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