所変われば雨も止む

 その後、待ち合わせ時間の3時になっても雨の勢いが衰える気配はなかった。
 しょうがない。今日の午後は中止だな、と腹をくくり、とりあえずYudiさんと明日の打ち合わせでもしようと手ぶらでフロントへ行くと、キジャンの窓から顔を出したYudiさんは「カメラはどうした?」という。

 「この雨じゃ中止でしょ?」と聞くと「さっきギリマヌクの友達に電話したら、あっちの方は晴れてるらしいから大丈夫だ」とのこと。やった!セアカはダメだろうけど、部屋でじっと雨宿りしている必要はなさそうだ。急いで撮影機材を取りに戻り、Yudiさんと共に大雨の中を出発!

 しかしこの激しい雨を見ていると、ギリマヌクが晴れているなんて信じられない。でも確かに西に向かうにしたがって雨の降りが弱くなってきた。

 そして今朝のヤイロチョウポイントに付く頃にはポツポツとたまに落ちてくる程度の小降りになった。これなら撮影できそうだ、ちょっと見に行ってみよう、と喜び勇んで機材をセットしていると、再び雨が強くなってきた。なんだか雨雲に追いかけられているみたいだ。

 こうなったらここはとっとと諦めて、ギリマヌクへ急いだ方が良いだろう、との判断でヤイロポイントを後にした。

 そしてギリマヌク湾に着くころには青空こそ見えないものの、雨はすっかり止んで路面も乾いていた。それじゃ今日はヒメアオでも重点的に撮るかな。

 湾は前に来たときより潮が引いていて、地元の人たちが何人も海の中に立ちこみ釣りに興じている。

 前回アウトリガーカヌーで渡った対岸には干潟が広がりコハゲコウが佇んでいるが遠すぎだ。できたらこういうシチュエージョンでカヌーをチャーターしたかったよ。

 ハシブトオオイシチドリも歩いている。Yudiさんは「あれはバードウォッチャーにとっても人気がある鳥なんだ」と教えてくれるが、確かに愛嬌のある顔をしているようだ。ここからじゃ遠すぎてわからないが(^^;

 マングローブの中程に止っている大き目のカワセミはまたもやヒジリショウビンだ。今まで見たことなかったのに、一度見だすと一気に普通種になってしまった感がある。

 さっきは遠くから豆粒のようにしか撮れなかったので、今度はキッチリ撮りたかったのだが、この個体はのんびりしているやつなのか、それともヒジリ全般に警戒心が薄いのか、かなり近くで撮影させてくれた。

 岸辺のマングローブのあたりではヒメアオのチチチ声がそこらじゅうから聞こえてくる。声を頼りにマングローブを回り込んでいくと、木の影に止まっていたヒメアオが驚いて飛び立った。その着地地点を見極めてそっと接近。

 ミンピでもヒメアオは撮れるが、こういうふうにそっと近づいて、ってのができないのでこれはこれですごく楽しい。
 ただ警戒心はこちらの方が強いみたいでそうそう近寄らせてはくれないようだ。手前のマングローブに隠れたり、海の中から近づいたりしてこっそりこっそり距離を詰める。

 Yudiさんも僕が必至でヒメアオと追いかけっこをしているのを眺めて満足そうだ

 そんな中、死角から近いてでっかいのを撮影成功。空抜けていまいちだけどこのドキドキ感はたまらないな。

 しばらくすると少しづつ潮が満ち始めた。最初は水につかってヒメアオ対決を続けていたが、だんだん雨もぱらついて来た。このまま無理して転んでカメラを水没でもさせたら大変なので、いい加減干潟からは引き上げることにする。

 ちょっと疲れてきたので車からの鳥撮りが楽でいいなあと思い、Yudiさんに「前に車からハチクイ撮ったところに行きたいんだけど」と頼むと、車ではなくそのまま徒歩で発電所裏の草地へ向かった。
 カメラむき出しで歩いて近寄るのは難しいんじゃないかと思ったが、やはり鳥にはすぐに飛ばれてしまう。欧米人のバードウォッチャーは観察だけって人が多いから遠くてもいいんだろうけど、撮るとなるとかなり厳しいのだ。

 草原の上にはハクセキレイに似た鳥がたくさん歩いていたが、これはハジロナキサンショウクイ。

 結局ここで撮れたのはこれだけという貧果だったが、ミンピで雨の中じっとしているより全然有意義な時間が過ごせたと思う。

 時刻は午後6時になろうとしていた。日ももうすぐ暮れるだろう。
雨はポツポツとふりつづけていたし、朝から歩き回り足もくたくたになってきた。

 今日はこれで終わりにすることにしてミンピまで送ってもらったが、こちらはまだ雨が降っていた。
この雨すごく局地的なようだ。

 明日は午後3時に迎えに来てもらってキマユシマヤイロチョウとセアカミツユビカワセミのリベンジの約束をしてYudiさんと別れ部屋に戻った。

 今日は一応セアカもヒメアオも撮れたしキマユシマヤイロチョウも見ることはできたから結構充実してたよな。それを祝してとりあえずビンタンで乾杯。そのあとシャワーで一日の汗を流していると口に入ってくるお湯がしょっぱかった(^^;

 日が暮れる頃には雨も止んできたのでレストランへ出かけることにする。

 雨上がりの道は元気付いたカエルの声でいっぱいだ。カエル嫌いのたいきは少々ビビリ気味、どこが怖いんだか・・・

 明日はムンジャンガンにダイビングに行くため、食事の前にレストラン隣のダイブセンターで予定を確認しておく。
たいきは体験ダイビングなので、海に入る前にまずはプールで練習をするそうだ。
もう何度も潜ってるから問題ないと思うけどね。ボートは9時出航なのでレンタル機材の試着などを兼ねて
8時15分までにここに集合とのこと。結構早いなあ。果たして間に合うだろうか・・・まあがんばってみよう。

そのあとレストランに行き、昼と同じ海側のテーブルに席を取ってまずはビンタン。こればっかりだな(^^;

 つまみにはカジキマグロの燻製とサテを頂いた。ちなみにサテのご飯は僕の補助食。
なんかナシチャンプルーとかについてくる米って量が少ない気がするんだよな。これ一杯じゃ絶対お腹膨れないもんな。
それともこの米は主食という立場じゃなく、付けあわせの一部なんだろうか?

 メインディッシュだが、僕は米ばかりもなんなのでたまにはミーゴレンにした。ひーこはシーフードのクリーム煮パスタ添え、たいきはいつものナシチャンプルー。ナシチャンプルーって毎回何か違うものが入ってるから何度頼んでも飽きる事がない。色々入っててバリ風お子様ランチって感じもする。

 これにビンタン2本ほど追加でもうお腹一杯、いい気分。

そのあと再びカエルの合唱を聞きながら暗い夜道を部屋まで戻った。
道端にはライトアップされた仏像とかがあったりして雰囲気満点だが、たいきはまたしても少々ビビリ気味(^^;

 うちらのヴィラに着き、門を開けて中に入ると、部屋の明かりが目に入ってきてなんだかとってもホッとした。

 さあ、明日はムンジャンガンでダイビングだ。朝のスケジュールがちょっとせわしないけど、みんながんばろう!

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