ドライバーは初心者マーク?

 チェックアウトを済ませしばらくすると、これからウブドまで連れて行ってくれる車がやってきた。
 ドライバーはかなり若い兄ちゃん。

 ひーこ達と3人で後部座席に乗ろうとすると、狭いから一人前に来れば?と言われ、必然的に僕が助手席に座る事になった。また寝れないよ・・・

 どうもこのドライバー君は普段から送迎をやっているわけじゃなく、うちらが急に今日の送迎なんて頼んだから急遽借り出された人、みたいな感じだ。

 走り出してすぐ、ちょっとガソリンを入れて行くね。と言ってドライバー君は民家の前で車を止めた。どこにガソリンスタンドがあるんだ?

 庭先にはガラスのボトルに入った薄黄色の液体が並んでいる。このビンちょいちょい見かけていて何だろうと不思議に思っていたのだが、もしかしてこれがガソリン?

 すると車から降りた運転手君が家から出てきたおばちゃんにお金を渡しこのビン2本を購入。じょうごでガソリンタンクに入れ始めた。やっぱガソリンだったんだ。へー、こんな風にガソリンを買うんだ。そういえばここらへんにはガソリンスタンドないもんな。

 聞くとこのガソリン、1本1リットルだそうだ。2本入れただけだけど、これでウブドまで持つの?と聞いたらドライバーくんは笑いながら「そりゃ無理だよ。今はペトロナムステーションまでのガソリンを入れただけ。あのおばちゃんがでっかいポリタンクを持ってガソリンスタンドにいってガソリンを買ってきて、ここで小分けして売ってるんだ」と説明してくれた。なるほど、これは是非石垣島北部でも取り入れて欲しいシステムだ。

 それじゃとりあえずのガソリンも入れた事だし出発しよう。再び海沿いの快適な道を走り出す。

 目の前をゆっくり走っているのはオモチャの行商のバイク。駄菓子屋で売っていそうな素朴なおもちゃを山積みにしてトロトロと走っている。DSだのPSPだののゲーム機に熱中している日本の子供なんか見向きもしないだろうけど、ここらへんの小さな村の子供達には宝物の山に見えるんだろうな。しかしよくこんなに積み込んだねえ(^^;

 「バリ島へようこそ」の門を抜けるといよいよバリバラットともお別れだ。

 しばらく走るとドライバー君はお寺の前で「ちょっと待ってて」と再び車を止めた。このお寺は前回のドライバーがお祈りしていたのと同じお寺だね。彼もお祈りの時間なんだろう。

 窓から眺めていると、ドライバー君はお祈りをしてからオバサン(聖職者?)に聖水を振り掛けてもらい、お米をおでこにつけて戻ってきた。なんかこういう地元に根ざした習慣って、宗教って程ディープじゃなくていい感じだよな。
 オバサンはこっちにもやってきて、車にも水を振り掛けてくれた。これで道中の安全は保証されたようなもんだ。

 そのあとガソリンスタンドに寄って本格的に給油。

 海岸沿いの道を離れ、ブドゥグルへの道を登り始めると、天気は急に悪くなってきた。ほんとにこの道晴れてたためしがないなあ。山の上の方は霧に覆われ、ポツポツと雨も降りだした。さっきまでの夏空とはえらい違いだ。

 標高を上げるにつれ、周りを取り巻く霧はどんどん濃くなっていった。一寸先は霧だ。
 ドライバー君も心なしか緊張気味だったので気持ちをほぐそうと「彼女はいないの?」と聞くと、
はにかみながら「いないよ」と言っていた。

「将来結婚もしたいけど、今はお金がないからそんな事考えられない。あなた達は何歳で結婚したの?」と聞かれ
30歳位だというと「僕もそれ位の歳には結婚できるかなあ」と言っていた。

大丈夫、君かっこいいから!」というとまたもやテレまくり。なんて素朴なんだろう。
そんなの聞いちゃったらチップをあげない訳に行かなくなっちゃうなあ(^^;

 峠を越えブドゥグルの町に入ると霧はなくなったものの、ドンヨリとした雨雲は相変わらず。はたしてこの悪天候はどこまで続くんだろう。ウブドは晴れていて欲しいなあ。

 しかし山を降りるにつれ空はだんだん明るくなってきた。悪天候はブドゥグル限定だったみたいだ。

 前を走る車には紫陽花が山と積まれていた。ドライバー君にあれは何に使うのか聞くと、お供え用にするそうだ。
 ブドゥグルは紫陽花の名産地ということだが、確かにあれだけ雨が降ってたら一年中梅雨時みたいな感じだもんね。
 

 やがて道は平坦になり、そろそろウブドも近いんじゃないかと言う雰囲気の所までやってきた。道路にかかる橋から川を眺めても、いかにもウブドっぽいしっとりとした石垣で護岸されていたりしていい感じだ。

 しかしドライバー君の様子がどうもおかしい。しきりに地図を取り出して首をかしげている。ためしに「ウブドまであとどれ位?」と聞いても「多分1時間位だと思うんだけど・・・」とどうも心もとない。

 何度か道を曲がるが、そのたびに間違いに気付くらしく、そこら辺の人を捉まえて道を聞いている。大抵は今曲がった所をそのまままっすぐ行って、どこどこで左に曲がるんだよ、と教えてもらっているようだ。

 その曲がる場所がわからないらしい。ためしに地図を見せてもらうと、この道は前回泊まったアグンラカの前の大通りとT字型に交わっているらしい。

 うちらもウブドは初めてじゃないから、きっとそのT字路まで行けばわかると思うのだが、ドライバー君は明らかにここじゃないだろと思われる細道を何度も曲がり、そのたびに首をかしげてUターンしている。顔には明らかに焦りの色が見えてきた。どうしちゃったんだろ?

 不思議に思って「ウブドはよく来るの?」と聞くと、「実は僕、ウブドに来るの初めてなんだよ・・・」だって(爆)

 それはここまで大冒険だったろうね。よく頑張った(^^;

 そうとわかれば力をあわせて頑張ろう。一緒に地図を見ながらここと思われるところを左に曲がりしばらく行くとアグンラカ発見!「この道でOKだよ」というととっても嬉しそうだった。あとの道案内はうちらに任せなさい。

 モンキーフォレストの前の一方通行を左に入ってもらい、大渋滞の道を、みんなでホテルの看板を探しながらゆっくり進んでいく。

 「ウブドは車の数がすごいねえ」と感心しているドライバー君。もしかして西部から出るのもはじめてだったりして(^^;

 そしてやっとうちらが泊まるホテルの看板を見つけることができ一安心。

 フロントは通りから大分奥まった所にあったので、そこまで車で入ってもらった。

 荷物を降ろしドライバー君に「ちゃんとミンピまで帰れるかい?」と聞くと、帰りは一本道だから大丈夫だと、ちょっと自信なさそうに言っていた。それじゃ慣れない道をどうもありがと、気をつけて帰ってねとチップを渡すとドライバー君は大喜びで帰って行った。

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