驚異のムシムシパラタイス・・・
 その日の夜中、突然の轟音にビックリして目が覚めた。なにかと思ったら、土砂降りの雨が屋根を叩く音だったようだ。
 なんかすごい降ってるけど朝になったら止んでくれるかなあ・・・

 雨とわかればこっちのもの。再び眠りに落ちそうになったとき、部屋の隅からザワザワとした気配が伝わってきた。

 今度はなんだろう・・・恐る恐る目を開けると付けっぱなしにしたまま寝てしまっていた円筒型の照明のあたりがなんだかモヤッと霞んで見える。

よく見たら・・・なんじゃこりゃ〜!!!

 その周りにはおびただしい数の虫が飛び交っていた。大きいのから小さいのまでその数半端じゃない。ひぇ〜ドウスルヨ〜(泣)熱帯雨林の真ん中だから多少の虫はいるだろうと思ってたけど、この数多少とは言わないだろう。

 網戸がちゃんとあるのに何処から入ってくるんだ?その網戸に何かがバタバタぶつかってくると思ったら、世界最大の蛾、ヨナクニサンじゃないか!これはちょっとうれしいかも(^^;カメラ魂が目を覚ます。

 さすがにでかいだけあって網戸の隙間からは入っては来れないようなので(入って来られても困るが)外から撮影しておこうと雨の中ベランダに出ると、大嫌いな死にかけのセミが飛んできてビービー絡まりまくられ鳥肌が立つ。
 でも相手はヨナグニサン、こんなことで逃げてはいられない。戦場カメラマンの気分で歯を食いしばって撮影する。

 近くに羽根を閉じて止っていた蛾もついでに撮影。こいつは前足2本だけが妙に発達していて奇異な感じだった。

 さらにキリギリスの仲間だろうか、長さ5cmほどの緑のやつも網戸に引っ付いている。
日本にいる仲間は薄平たいけどここのははで〜んと横にもボリュームたっぷり。ちょっと気持ち悪い。

雨にぬれ、セミにたかられながらながらこれだけ撮影すると、セミが入ってこないように慎重に部屋に避難。

といっても部屋の中も大物がいないだけで外とあまり状況は変わらないんだよな・・・
よく見ると床に水溜りも出来ている。雨漏りしているようだ。カメラの所じゃなくて良かったよ。

ブンブン飛び回っているのはおもに羽アリだが、なかに蛾やたちの悪いカメムシも混じっている。カメムシはこっちを狙って飛んでくるので大嫌いだ。はたしてどうすっかなあ・・・
大体ヤモリは何やってんだ。これだけ餌が一杯あるんだから全部食べてくれればいいのに・・・

 幸い彼らは明るい所に集まるので、いまイケニエになっている照明だけ残し他の電気を全部消すと暗いこちらの方は安全地帯になるようだ。このまま起きてたら明日の撮影に影響が出かねない。とりあえず寝なきゃと思い、
今までのは見なかった事にして、シーツを頭からかぶって布団に潜り込んだ。せめて蚊帳があればなあ・・・

 と、大騒ぎしたわりにはすぐに寝込んでしまい、腕時計のアラームで再び目が覚めた。もう朝か・・・
 外はまだ暗く雨は相変わらずすごい音をたてて降り続いているが、朝の気配を感じたのか虫たちの数が少なくなってきたようでホッとする。

とりあえず冷蔵庫のコーラを飲んでシャッキリしてからトイレに入ると、げげ、そういえばここも電気つけっぱなしだった。

洗面のシンクにはシロアリが一杯。

 壁のマダラ模様はみんなカメムシだ。それが時たま哨戒飛行に飛び立ってこちらにやってくる。
そしてさらに特攻部隊が襟首や頭に止まったりするからたまらない。
近寄ってくるカメムシは容赦なく叩き落とし、シャワールームに入り込んでいるやつらは熱湯シャワーをかけて退治するが、カメムシは当然最後のあがきでカメムシ汁を放出する。

 しかもカメムシは後から後からやってきた。もしかしてこのカメムシ臭は増援部隊を呼ぶ匂いなんじゃないかとさえ思ってしまう。そしてカメムシ臭が充満したバスルームでの戦いは完全に夜が明けるまで続いたのだった・・・

そんな死闘を乗り越え、周りが明るくなってくると、さすがのカメムシも飛行頻度が低くなってきた。
その姿を観察していると、今まで壁中に散らばっていたのが10匹ほどの小グループにかたまりつつあった。
どうやら休憩モードに入ってくれたようだ。一時休戦か。昼間のうちにどっかに行ってくれますように・・・

こうして長いダナンバレー第一夜が明けた。

 昨夜のナイトドライブの時はひーことたいきも連れて来れば良かったなんて思ってたけど、この状況を考えると、連れて来なくてほんっとに良かったよ。あんなの見たら二人のジャングル嫌いが増長するの確実だもんなあ・・・

前へ目次次へ

鳥見旅行記トップへ

inserted by FC2 system