灯台下暗し
 結局カザリショウビンは見られないままキャノピーウォークを渡り終えメインロードに戻ってきてしまった一行はなんだか重たい雰囲気に包まれていた。ワンコンもこのままじゃ気がすまないんじゃないかな。

 と思ったが、彼はもうすっかり帰るモードでメインロードをすたすた歩き出した。あ〜あ、これで今回の鳥撮りも終了だ。
今朝はほとんど成果なかったし、ちょっと尻すぼみな感じで残念だよ。

 肩を落としてロッジに向かって歩いていると、さすがにそんな雰囲気を察したのかワンコンが話しかけてきた。
 「何年生まれだ?」というので19XX年だよ、と答えると「それじゃ何月生まれだ?」と続く。7月だというと今度は「何日か?」 24日だと言ったらびっくりしたような顔になって「僕と一緒だ!」だって!そりゃすごい!誕生日が丸まる一緒な人なんてはじめて会ったよ!

 いままでのサゲサゲ気分もぶっ飛んで「OH!Brother!」と言ってハイタッチ。なんかうれしいなあ、ワンコンもニコニコだ。 どうもゲストブックを見て自分と同じ誕生日っぽかったんで気になっていたそうだ。

でもまさか同い年だったなんてねえ。それにしちゃちょっと疲れてるよな(^^;

 さらにこの滞在中、RICKさん、にゃっちさんと「ワンコンって誰かに似てるよね」って話をしていたのだが、ここに来てその正体が判明!糸井重里だ!(爆) あ〜すっきりした(^^)

 そんなこんなで凹んでいた気分からちょっと立ち直り、ロッジが見える所までやってきた。ワンコンは「それじゃここで帰るから」と宿舎ヘ向かおうとしたとき、にゃっちさんが「セグロミツユビだ!」と森の中を指差した。え〜こんなロッジの近くに!?

 どうやら森の中を飛んだみたいだが、まだ近くにいそうな雰囲気だ。みんなでばらけて捜索していると、ワンコンが手招きする。おおっ!いたのか!?

 慌ててワンコンのところまで行くとすでにRICKさんがカメラを構えている。レンズを向けている先を見ると赤いものが見えた。確かにセグロミツユビのようだが今の位置からだと重なり合った葉っぱや木の枝にじゃなされて一部しか見ることができない。

 低い位置からだとなんとか全身が見えるようなので、三脚の脚を開いて地面に寝そべるようにしてファインダーを覗きAF−ON!すると輝くように綺麗なセグロミツユビの姿が浮かび上がった!今度はちゃんと嘴の赤い成鳥だ!

 やはりシャッタースピードはかなりの低速なのでひたすら連写、何度もバッファフルを繰り返しなんとかその姿を収めることができた!最後の最後、しかもこんなロッジの近くでセグロミツユビが見れるなんてびっくり、これもにゃっちさんのおかげだよ。ありがとう〜

 セグロミツユビカワセミが去ったあと、ワンコンもそれじゃ、って感じでとっとと宿舎に戻ってしまった。さっきまでブラザーだったのにあっけない別れだか、結局彼とはこれが最後になった。
 愛想とやる気はいまいちだったけど、後から思い出してみるとしっかり結果を残してくれたいいガイドさんだったかな。

 ロッジに戻るとエントランスにはモーレンカンプオオカブトが出かけた所にうずくまっている。弱ってるのかな。ちょうどこれからトレッキングに行くらしい欧米系の子供に教えてあげると大喜びだった。きっとたいきも見たら喜ぶだろうなあ。

  さあ出発まであと1時間。急いで荷物をパッキングしなければ。

 部屋に戻ろうとボードウォークを歩いているとトカゲを見つけた。滞在中何度か見かけたがまだまともに撮っていなかったやつなのでしっかり撮影しようと近寄るが、警戒心が強くて十分良いポジションを取れないうちに逃げてしまった。ボルネオトカゲと言うボルネオ固有種だ。これがここで撮った最後の生物となった。

 ここにはほかにも背びれがギザギザのボルネオモリドラゴンという魅力的な種類もいるようだが、今回は出会うことができなかった。カザリもそうだしズアオヤイロチョウもそうだが、ダナンバレーはいっぱいの成果とともにいっぱいのやり残しもできてしまった。これじゃまた来ないわけには行かなくなったな。

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