さらばダナンバレー

 部屋に戻って大急ぎでシャワーを浴びるとロクヨンを三脚から取り外す。3日間ご苦労様。
 綺麗な服に着替えて気分をしゃっきりさせたら準備完了。

 荷物のパッキングを済ませたらもうチェックアウトの時間だ。
部屋の外に出ると、爽やかな青空と深い緑のジャングルが目にしみる。

 ちょうど顔なじみになったスタッフが通りがかったのでスーツケースをエントランスまで運んでもらう。ちなみにこのボルネオレインフォレストロッジのスタッフは一切チップを受け取らないよう教育さてているみたいだ。

 レセプションで清算を済ませるが、初日コタキナバルで両替した10000円からなんだかんだで使った後の残りでもまだお釣りが来た。ここは全食事も込みだから、結局かかったのはビール代だけ。滞在費はすごく安いのだ。

 さあ、これでレストラン前の広場や壁のヒルの看板ともお別れだ。今度は家族連れでまた訪れたいなあ。

 そして来たときと同じピックアップトラックの送迎車に荷物を積み込み、スタッフに見送られながら出発。

 来る時は曇りベースで時折薄日がさす程度のダート道だったが、
今日みたいにカラッと晴れていると夏の雰囲気がいっぱい、走っていて爽快な気分だ。

今回のドライバーの若者、最初は無口だと思ったが、こちらから話しかけるとポツポツとしゃべりだした。
出身はキナバタンガン川流域だそうだ。言い方は悪いけど原住民だよな。
ボルネオレインフォレストロッジにはそういう人が結構働いているらしい。

 今日はラハダトゥに行ったらそのまま滞在して明日客さんを乗せて戻ってくるそうだが、忙しい時にはこの送迎を1日4往復やることもあるらしい。片道2時間かかるから16時間運転しっぱなしか。そりゃハードだよねえ。

 そういえば来る時川を渡ったけど、大雨で川が増水してる時はどうやって渡るの?と聞くと、なんだか分からないが大丈夫らしい。いまいち話がよくわからないなあと思っていたら、ドライバー君しばらく口ごもってから「英語が苦手でごめんね」とあやまってきた。いいのいいの。僕だって大して分からないんだから!(^^;

しかし何が大丈夫なんだろうな?と思ってたらその川の所に到着。なんだ、もう橋が直ってる。橋が治ってるから大丈夫だったんだね。しかし来たときは橋げたもまだできてなかったってのにどれだけ突貫工事だったんだ?

下を流れる川は来たときよりも水量が多い。これじゃ渡れなかったかも。突貫とはいえ直っててよかったよ。

 川を渡って再びフラットダートを走っていくと、目の前をカワリサンコウチョウが横切った。白い竹とんぼのような姿はとてもよく目立つ。ドライバー君が気を利かせて車を止めてくれたのですでにリュックの中に仕舞ってしまっていたロクヨンの代わりにひざの上においていた非常用のD7000とシグマの50-500mmを持って車から降りてみると道路際の木の中から「グェグェ」と言う声が聞こえ、一瞬これはいけるか、と思ったのだが、ちらっと白い姿が見えただけで声はすぐに森の奥の方に入ってしまった。残念。ドライバー君によると、カワリサンコウチョウは送迎の時よく見かけるそうだ。

 続いて現れたのは猛禽。これはドライバー君が見つけてくれた。RICKさんもにゃっちさんもどこにいるのか分かっているみたいだが、僕には何処だかさっぱり分からない。再びカメラを持って車から降りると道路際の木から鳥が飛び出した。カワリクマタカのようだ。とっさのことで露出補正も出来ずノイズまみれになってしまったが、なんとか証拠写真ゲット

その先しばらく行くと森の中のキャンプサイトに差し掛かった。

 その中程を流れる川の橋を渡る時、RICKさんがコウハシショウビンを発見したらしい!さすがの動体視力だね。
 ドライバー君に頼んで車を橋の上までバックさせてもらうと、川をまたぐように貼られたワイヤーの上でグェグェと鳴いているコウハシヨウビン発見。薄暗い中に背中の青が浮き立ってすごく綺麗だ。
再び非常用のD7000とシグマの50-500mmでまずは車内から一枚。そのあと車を降りたらこちらの気配を察したのか飛んで行ってしまった。残念・・・

 改めて眺めてみると、今まで見てきたのと違ってここの川の水は澄んでいる。両岸には芝生が広がり高原の避暑地みたい。ボルネオのジャングルの真っ只中とは思えない場所だ。
トリバネアゲハでもいないかと岸辺まで降りてみると倒木にリュウキュウムラサキが止まっていた。

 川岸の木には花が沢山咲いていてタイヨウチョウの仲間がいっぱい集まってきている。ここでしばし撮影タイム。ムラサキタイヨウチョウ、キゴシタイヨウチョウ、チャノドコバシタイヨウチョウの姿が見えるが距離こそ近かったものの、動きまくるし葉っぱ被りだらけでまともに撮れず。沢山の鳥を目の前にしてファインダーに捕捉出来ない自分がもどかしい。

 ひとしきり撮影したあとは、キャンプ場の奥に入って行ってトイレタイム。ここで爆笑おばちゃん一行と遭遇、こんなとこで会うなんて奇遇だねえ、と再会を喜び合った。彼女達も今日コタキナバルに戻るそうだ。なら一緒の飛行機かな?

 このキャンプ場鳥も多いしトイレもあるし、広々として中々良さそうな所なので今度来た時はもっとじっくり見てみたい。

 それじゃ再び出発。あまり寄り道をしていると飛行機に乗り遅れかねないので、以降は極力車を止めないでそのままラハダトゥへ向かってもらう。

 来る時通った詰め所のあるゲートを通過するともうダナンバレーエリアもおしまいだな。4日前はずいぶん奥地まで来たものだと思ったが、いまはずいぶん町に近づいてきた感じがする。

 やがてずっと続いていた周りのジャングルがパーム椰子のプランテーションに変わった。ドライバー君の話だと、このパーム椰子の農園を開拓するために政府から補助金が出るらしい。今ある程度の規模の農園を運営すれば月に15万円位の収入になるそうだ。こちらの物価からするとかなりすごいんだろう。

 やがてダートが舗装路に突き当たり町のエリアに入ってくると、道路の周りの草がみんな泥をかぶったようになっている。ドライバー君に聞くとこの前のカメムシナイトの日の大雨のせいらしい。あの雨、なんと2年に一度の大雨だったそうで、川が増水して2人が亡くなったとのこと。そんなすごかったのか。
 そういわれてみると民家の壁2mくらいの所まで水が来た痕跡が見て取れる。さらに多くの家が家財道具を地面に広げて干していた。これはかなりの増水だったんだろう。
 しかし2年に1度の大雨か!いったい誰の引きが強かったんだろうな。

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