今朝もひたすらタイヨウチョウ

ランタ島最終日の朝、目が覚めると昨日の雨は止み、空は晴れ渡っていた。

 早速支度をして、ロクヨンを担ぎ外にでる。目指すは昨日の入り江だ。早朝ならナンヨウショウビンくらいいるかもしれない。今日は12時くらいのフライトなので時間にはたっぷり余裕があるので9時くらいに戻れば余裕だろう。

 セキュリティーのおじさんに挨拶をしてゲートを抜け、隣のビーチへの坂道を登る。わずかに朝霧が立ち込めていてとっても清清しい。しかし相変わらずレンズもすぐ曇る。夜と朝の温度差のせいだと思うが困るよなあ。

 海が見える最高地点あたりに差し掛かった時、後ろから足音が聞こえてきたので振り返ると、サッカージャージを来た若者がランニングでこちらに向かってくるところだった。おはよう!と挨拶をすると彼も立ち止まっておはようと返してきた。まだ若いな、高校生くらいだろうか。

 彼は走るのをやめて一緒に並んで歩き出したので色々話をした。カメラを見「プロなの?」と聞くので「そうだといいんだけどね」と答えておく。
 彼は高校生じゃなくてホテルの従業員だそうだ。今は大学生でインターンでここに勤めているという。どこにいるの?と聞いたらバーで働いているらしい。仕事は午前2時まであるそうで、その後こんなに早く起きてランニングしてるなんてやっぱり若さだな。

 ポツポツと話しながら向こうのビーチに着くと、彼は「それじゃ」と言って戻っていった。今の所鳥は全然いないけど、朝から感じのいい若者と喋れて楽しかったよ。


 さあ、それじゃ入り江に行ってみようか、と思ったらすぐ近くにムラサキタイヨウチョウが止まった。これは撮らなくては!と思いファインダーを覗くとレンズは曇りまくり・・・

 しかし周りからは数羽のムラサキタイヨウチョウが鳴き交わす声が聞こえてくる。慌てず気を取り直し、レンズをよく拭いて姿を探すと、どうやらここにお気に入りの花が咲いているようで、数羽のオスが追いかけっこをしていた。
 動き回るので撮りにくいが、ムラサキタイヨウチョウは遠くへ行かず同じところをぐるぐる飛び回っているので、じっくりチャンスを待って撮影。

 頭のメタリックグリーンが朝日に照らされて黄金色に輝いているようだ。

 でもあまりこいつにかまけているわけにも行かない。折角のゴールデンタイム、入り江も覗いておかなくちゃ。

 海岸の潅木林を回り込み覗いた入り江はいかにも鳥がいそうな感じ。

 しかし期待に反して鳥はムラサキタイヨウチョウのメスがいただけ。

川の上流の方はランカウイみたいで、ほんとカワセミくらいいそうなんだけどなあ・・・
他に動くものと言えばトビハゼ位だ。大陸からちょっと離れている上に島が小さいから生物層が貧弱なのだろうか。

 こうなったら後はひたすらムラサキタイヨウチョウを撮るしかないだろう。
幸いさっきのポイントに戻ると甲高いさえずりがまだ聞こえてくる。
レダン島でムラサキタイヨウチョウを撮るのはこれが最後のチャンスだろうと思い、気合を入れて探すと、
ちょうど枝かぶりもなく抜ける位置で動かずに囀り続けるオスを見つけた。

 今回ここではほぼムラサキタイヨウチョウしか撮れなかったが、他に鳥がいなかったからこそ、この鳥をこれだけ撮る機会に恵まれたんだろう。そう思うとこれはこれで良かったかも。本格的な鳥撮りはシンガポールでもできるだろうしね。

 最後に喉の紫、頭の緑、そして胸の赤が良くわかるどアップを撮影できたところで時間切れ。そろそろホテルに戻った方がよさそうだ。

 ビーチを後にしてホテルへの坂道を登っていると、道の向こうにサル軍団が陣取っているのが見えた。
みんなこっちをじっと観察しているようだ、なんかやな感じ。
ここは彼らのテリトリー、僕は侵入者って立場だ。攻撃されないとも言い切れない。

 いくら相手がサルだとはいえ多勢に無勢。万が一向かってきたら無傷じゃすまないかもしれない。
 念のために道に転がっていた岩を拾い、いざとなったら戦うつもりで目をあわさないように近づいていくと、サル達はキーキーと大騒ぎしながらも少しづつ道を明けて両脇の藪の中に逃げて行ってくれた。平和的解決ができてよかったよ。

 無事ゲートをぬけ部屋にたどり着いたらレダン島での鳥撮りは終了。それじゃみんなで朝ご飯を食べに行こうか。

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