午前中は釣り三昧
 宿に戻るともうおおかたの人は出かけてしまったようで室内はしーんとしていた。たいきはバーベキューテラスで勉強中のようだ。えらいねえ。

 テラスの外には畑とお墓(^^;が広がっていて、奥の木立からはアカコッコの囀りが聞こえてくる。そんな景色を眺めながらパンとコーヒーで朝ごはんを済ませる。のんびりしてていい雰囲気だ。

 お腹も落ち着いてひと休みしたら今日はたいきの八丈での一番の目的、海釣りに行く事にする。
 道具の用意をして駐車場に向かって歩いていると、植え込みの中にトカゲがいるのを見つけた。

 後に分かったのだが、これはオカダトカゲという伊豆半島から伊豆七島に分布している固有種だったようだ。体の側面のラインが八丈島の土の色に似たレンガ色と言うのが特徴だそうだ。最近はネズミ対策に放され野生化したイタチに食べられてしまい数が減っているようだ。

 そんな思わぬ成果にも気づかぬまま車に乗り込んで海へ向けて出発。
 ここら辺で足場が良くて釣りにいいのは八重根港、底土港、神湊港辺りらしい。が、その前にまずはどこかで餌を買わないといけない。どこか港の近くに行けば釣具店があるんじゃないかと思い、まず目指したのは神湊港。

 八丈島はひょうたん形をしていて、その一番くびれているあたりが一番開けている、というかそこしか開けていないのだが、そのくびれの一方の端に神湊港と底土港があり、反対側に八重根港がある。

 車にはナビもついていないが、複雑な道でもないので迷う事もなく神湊港に到着。期待したとおり釣具屋さんもあったので、店員さんに聞いてサビキ用のコマセと付け餌のオキアミを購入。仕掛けは持ってきているのでこれで準備は万端だ。それじゃ早速目の前の港で、と思ったがなんだかイマイチ気分が乗らない。釣り人も多いし港は10mくらいありそうな高い防波堤に囲まれていて外海が見えないのだ。

 それじゃ近くの底土港も覗いてみようと移動すると、こちらは広々とした海が広がりいい感じ。
人の姿もほとんど見えない。

 駐車場の下の岩場を見るとシギチ発見!キョウジョシギだ。春の渡りは山だけじゃなくて海でも真っ盛りなんだな。

キアシシギの姿も見える。思わぬ所で鳥撮りができちゃったなあ。

 工事の人か作業員かわからないが、岸壁の一番手前で釣りをしていた人の竿にはひっきりなしに魚が掛かっていた。20cm以上ありそうなのがまさに入れ食い。たいきもそれを見てやる気満々になっている。

 でも釣り人の姿が神湊港に比べてあまりにも少なすぎる。もしかして立ち入り禁止なのかな?それが気になったので、八重根港もどんな感じか覗いてみようと言う事になった。八重根港はくびれの反対側だが車で15分ほど、それほど遠くもないから様子を見てこっちの方が良さそうだったら帰ってこよう。

そして向かった八重根港、こちらには釣り人の姿もチラホラ見えるので立ち入り禁止ではなさそうだ。それじゃここで釣りをしてみよう。

 他の人と適当な間隔を取って釣り場を決めると仕掛け作りを開始。天気も上々、いい釣り日和だねえ。

 仕掛けができたらコマセをつめて第1投!でも風が強く、キャストしても遠くへ飛ばないしラインもどんどん流されていってしまい中々釣りにくい。

 みんなも苦労しているようだが、やっと釣りができたんだからと各自一生懸命コマセを詰めて仕掛けを流している。きっと頭によぎっているのはさっきの底土港の入れ食いの風景なんだろう。

 しかし海はそんなに甘くない。綺麗な青い水の中に見えるのは流れていくコマセの姿だけ。小魚さえ寄って来ないってのはどういうことだ?

 僕はあっという間に飽きてしまい、仕掛けをエギに付け替えてイカを狙ってみたものの、こちらも当たりも掠りもしない。

 そんな時、前方の水面に流れ藻の塊のような茶色いものが浮いているのが目に入った。気になって眺めていると、そいつはだんだん浮いてきて亀の甲羅の形になった。1mくらいありそうなウミガメだ! 呼吸しに上がってきたようで水面に顔を出した!あわてて釣竿をカメラに持ち替えて一連写!

 アップで見るとくちばしの中に牙も見えて結構凶暴そうな顔をしているな。もしかして魚がいないのはウミガメがウロウロしていたからかも。

 ウミガメは水中では撮った事あるけれど、浮いているのをちゃんと撮影できたのは始めて。たまに浮いているのを見かけることもあるが、息継ぎをするとあっという間に潜ってしまうので、もぐら叩きみたいでなかなか上手くいかなかったのだ。魚が釣れなくてもこれだけで十分嬉しい。

 一方たいきとひーこはやっぱり魚が釣れないと嬉しくないみたいだ。それじゃさっきの入れ食いポイント、底土港に場所を変えようか。

 仕掛けを片付け繰り間に戻る途中に見える港の横の入り江は綺麗なターコイズブルーをしていて、南の島に来た感が強くなる。外海が荒れていても体験ダイビングとか講習はここで十分できるだろう。実際潜行していると思われるダイバーのエアの泡が動いていくのが見える。こんなの見ちゃうと1本位潜ってもよかったかなあ、なんて気分になってくる。

 再び15分ほど走り底土港へ付くと、ちゃんとした駐車場があるのを見つけた。
ここに駐車しておけば文句を言われる事もないだろう。トイレも整備されているし、居心地良さそうだ。

 岸壁も良く見ると先端のほうには釣り人がちらほら見える。この岸壁、全長1km位ありそうな大きな物なのでそこまで見えなかった。釣禁止って訳じゃないみたいだな。こちらは島影になるのか八重根港と比べると海が大分穏やかだ。

 それでは、とさっきの入れ食いを思い出し思わずニンマリしながら仕掛けを落とす・・・・

そして待つ事数分!

コマセがなくなったので詰めなおし再び仕掛け投入。海底は白い砂なんだろうか、海の色がとっても明るいなあ・・・

そして待つ事5分

またコマセがなくなった・・・

う〜ん、なんだか全然釣れないぞ・・・

さっき入れ食いだったポイントは岸壁の角の所だったのだが、底には先客が陣取っていて入れてもらえそうもない。

どうしたもんかと思っていたら親切な地元の若者がやってきて色々アドバイスをしてくれた。
今朝ははあの角のポイントでシマアジの子供が入れ食いだったらしい。
あれはムロアジじゃなくてシマアジだったのか!そりゃ釣りたかったなあ。

僕らの仕掛けを見ると、これだといまいちタナを取りにくいからということで、
新たな仕掛けを作り直してくれたりもして至れり尽くせり。ありがとうねえ。

昨日の晩はこの岸壁の先のほうで夜釣りをしていたら大物が掛かってラインが切られたそうだ。
ムロアジの一匹掛けのブッコミ釣りなんかでは大きなカンパチとかもかかるらしい。
そんな話を聞いているうちに角のおじさんの竿が大きくしなった!ヒットだ!

そして上がってきたのは25cmくらいありそうなシマアジだった。まだ釣れるんだ!いいな〜、あそこで釣りたいな〜

 地元の若者はあそこで釣れと言うが、釣ってる人の真横で仕掛けを入れるってのはちょっと抵抗がある。釣りをするんだったらそんなことは言ってられないのかもしれないけどねえ。それでもやっぱり隣で釣れているのを見たらじっとしてもいられないので、魚がこっちにも来てくれるのを期待してちょっとだけ角の近くに移動。角の所を見てみると流れが渦巻いていてその中に魚影がキラキラと光るのが見える。やっぱりあそこじゃないときびしいか・・・

 その後も角のおじさんは数匹のシマアジをゲット。やっぱあそこで釣らなきゃつれないんだ・・・
よっし、それじゃここはひとまず退散して昼ごはんを食べに行こう。そのあと戻ってきたら
おじさんたちも満足して引き上げてるかもしれない。そしたらあの場所で入れ食い天国だぜ!

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