恐怖のお鉢めぐり
 外輪山の上に立つと意外なほど緑が豊富な噴火口が見えた。
もうちょっと荒涼とした瓦礫の原が広がっているのかと思っていたが、外輪山の内側にもう一つの世界があるような、鬱蒼とした広葉樹林に覆い尽くされていたのだ。

 風が強く吹き付けてきて、かいた汗があっという間に乾き少々肌寒くなってきた。さてそれじゃいい景色も見れたしウィンブレのお世話になる前に下山しようかね、と思ったら、ひーこはここまで来てお鉢めぐりをしないなんてオメえらアホか?見たいなノリになっている。こりゃまた付き合うしかないのか・・・ と言うわけでお鉢めぐりに出発〜orz

 外輪山の上ってのも結構起伏が激しいようで、いきなりかなりの傾斜の登りがはじまる。とはいえ道はまあまあ広め、歩き辛くはなかった。まだこのときは・・・

 しかしそのうち道は草原にできた窪みの中を歩くような感じになってきた。風もかなり強いので、吹き飛ばされないように両側の地面に手をつきながら慎重に進んでいく。

 でもここまではまだ良かったのだ。ここから先、僕とたいきは恐怖のズンドコに陥る事になる。


道が尾根の上に出てしまったのだ。海側は斜度45度はありそうな斜面そして噴火口側もそれに劣らぬ位の急斜面だ
その頂点につけられた人一人が歩けるくらいのでこぼこ道を、まるで平均台を歩くように進まなければならない。
両側にさえぎるものは何もなく、さらに海に向かっては激しい風が吹き荒れている。このままじゃ絶対落ちるって・・・

 一人でどんどん行ってしまうひーこを追いかけて、たいきと二人手を取り合って前に進もうとするがやっぱコエ〜〜足が前に進まない〜〜〜!こりゃもうダメ!

ってことで、ここから先はひーこ一人で行ってもらう事にして、僕とたいきは安全地帯まで避難する事にした。

 一方のひーこだが、何とかと煙は高い所に登りたがるってことわざを地で行くようにとっとと登って行ってしまった。大丈夫かよ〜〜見てるほうがチ○サムになっちゃうちゃうぞ・・・

 そんな心配もどこ吹く風、ひーこは楽しくて仕方ないようで、前方に見える八丈島最高地点めざしてスキップでもしそうな勢いだ。こんな強風の中、風にあおられて足を踏み外したらどうしようとか考える想像力ってのがないのだろうか(^^;

 そしてついに最高地点に到着。もうここからは点でしかみえないけど、なんとか無事みたい。しかしあんなとこにとっとと行っちゃうなんて馬鹿じゃねーか?とたいきと二人顔を見合わせてしまう。まあとにかく早くかえっておいで〜〜

 やがて軽快な足取りで戻ってきたひーこさん、ほんとはお鉢めぐり一周したかった〜と不服を言っていた。何が楽しいのか全然分からん!

 そのあと下山道まで戻ってくるとさっきの原付兄さんと再会。彼は噴火口の中の神社を見てきたそうだ。そんなに遠くないから行ってみればどうですか?と勧められ、ちょっとのぞいてみる事にする。彼はこれからお鉢めぐりに行くそうだ。頑張ってね〜

 噴火口への道は結構な急坂だ。しりもちを付くみたいに滑り降りなければならない場所もあり結構険しい。

 下まで降りると外輪山で風がさえぎられるせいだろう、上にいる時よりかなり暖かい。もしかしたら地熱の影響もあるのかな?道の周りは木が鬱蒼と生い茂り、なんだか獣道みたいになってきた。それでも道標はあるので道に迷う心配はなさそうだ。木のトンネルを抜けて前に進む。

 そして神社に到着。ここがご本尊か。鳥居の下には願い事を書いた石がいっぱい転がっていた。中にはナントカ保育園みたいなのもあって、園児がここまで来たのかと感心してしまう。

 そしてその神社の向こうに行ってみると、そこにはさらなる噴火口が奈落の底へ続くような大穴をあけていた。

 画像からは分かりにくいが、足元の草むらの先は優に100m以上落ち込んでいて、お鉢めぐりじゃ余裕だったひーこもビビっていた。ここで記念写真を撮ったらもう午後1時。お腹も減ったので外輪山向けて引き返す。

 帰りは意外と楽で、思っていたよりあっさりと外輪山の上までたどり着いたが、ここで八丈富士のパワーをたっぷりと取り込んだたいきが試しにひーこに向けてカメハメハをしてみた。

おっ、ちょっと飛んだ・・・・(^^;

 さあじゃ下山しようかね!息がしんどかった分、帰りはらくらく。どんどん足が前に出て行き、このまま斜面に飛び出しちゃうんじゃないかと心配になるくらいだ。景色を見る余裕もいっぱいある。道も広くて楽チン楽チン♪

 ヤギ避けのフェンスなんてあっという間に到着。さっきはここらへんで死にそうになってたなあ。

重力に逆らわずひたすら下るのはなんて楽なんだろう。

途中飛行機の轟音に空港の方を見てみると、今まさに着陸しようとしている機体を見下ろす事ができた。
こんなシチュエーションで飛行機を見る機会なんてあまりないだろう。

そして行きの苦労はなんだったんだろうってくらいあっさりと登山口まで降りてきた。
あんな上のほうまで行ってたなんて、うちら頑張ったなあ・・・

あ〜お腹減った。それじゃ今日こそ天ぷら蕎麦目指してがんばろう!

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