朝日のアカ様

 石垣島最初の朝がやってきた。久しぶりの石垣島にワクワクして思いっきり早起きしてしまい、まだあたりが薄暗い中、まずはいつもの展望台に向かう。

 九十九折の山道をヘッドライトをつけて登り展望台の駐車場に付く。急ぎ足で階段を登り空を見上げると、そこに広がっていたのは2年ぶりの石垣島の夜明けだった。やっと帰ってきた来たな〜っ!って思う。とても幸せだ・・・

 振りかえると日の出前の紫の光の中、石垣の町並が広がっている。これもたまらんっ

 それじゃ今年も石垣の朝を満喫した事だし、本題のアカ様ポイントへ行ってみよう。去年行ったRICKさんたちの話だとアカ様の数が減った上、警戒心も強くなっていたというので少し不安だ。

 そして到着したアカ様ポイント。いつもの場所に行って見るが・・・アカ様いない・・・ やっぱりRICKさんの言っていた通りだった。何でこんな事になってしまったんだろう。2年前はそれなりにアカ様に会えたのに・・・やはり観光客が増えた事による悪影響なんだろうか・・・

 少々焦りながらアカ様がいそうなポイントをいろいろまわるがその姿はない。やっぱりもう石垣島のアカ様はダメになっちゃったんだろうか、それともアカ様の数自体が減ってしまったのか・・・

 なんだか悲しくなって、10年程前ここに来た時一番最初にアカ様に会ったポイントに当時を懐かしんで行ってみると

 そこには朝日に照らされた真っ赤なアカ様!

まだいてくれた!ありがとう〜!懐かしさと嬉しさで胸がいっぱいになりながらも大興奮で車の窓から撮影。
ニコンに戻ってから初めてのアカ様ゲットだ〜

 このアカ様、しばらくこの辺りで餌を採ったり羽繕いをしたりして遊んでくれたので、久しぶりのアカ様をたっぷり堪能する事が出来た。ひたすらうれしい!アカ様、本当にあえて嬉しいよ〜

 太陽の当たり方で、リュウキュウの紫色が浮き上がる。この色がまた何度見てもたまらないのだ!

 とはいえ折角でてきてくれたアカ様にあまりプレッシャーをかけてもかわいそうなので、ほどほどの所でその場をそっと離れた。とりあえずはその姿を見れただけでも幸せだよ。

 その後、そろそろ時合いも良くなったんじゃないかと期待してもう一度いつものポイントへ行ってみたが、
やっぱりアカ様の気配はない。何でかなあ?見た感じはそれほど変わっていないのだが・・・


 ただいつもはあまり見かけない辺りで再びアカ様に遭遇。

 さらにもう一箇所、その近くでも。
いつもと縄張りを張っている場所がちょっとずれているだけなのか。なら良いのだけれど。
このときは車から降りてちゃんと三脚を立てて撮ることができた。やっぱりこのほうが満足度は高い。

 周りからは「キョロロロ〜」とアカ様の声が聞こえてくる。このファインダーに入っている個体と縄張り争いをしているのかな。そちらの姿も探してみるが、声はかなり近いのにどこに居るのか全然分からない。

 声を頼りに車をゆっくりバックさせていくと、当然「バキッ」という音が・・・やばい、当てちゃったかなあ。
 すぐに車を前に出してから降りて後ろ側を見ると、そこには高さ30cm位の四角い石があった。どうもこれに当ててしまったようだ。全然見えなかったよ・・・

 果たして車のダメージは・・・とチェックしたら後ろのバンパーの下のほうが擦れていた。これはどうなんだ。バンパー自体には影響はないようだけど綺麗な車だったし、やっぱりこれくらい傷がついちゃうとノンオペレーションチャージがかかってくるのかな・・・でもそれほど大した傷じゃないよな。

 これで気分は少々ドンヨリしてしまったが、まあそれは返却の時考えればいいことだ。
とりあえずここのアカ様は健在だったようでホッとした。別に数が減ったわけではなさそうだ。

 後の楽しみは明日以降にとっておく事にして、次はカンムリワシでも撮ろうかと山のほうへ行って見る。西表の初日に撮り損ねたキンバトにもちょっと未練があるし、リュウキュウスグロミゾゴイもまだ撮っていないからな。

 15分ほどかけて山に移動すると、森深い林道を進んでゆく。ここはジャングル感が強いのでワクワクするのだが、アカ様に関してはいつもあまりいい結果が残せていない。野生が強いから警戒心も高いのかもしれない。なので狙いはそのほかの八重山固有種。

 しかしまず出会ったのは固有種とは程遠い生き物だった。孔雀だ。
 林道が九十九折れの登り坂に差し掛かった頃、コーナーを回った先の地面に降りている所に遭遇。一瞬「なんだあのでっかいのは?」とびっくりしたが、そういえば前回も見かけたなあ、と思い出す。孔雀はこちらを見ると早足で斜面の藪に逃げ込んでいった。
しかしあんな大型の鳥がこんな山奥でも野生化してしまっていて生態系への影響はだいじょうぶなのかな?

 さらに登り坂をゆっくりと車を進めていくと、前方の木にカンムリワシが止まっているのを発見した。今度は固有種だけれど、相変わらずトビ並の警戒心のなさだ。ここでは生態系の頂点に君臨するカンムリワシ。敵はいないだろうし、昔から島民にも大切にされていたのか、それとも南国育ちでのんびりしているだけなのか。

 まずはD7000+50-500mmセットで引き気味に。程よいサイズにズームアウトすると、200mmくらいで丁度いい。

 次はドアップ狙いでロクヨン+D3に持ち替えファインダーを覗くが、縦構図にしても尾羽まで入りきらない。近すぎだ

 これだけでっかく撮れたのだから、いまのところカンムリワシはもう十分。そっと木の下を潜り抜け先に進む。
振り向くとカンムリワシはこちらを気にする様子もなくそのままそこに佇んでいた。

 その先のカーブをゆっくり曲がると、こんどはガードレールに止まるアカ様に遭遇!いつもは警戒心が強いはずの山のアカ様だが、こちらに気付いても飛ぶ気配がない。再び助手席にあった50-500mm付きD7000を手に取り窓から撮影する。手を伸ばしたら届きそうな距離だ。さすがにこれだけ近いとこのシステムでも解像するな。

 惜しいのは止まっているのがガードレールってところ。そこら中にいっぱい木が生えてるんだから枝に止まってくれてたら良かったのに。どう撮ってもガードレール止まり以上にはならないからなあ・・・

 とはいえ車を動かして飛ばしてしまうのも忍びない。動かないアカ様に付き合ってしばらくこちらもじっと待っていると、やがて地面に飛び降りて何かを銜えたアカ様は、森のほうに引っ込んでくれた、これでやっとこっちも移動出来る。

 上り坂はその先で終わり、開けた広場に出た。そしてその奥の道路脇の木には2羽のアカ様が!1羽はあっという間に飛んでしまったが、もう一羽はそのままそこに佇んでいる。給餌をしていたっぽいが、だとしたら飛んでいったのは幼鳥か。

 D3と600mmを構えながら車窓から撮れる位置に車体を動かしてファインダーを覗く。ここのアカ様の割りに警戒心は低いようだ。何よりここでこんな風にアカ様をじっくり見れるなんて初めてだ。

そのまま観察を続けていると、道を挟んだ反対側から「キョロロロ〜」が聞こえてきた。するとその声に反応するようにちょっと場所を変えたアカ様が目の前で「ギョロロロ〜」と少々だみ声ながらキョロり出した。いいぞ〜!

2羽のアカ様は鳴き交わしつづけている。そして見上げればこんな空。

こんな空間にいられるなんて、これが至福の時間でなくてなんだろう。
心の隅にさっきのバンパーの傷がよぎっても、それでもやっぱり幸せだ。

朝一番の時はどうなるかと思ったけれど、こうして2年ぶりの再会は果たされたのだった。

 さあ、それじゃそろそろ戻って朝ごはんにしよう。

 幸せな気分で山を降り、宿への道を急いでいると、途中の畑の奥に生き物らしき黒い塊が歩いているのが目に入った。これが朝撮り〆の一枚と思い車を止めてロクヨン越しに覗いてみると、そこにいたのは2羽のキジだった。

 石垣島でキジを見たのは初めてだな。よく見ると首に白いわっかがある。
本土のとは別種の大陸系のキジ、コウライキジだ。北海道が本場だと思っていたので沖縄にいるなんて意外な感じ。

と、これを最後に朝撮りは終了。満足いくまでアカ様撮れたので、今日は心置きなく家族サービスできるぞ〜

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