林道の光と影
 早くも石垣最終日となってしまった。3泊4日じゃあっという間だ。
それでもここのところ毎朝アカ様はとても愛想よく接してくれているので、自分の中ではもう満足、って感じになってきている。なんていいつつやっぱり会いたくてたまらないのだが。

 一方で今回まだまともに撮れていないリュウキュウズグロミゾゴイやキンバト、それにセマルハコガメあたりには未練が残る。 なので今日は日の出前から林道に入ってみようと思い、アカ様ポイントへは寄らず山へ直行した。

 山への途中、はるか彼方に海がかすかに見える場所で東の空が赤く染まり出した。なんとも綺麗だ。この朝の光も今回はこれが見納めだと思うと寂しくもあるけれど、今この風景の中に居られることはたまらなくいい気分でもある。

 山につくと、以前に入り込んで、途中対向車とすれ違えなくて窮地に陥った事のある林道に入ってみる。この時間なら対向車なんてまだいないだろうし、そんな場所ならセマルも安心して歩いているかもしれない。

 しかし林道は以前よりはるかに荒れていて、左右には草が生い茂り、ただでさえ狭い道幅を一段と狭くしている。

 やがて路面に轍が現れ、先に進むにつれてそれがどんどん深くなって行った。車が掘り返したところを雨水が流れる事で掘り返し、さらに深くしているようだ。

 このまま進んで大丈夫かとちょっと不安になり始めたが、道は車幅ギリギリでUターンなんてできそうもない。この道に入り込んでからもう大分走ってしまったし、バックで戻るにはちょっと距離がありすぎる。この先にあるか駐車スペースまで行ってUターンするしかないだろう。そう思い車を進める。

 しかし轍はどんどん深くなってゆき、カーブを曲がった先では深さ30cmはあろうかと思われるほどになっていた。

 これじゃタイヤがはまって動けなくなりそうだ。でも山側一杯まで寄れば轍は何とか避けられそう。その先はもうちょっとマシになっているだろうと思いヒヤヒヤしながら強行突破。
 

 しかしその先はさらに深くて広い、轍と言うよりもはやクレバスといっていいくらいの亀裂が広がっていて、もはや先に進むのは不可能になってしまった・・・どうしよう〜これだから車は嫌いなんだ〜。バイクだったらちょちょっとUターンしてなんとでもなるのになあ(T T)

 一度車から降りて周りをチェックしてみるが、今通ったところを見てぞっとする。タイヤの跡が半分轍にかかっていたのだ。あと5cmずれていたらはまっていたかも・・・どうするよ〜、先にも進めないし、進退窮まるってのはまさにこのことだ。なんか泣きそう・・・

 そんな風に悩んでいる間に森の向こうから朝日が顔を出した。最終日の朝は無駄に過ごしてしまったなあ・・・

 こうなったらしょうがない。ここから林道の分岐点まで1kmはあると思うけど頑張ってバックするしかないだろう。
一昨日擦ったバンパーのおかげでかなりビビリが入っている気もするが、こうなったら動くしかない。まずは第一難関、今通ってきたギリギリ道を通過しなければ。

 と車に乗り込むと、少しバックしては車を降りて進路をチェックを繰り返す。出来るだけ山側に寄っていかなくては。
緊張で口の中が乾く。もうこれ以上擦るなよ〜〜〜

 そしてかなりの時間を費やし、やっと難関を突破。良かったよ〜。いや辛かった〜

 あとはそろりそろりとクネクネ道をバックしつづけ、やっともとの広い林道に出た時はホッとして全身の力が抜けてしまった。 辺りはもうすっかり明るくなっている。折角朝一の林道狙いで出てきたのに・・・

 とがっくりしながら広い林道を走っていくと、道路際の木にハトくらいの鳥が飛んで来た。急いでカメラを向けると・・・
おお〜リュウキュウツミだ!これは今回初見。ちょっとは要らぬ苦労をした甲斐があったかな?

 そのあと昨日のアカ様ポイントにさしかかると、今日もキョロロが聞こえてくる。
声の辺りを良く見ると、今日もアカ様発見。

 ちょっと距離があるけれど、アカ様も今年はこれが見納めかもしれない。じっくり眺めさせてもらおう。

朝一は最悪だったけど、これでなんだか調子が出てきたぞ!
ヒカゲヘゴの葉っぱも気分をさらに盛り上げてくれる。

そして次に現れたのはカンムリワシ。いつもの事だが近すぎてロクヨンじゃフレームギリギリだ。
昨日と同じ個体かな。どこまでも愛想のいいやつ。毛の一本一本までくっきり見える。

カンムリワシはこれだけ撮れたらもう十分。ってことで、林道を逸れて以前ヤマモモが道路一面に落ちていた道へ進む。
前にそこら辺でもアカ様を見かけたことがあったので、念のためにチェックしておこうと思ったのだ。

すると前方の路上を歩いている鳥を発見。キジバト?と思ってカメラを向けたら西表で撮り逃がしたキンバトだった!

 普段はこちらの姿をみると良くて遠ざかり、普通だったら飛んで森の中に入ってしまうキンバトだが、今回は路上の餌をついばみながら左右にゆっくりトコトコと歩いている。しかも開けて割りと明るい場所だ。路面がコンクリなのはちょっと残念だが、こんな近くで見れたんだからよしとしよう。

キンバトとリュウキュツミで2種追加。朝一でこっちまで来て良かった。
それじゃ残る林道をぐるっとまわって帰るとするか。
もしかしたらもう1回くらいアカ様に会えたらいいなあ、という希望を抱きつつ・・・

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