やんばるのあとは水鳥探し
 

 宿にもどると大急ぎで荷物を片付け、ゴミ捨てなどもしてから部屋の中をさっと掃除する。こんな所も田舎の家に来ていたみたいだ。

 快適だった生活を名残惜しみながら後にして、受付に鍵を返す。また夏になったら来なくちゃな。

 それじゃこれから那覇に向けて出発だ。
 運転は僕だが、またヤンバルクイナが出てくるといけないので念のためひざの上にはカメラを置いておいた。

 もう細い林道を走らなくていいと思うと気が楽だ。快適な海沿いの道を北上し、途中から東シナ海側に出るべくやんばるを横断する山道に入った。

 するとこんな往復車線のあるような大きな道だってのに、路肩をヤンバルクイナが走っているじゃないか。それもこんな真昼間に。すぐに薮に入ってしまったので撮影はできなかったが、ヤンバルクイナってやはり実は結構いるのかな?

 結構山深くまで入ったあたりで一休みして車から降りてみると、空には秋のようなうろこ雲が広がっていた。台風の名残だろうか。

 ずっと登りベースだった道が下り始めるとまもなく東シナ海が見えてきた。やっぱり海の色は太平洋より東シナ海のほうが綺麗な気がする。車は東シナ海沿いの道をひたすら南下。 

 奥間まで戻った所で比地大滝に寄ってみたが、駐車場が混んでいたので引き返す。これじゃきっと滝も大混雑だろうからな。

 奥間を後にして国道をさらに南下し、喜如嘉の集落あたりまで来たところでたいきが急にトイレに行きたくなる。
 さてどうしよう?奥間のコンビ二ははるか後だし、この先道の駅とかあったっけ・・・
 もしかしたら集落まで行けば公衆便所くらいあるかも!と国道を逸れて喜如嘉地区に入っていくと芭蕉布の展示館みたいな看板があったので行ってみる。

しかしそこは庭にハイビスカスの咲く赤瓦の古民家だった。すぐ裏までやんばるの山が迫り、強烈な真夏の日差しに照らされていた。なんともいい感じ、こんなところで暮らしたい・・・

 でも人も居ないしトイレもなさそう。困ったなあ・・・と思ったとき、向かいにある公民館が目に入る。                              ちょうど職員らしき人がいたのでトイレが借りられないか聞いてみると、親切にもたいきを案内してくれた。間に合って良かったよ〜

 この公民館もなかなか味のある建物だ。コンクリの塊という感じで頑丈だけが取り柄の作りは沖縄というよりタイにでもありそう。がらんどうの一階に並ぶベンチに座ると風が通って気持ちよく、寝転がって昼寝がしたくなる。

 たいきがトイレから戻ってきたところで、せっかくここまで来たのでちょっと喜如嘉の名所でも見ていこうかということになった。
 車を止めた所に地図があったので見てみると、七滝というのがあるらしい。比地大滝には行かなかったから、せめて七滝くらい見ていこうか。

 地図とナビを照らし合わせ車を進めていくと、道がだんだん細くなって行った。こんな時もこのでかい車は使いづらいよなあ。対向車が来たらもう絶対すれ違えないぞ。しかしこの地区の一番の名所に行くってのにこんな細い道でいいのかなあ?

 と心配したが、無事突き当たりの駐車場と思われる広場に到着。先の方に鳥居が見えるからきっとここで間違いないんだろう。帰りのために車をUターンさせてから停めると滝に向かう。

 ひんやりとした清流沿いを少し歩くとすぐに滝が現れた。この水はやんばるの山から流れてきているんだと思うと、なんだか愛おしくなってしまう。やんばる、いいところだったよなあ。

 滝から国道に戻る途中には水田地帯が続く。そんな田んぼのなかを逃げていく水鳥を発見、あれはもしやレンカク!?と大慌てでシャッターを切ったが、落ち着いて良く見たらバンの幼鳥じゃないか。だまされた〜
 

 まだ秋の渡りには早すぎると思うが、この水田地帯はシギチも少々見る事ができた。いつもながらシギチは良く分からないのだが、これはタカブシギかな?

 こちらはコチドリの幼鳥だろう。遠くて手持ちの50-500mmじゃいまいち解像しないが、
ロクヨンをトランクから引っ張り出す元気もないのでそのまま撮影を続ける。

 水田脇の用水路を見ると派手な熱帯魚が浮いていた。ティラピアだ。日本原産ではないのだろうが、沖縄にいるとあまり違和感がない。 

 さあ、これでやんばる地区ともほんとにお別れだ。後ろ髪を引かれまくりつつ喜如嘉地区を後にして南下を再開。

 山がだんだん低くなり、周りに民家も増えてくると左手に比地内海が見えてきた。鏡のような水面に浮かぶ養殖いかだの周りをエリグロアジサシが飛び回っていた。

 アジサシといえばこの先の屋我地島はアジサシがいっぱいいるらしい。行っても良いかな?とひーこたちのご機嫌を伺うとOKがでたのでホクホクと国道を逸れて島へ向かわせてもらう。二人とも悪いねえ。でも折角来たんだから許しておくれ。

 橋を渡りきり屋我地島に入ってすぐに海岸があったので寄ってみたが鳥の姿は見えない。おかしいなあ、島に行きさえすれば海岸線はアジサシだらけだと思っていたのだが・・・

 こうなるとどこがポイントだかは全然分からないので、ナビを見ながらよさそうな場所を探すがこれが結構難しく、なかなか海岸に出る事さえできない。結局島を3周ほどした挙句、やっとそれらしき場所を見つけることができた。

 車から降りるとすごい暑さだ。ひーことたいきはクーラーの効いた車内で待っているというので一人防波堤を降りて海辺に立った。潮が引ききった海岸には大きなサンゴの岩がゴロゴロしている。この景色、まさに真夏の海って感じだなあ。

 耳を澄ますと「キャラッ キャラッ」というアジサシの声が聞こえてきた。どこにいるのだろうと探しうながら沖のほうに向かって歩いてゆくと、大きな岩の天辺にたたずむエリグロアジサシ発見。

 そいつを目指して歩いていくと、いつのまにか上空にはエリグロアジサシがこちらを威嚇するようにギャラギャラ鳴きながら飛び回っていた。

 どうやらテリトリーに入ってしまったようだ。あの岩で営巣しているのかな?

 あまり苛立たせてしまっては申し訳ないのでこの場所を退散し他の岩のほうに行くとこちらでもエリグロアジサシの威嚇を受ける。アジサシってのは気が強いよな。べつになんにもしないって。

 足元を見ると水がサンゴ礫の間を川のような勢いで沖に向かって流れていく。いまは干潮の真っ只中だ。潮が満ちている分には海に隔たれて守られている営巣地も潮が引くと陸から敵がやってきてアジサシも気が抜けないのだろう。

 アジサシ達にみとれながらながらかなり沖まで歩いてきたが、暑さでいいかげんぶっ倒れそうになってきた。気がつくともう30分以上鳥撮りをしていたようだ。あまりみんなを待たせるのも申し訳ないので、そろそろ引き上げよう。

 車に戻るとみんな少々お怒り気味、申し訳なかった〜
 この隙にひーこは晩の鉄板ステーキ屋を予約しておいてくれたそうだ。気が利く!(^^;

 折角ここまで来たという事で隣の港も覗いてみた。ひーこは暑いから外に出たくないというので、たいきと二人で堤防の突端まで行ってみた。海の色が綺麗だよなあ。向こうに見えるのはやんばるの山並みかな。

 しかし喉が渇いたしお腹も減ったねえ。昼ごはん食べに行こうか。

前へ目次次へ

鳥見旅行記トップへ

inserted by FC2 system