南へ走れ 夜の道を
 
さあ、タイに着いたぞ〜。でも到着予定時刻よりずいぶん遅れてしまったようだ。
 到着ゲートの向こうではびやしんさんに紹介してもらった通訳(英語→タイ語)のノンさんとそのお父さんでドライバーのノンパパさんが待っているはず。急がなくちゃ。

バゲッジクレームに向かう途中の窓から見える空は、夕暮れがせまっていたがまだ明るかった。

 しかし入国審査を済ませ機内預け荷物を受け取るのに思いのほか時間がかかり、到着ロビーに出ると外は既に真っ暗になっていた。

 さて、ノンさんたちはどこかな?と探したら、僕らが出てきたのとは別の出口の所でうちらの名前を書いたスケッチブックを掲げて少々心配そうな顔で立っているノンさんらしき女性を発見。なんとか無事合流できてよかったよ。

 運転担当のノンパパさんも隣にいてノンさんが紹介してくれたが、彼は英語はあんまり得意じゃないらしく、ニコニコと微笑みながら「サワディ クラップ」とご挨拶。まずは当面の生活資金を両替してから駐車場の建物に移動する。

 道すがらノンさんとお話をしてみるが、流暢過ぎるのとタイ訛りが強いのとで僕の理解度は半分位。かなりの率で聞き取れないのだが、やっぱり年と共に洞察力が落ちてきてるのかな?
 そんな苦労をしつつも、とりあえずここからチャアムまでは2〜3時間かかり、更に今はお正月前なので道が混んでいるかもしれないと言うあたりは理解できた。

 駐車場に着くと、ノンパパさんどこに車を止めたかわからなくなってしまったようで、少々焦りながら探し回っている。
事前の話ではワンボックスカーで来てくれるという事だったのだが、周りは乗用車ばかりでそれらしい車はない。

 そして探す事5分ほど、ノンパパさんがあったあった♪って感じで一台のセダンに近づいていく。あれ?ワンボックスカーじゃなかったの?と思ったら、ノンさんが「普段使っている大きな車が故障してしまい、今修理に出している所なので今日はこの車を借りて来たんです。小さい車でゴメンなさい」と説明してくれた。それならしょうがないよな。僕としてはたどり着ければ問題ないから。

 それじゃまずはスーツケースをトランクに詰め込み、あとカメラバックも・・・入らないなあ。それじゃ助手席に・・・ノンさんが乗るからダメだ・・・というわけでカメラリュックは僕が抱える事でなんとか収まった。後部座席に3人でちょっときついうえにひざの上にはカメラバック、これで3時間か〜  まあなんとかなるか。それじゃチャアムに向けて出発!

 と勢い込んで走り出したものの、駐車場を出るのに早くも結構混雑している。やはり年末のせいなんだろうか。はたしてこんなんでほんとに3時間でチャアムまでつけるかな、と一瞬不安になったが、駐車場を出て高速に乗ってしまえばあとは意外とスムーズで、まもなくチャオプラヤー川の海のように広い水面が見えてきた。

 ここらへんでノンさんは僕らと無事合流できたのを伝えるべく、心配してくれているであろうびあしんさんに電話をかけた。ひとしきり話した後代わってもらうと電話の向こうから「Hallow」とびやしんさんの声が聞こえてきた。異国の地でお知り合いの声を聞くとなんだかホッとするなあ。

 びあしんさんの話だと、ノンさんたち、僕らが出てくるのが遅かったのでかなり心配していたそうだ。そりゃ申し訳なかったなあ。とりあえず明後日の朝は一緒に鳥撮りしましょう、詳しくはまた後ほど、ホテルに着いたらまた連絡しますってことで電話を切った。これでびやしんさんとの鳥撮りは決行出来そうで一安心だ。

 それじゃあとはチャアムを目指すだけ。果たして何時に着けるかな。この時間だとホテルに着くのは10時くらいになっちゃうだろうか。

 外は既に真っ暗で、路面は水を打ったような光沢を放っている。、濡れているわけじゃなくて、こういう舗装のようだ。そんな道をノンパパさんは結構なスピードでかっ飛ばしていく。
 飛ばしてくれるのはうれしいのだが慣れない車で大丈夫なのかな?荷物と人員を満載しているせいか、路面のギャップを拾うと、車はかなり激しくバウンドしている。ハンドルも取られ気味のようだ。スピードメーターを覗き見ると時速は120kmを超えていた。それを知ったひーこは「ちょっとスピード出すぎじゃない!?だいじょうぶなのぉ〜〜!?;」と半分パニックになっている。でもここはノンパパさんを信用するしかないもんな。目をつぶって耐えるんだ!

 しかしまもなく恐怖の高速道路は終わりを告げ、車は一般道に降りた。一般道といっても片道3車線はあるくらいの大きな道だが、さすがに車のスピードも100kmを切るようになりみんな一安心。

 そして1時間ほど走ったところで、郊外型の大きなショッピングセンターに立ち寄ってトイレ休憩。車から降りるとさぞや暑いだろうと思ったが、意外と涼しくて拍子抜けした。ノンさんによるとこの時期のタイは涼しいらしい。過ごしやすいのはいいけどちょっと物足りないかな。

 トイレを済ませると少々車酔い気味のたいきが何か飲みたいというので、ノンさんに通訳をしてもらってジュースを購入。なんか別の場所でチケットを買って、それとジュースを交換してもらう形式のようだが英語はほぼ通じないのだ。ノンさんがいてくれて助かった。

 ショッピングセンターの中は新年のイベントで大盛り上がりでにぎやか。見てるこっちもなんだか楽しくなってくる。

 ここでちょっとリフレッシュできたので、新たな気持ちでチャアムへ向けて出発。ここから先は水田地帯が広がるいい猛禽ポイントがあるらしいが、残念ながら真っ暗で何も見えない。

 片言の英会話にも疲れてしまい、ボーっとしながら前を走る車のテールランプを眺める時間が過ぎてゆく。ひーことたいきは熟睡しているようだ。車内には時折ノンパパの携帯の呼び出し音が響くばかり。そんな電話の中に何度かびあしんさんからの連絡も混じり、そんなときは代わってもらう。びあしんさんの話だと、どうも今年のタイは寒すぎて鳥の状況はよくないようだ。

 びあしんさんが滞在しているホテルの周りもいまいちだということなので、それじゃ明後日はうちらが泊まるホテルの周りで撮ってもいいですね、って感じになった。まだどんなところかわからないけど、明日朝はロケハンしていい場所探しとかなくちゃ。

 やがて車はホアヒンの町に入る。ここからチャアムまでは後30分くらいだそうだ。
 このホアヒンってのもリゾートの町らしいはずだが、そんな雰囲気はまったくないな、と思っていたが車がバイパスからそれ一本海よりの通りに入るとあたりの雰囲気はなんとなくリゾートっぽくなってきた。
ここでノンさんにどこかでビールを買いたい旨伝えると、安いところに連れて行ってくれる事になった。

 そしてそこからさらに海よりの生活道路に入る。ここら辺は幹線道路と生活道路が完全に離れているみたいだ。

 周りには民家が増え始め、車は賑やかな市場のようなところに到着。ここらへんがチャアムビーチの中心街らしい。ここの店が一番安いそうなのでシンハの缶を1ケース購入。日本円にして2000円弱。ちゃんとしたビールでこれなんだからやっぱり安いよな。でも普段飲んでる第3のビールってやつはもっと安かったりするので微妙なところ。日本もデフレだからねえ。

 そのあと再び一本広い道に出て、まもなくうちらが泊まるノボテル・ホアヒンに到着。いや〜やっとついた!遠かったなあ・・・

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