ケンカチャンの朝は寒い
 いよいよ今回の遠征のメインイベント、ケンカチャンの奥地へ向かう一日バーディングの朝が来た。
 寒さ対策に半袖Tシャツの上に長袖Tシャツ、それに昨日買ったフリースを着込む。最後にウィンブレを羽織って、これで今できる限りの防寒の準備はできた。

 約束どおり朝5時にレセプションの前に行くが、まだガイドさんは来ていない。
 しかしここの5時なんてまだ真夜中だよ。明るくなってくるのは6時半くらいだもんな。ちょっと出かけるのが早すぎるんじゃないだろうか?

  なんて思いながら待っていると、5分ほど遅れてピックアップトラックがやってきた。そして降りてきたのが今回のガイド、Tinさん。まずは「Good morning!」とご挨拶。

 事前情報だと英語はほとんどしゃべれないらしいので、鳥の図鑑とびあしんさんに教えてもっらた簡単なタイ語会話のメモを頼りにコミュニケーションを図るしかなさそうだ。

 三脚を荷台に乗せて助手席に乗り込むと・・・なんかクーラー全開なんだけど・・・非常に寒いが何か理由があるのだろうか。もしかしてTinさんは暑いのかな?
 いろいろと聞きたいところがあるのだが、とにかく車は走り出した。

 幸い完全防寒装備のため、直撃してくるクーラーの冷風にも何とか耐えれそうだ。

 車内での会話はほとんどなく、何か英語で尋ねるとTinさんはニコニコとうなづくばかり。やっぱ通じてないようだ。

 やがて車はカオヤイの時のような公園入り口のゲートに到着。こんな朝早いってのに僕らの前には先行車のテールランプが見える。あの車がきっとこの日の公園一番乗りだろう。他人のことは言えないけど物好きだなあ(^^;

 ここで公園の入場料200Btを支払い先に進む。

 そこから程なく道路の舗装は途切れフラットなダートになってきた。結構揺れるぞ。あたりは相変わらず真っ暗でヘッドライトが照らす範囲が見えるだけ。あとは先行車のテールランプが頼りって感じだ。ほとんどナイトサファリだな

 そんな感じで1時間半ほど走ったろうか?空が少しづつ明るくなってきた。しかし会話もないし寒いしで結構辛い。それに眠い。思わず何度か意識をなくしてしまっていた。
 しかしポイントまで意外に遠いんだな。これなら5時に出てきた意味がわかるよ。

 途中橋のない川をそのまま突っ切ること数回、なんだがかなり奥地に入り込んできた感じだ。こんな所で車が壊れたら遭難しかねないだろう。さすが秘境、ケンカチャンだ。視界はさっきの先行車の巻き上げる砂埃で曇りがちだ。いまこの奥地を走っているのはうちらの車と先行の2台だけだろう。いざとなったらあの車が頼りだな。

 しかしこのクーラー何とかならないのかよ!寒いんだよ〜っ
 と心の中で悪態をつきつつTinさんの行動を観察していると、どうやら彼も寒いようだ。ではなぜクーラーを点けているか、それはウィンドウの曇りを取るためらしい・・・だったらデフだけでいいじゃんか〜。でもなんだか彼はこの車の使い方に慣れていないようだ。それでクーラーがんがんと言う事になっているようだが、ここで変なこといったら彼のプライドを傷つけてしまう気がして黙っていた。大体会話も通じないしなあ・・・

 ウィンブレのファスナーを上まできっちり閉めフリースの効果でなんとか寒さをしのぎつつ、車は凸凹の激しいダートをどんどん奥地へと進んでいく。これはタンココにも勝る秘境が待っているかもしれないな。

 と思っていたら、路面の状態が急に良くなった。そして前方にたくさんの車が???なんだここは??

 どうやらここが最初の目的地のキャンプ場のようだが、めッちゃ賑やか、ぜんぜん秘境じゃないじゃないか・・・

 この山の中を走っているのはうちらの先行車だけだと思っていたのに後から後から車がやってきて、車を止めるスペースを探すのも大変なほどの混み方だ。
 Tinさんはやっとのことで車を止めると売店に行ってインスタントコーヒーを買ってくれた。それとクッキーバーをひとつ。これが朝ごはん代わりのようだが、しめて20Btだそうだ。別料金なんだね(^^;
 Tinさんはサンドウィッチを食べているが、あっちの方がいいなあ。それでもクーラーで冷え切った体に暖かいコーヒーが美味い。

 コーヒーを飲み終え、そこら中で賑やかにたむろっている人ごみを掻き分けてトイレの裏側に回るとケンカチャンの山並みがよく見えた。ここだけ見てる分には秘境なんだけどな。

 遠くの木の上に小鳥が止まっていたのでFZ150の望遠端で撮ってみるとクモカリドリの仲間みたいだ。

 でもさすがにここじゃ本格的な鳥撮りって感じじゃないよな。それじゃ朝ごはんも食べたし鳥撮りに行こう。と思ったが、Tinさん車の中での無口さを取り戻す勢いで、顔見知りとじゃべりまくっていてなかなか動こうとしない。
しばらくはそこで待っていたものの、おしゃべりは一向に終わりそうもないので一人で車の方に向かうとTinさんあわてて追いかけてきた。なんだかなあ。それじゃ次のポイントに連れてっておくれ。

 再び車に乗り込んで走る事数分、Tinさんは車をわき道に止めた。先はチェーンで通行止めになっていたが、先の方まで道は続いている。中々よさそうな所じゃないか。

 車を降りて三脚を立て、今日初めてロクヨンをセットする。それじゃ行ってみようか。

 朝日の差す中、息を切らせながら急な坂道を登りきると大きな木があり、Tinさんはそこで足を止めた。

 よく見ると木には花が咲いていて、その中を小鳥が飛び回っているのが見えた。Tinさんはミドリサトウチョウだという。
鳥の名前は英語でも大丈夫なようで一安心だ。カメラを構えてみてみると、確かに緑色の小さなインコが何羽も花をついばんでいた。

 目つきが悪いがちょこまかと動き回る姿はなんだかメジロのようだ。さっきのキャンプ場の感じだとどうなることかと思ったが、一応鳥撮りができそうでよかったよ。

 十分撮影すると、Tinさんは来た道を戻り始めた。ここではこれでおしまい?なんだかよさそうな所なのにもったいない気がするなあ。でもこの先まだまだいい所がたくさんあるのだろう。

 その後車に戻るまでにハイイロオウチュウ

 そしてムナフコウライウグイス?をみつけることができた。

 それじゃ次のポイントへ行ってみよう!

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