実り少なき道
 再び車に乗り込むと、ダートロードを進んでゆく。キャンプ場を過ぎるとあたりは一気に静かになってきた。
Tinさんは目指すポイントがあるらしく、わき目も振らず車を走らせていく。日が昇るとウィンドウの曇りもなくなってきたのでクーラーは入れたり切ったり。それよか窓を開ければすべて解決するんじゃね?・・・

 こんなひと気のない道を走り、ふたたび秘境気分に浸り始めたころ、再び車が大量に路駐しているエリアに入った。今度はなんだろう?
Tinさんは今回もうまいこと空いているスペースを見つけ駐車。そして人々が集まっている辺りに行ってみると・・・

 お〜雲海が広がっている〜。熱帯雨林と雲海の取り合わせ、日本じゃ絶対見られない雄大な光景だ。

 ここもタイの人々にとっての観光名所なんだろうなあ。きっと観光ツアーだったらポイント押さえまくりで完璧なんだろう。が鳥撮りツアーとしてはちと物足りないぞ。鳥がいないじゃないか!

 と言うわけで早々に車に戻ると再び先に進む。そして走る事数十分、車はすごい急坂の手前で止まりUターン、路肩に駐車した。ここからいよいよ本格的なバーディングが始まるのかな!?気合を入れて機材をセットして、さっきの急坂を下り始める。Tinさんの話だと、どうもこの坂を下ってしまうと、今の車の能力では登ってこれないらしい。

 坂の途中、上の木にリスの姿発見。昨日鳥見宿で見たのと同じやつだ。シマリスみたいだけどその仲間なのかな?

 なんだか木々の葉っぱが紅葉しているみたいなのはこの昼間の暑さと早朝の寒さの温度差のせいなのか。
 空に突き出した枝の天辺でフライングキャッチを繰り返しているのはコサメビタキのようだ。

 やがて坂を下りきると広場になっていて、車道はここで行き止まり。ここがケンカチャンの一番奥になるようだ。この先ずっと歩いてゆくとミャンマーに着くのかな?
 ここでは遠くの木の上にルリコノハドリ発見。

 Tinさんはしばらくここであたりの様子を伺っている。この前来た時(びあしんさんと一緒に来た時?)ここでサイチョウを見たらしい。このでっかい木に止まっていたようだが、残念ながら今日は気配なし。

 ここをあきらめるとTinさんは広場の奥にある、人が一人通れる程度の細い道に分け入っていった。こんなところに道があったのか。ついにいよいよ本格的な鳥撮り開始かな?

 道は下りベースだが結構急勾配で、周りの竹が倒れてきていたりして、ロクヨンを担いでそれを避けたり乗り越えたりしながら歩くのはかなりきつい。

 鳥の姿がほとんど見えないまま高度を下げてゆくとまわりにガスがかかり始めた。さっき眺めた雲海の中に入り込んできたようだ。これじゃ視界も聞かないし、ますます鳥は見つけづらくなるだろう。
 そんな中、遠くの枝にヒタキの影。これもやっぱコサメだろうなあ・・・

 ここでタイ人の家族に出会ったのだが、Tinさんはいきなり元気になり彼ら相手にペラペラとしゃべりまくりはじめた。
 彼は本来おしゃべりなんだろうな。僕にタイ語が通じなくてシーンとしちゃうのがさぞ辛いんだろうな。

 僕もちょっと協力してタイ人一家にもコサメビタキの影を見せてあげ足りするが、彼らは多少英語がわかる様で、ぎゃくにTinさんの言ってることを通訳してもらった(^^;それによるとここに落ちている果物はサイチョウの好物なんだそうだ。またサイチョウか・・・正直大型の鳥にはあんまり興味ないんだけどなあ・・・

 やがて霧が少しづつ晴れ太陽が顔を出すと、森の中はとっても幻想的な雰囲気になった。

 でも鳥はいない。このままここにいても成果は期待できそうもないので今降りて来た急坂を引き返す事になった。
 ハアハアと息切れしながら広場まで戻り、さっき車で降りたら登れなくなるといっていた坂をさらに登りやっとのことで車にたどり着くともうクタクタ。疲れた割りに全然成果がなかったなあ・・・

 一息ついていると車の脇の草むらの中にムシクイ発見。眉毛黄色くないからキマユムシクイじゃないんだろうな。

 こりゃなんだかさっきの森の中よりここの方が鳥がいそうな感じだ。そこでTinさんが一休みしている隙に道路わきの斜面をチェックしに行くと、木の中で動いている鳥の姿が。鮮やかな緑色だったのでコノハドリかゴシキドリかどっちかかな?
 と思ってその影を目で追っていくと、茂みの中から顔を出した。お〜、クロヒゲゴシキドリだ!なんだかやっとまともな鳥に会えた感じだ。

 この結果に一応満足して車の所に戻ってくる途中、チメドリっぽい小鳥も発見。

 見上げ気味の所でちょこまかと動き回っているが、一瞬あたまの天辺を見せてくれた。赤茶っぽい部分が見える画なんて鳥だろう、後ほど要確認だ。(シラフサザイチメドリの模様)

 ここでの鳥撮りはこれにて終了。しかし突き当りまで来たってのにこの成果の薄さはやばいなあ・・・
 でも帰り道にじっくりと鳥を探すつもりなのかもしれないし・・・それにかけてみるしかないよな。

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