サイチョウ縛り アオバト縛り
  時刻はもう2時半。あと2箇所くらいは案内してもらいたいところだが、果たしてどうなるだろうか・・・

 キャンプ場からふもとの方に向かって戻ること30分ほど、車は止まった。そこからまた山道を下っていく。

 周囲はうっそうとしたジャングル、こういうトレッキングロードを捜索したかったんだよ。いよいよカザリショウビンあたりに会えるかもしれないと思い、Tinさんに「ここならカザリショウビンはいる?」と聞くと、時期がよければ・・・とあまり自信はなさそう。

 それじゃここは何のポイントなのかと尋ねると「HornBill」とこちらは自信満々。サイチョウはべつにあんまり興味ないんだって。空気で伝わらないのかな。というかどんな鳥が見たいかは散々伝えているつもりなのだが・・・ケンカチャンにはサイチョウしかいないのか?

 斜面に沿って降りていくと、道は折り返すような感じでカーブした。そこを曲がりきった先でTinさんは足を止め振り返った。このカーブのところに立っている大きな木にオオサイチョウが来るそうだ。パッと見た感じいないみたいだからこのままスルーしちゃってもいいんだけど・・・でもTinさんの感じではここでオオサイチョウを見るまでは断固としてここから動かない所存のようだ。こうなったらとっととオオサイチョウにやってきてもらうしかないな。早く来てくれオオサイチョウ〜

 木を良く見てみるとサクランボ位の実が沢山成っている。これはここらへんの生き物の格好のお食事処に違いない。

 木の中で何かが動きまわっているのレンズを向けて見ると、尻尾の先まで50cm位ありそうな大きなリスだった。

 他にも小鳥の類もいっぱいいるようだ。ルリコノハドリとかみたいだが、何せ距離が遠すぎて撮影する気も起こらない。きっと正しいバードウォッチャーなら問題ないんだろうけど、撮影する身にはもう範疇の外って感じだ。昨日のハイドが懐かしくなってくるなあ・・・

 そんな中唯一目に留まったのがこのアオバト。

 そしてしばらく待っていると、「ゴ〜〜 グァハッ グァハッ」という轟音と共にオオサイチョウ襲来!

 わりとあっさり来てくれて良かった良かった。オオサイチョウはすぐに飛んでいってしまったが、撮影もできたし目標達成だ。それじゃ次行こうか。と思ったが、まだこんなんじゃTinさんは納得いかないようだ。と言うかここでタイムアウト狙いじゃないだろうなあ・・・なんか心配になってきたぞ。

 でもしょうがない。それじゃもう一回だけオオサイチョウが来るのを待ってみよう。まだ全身も撮ってないしね。

 そして再び木の上のほうを眺めながらボーっと待つ。お〜また大リスがやってきたぞ。しかも3匹が絡み合って喧嘩していて中々見ものだ。

 動物チームとしてマカクもやってきた。Tinさんが大興奮で教えてくれるが、僕としてはおサルもこの実が好きなんだな。ってくらいな感じだ。きっと観光客だったら大喜びなんだろうけどごめんね〜。僕は小鳥狙いなのだよ。

 猛禽も飛んできた!これはさすがにちょっとうれしい。枝かぶりになってしまったがなかなか堂々としたプロポーションをしている。なんだろう?

 やがて轟音と共に待ち望んでいたオオサイチョウ2度目の襲来!ほんと、鳥の羽音とは思えないすごい音だ。

 あまり苦労して撮ったことがないのでサイチョウサイチョウとつい馬鹿にしてしまうが、やっぱりあの大きさと獣のような動きには圧倒されてしまいしばし見入ってしまった。オオサイチョウは数羽の群れで木の中を動き回り、存分にその姿を見せてくれた。よぉーし、今度は全身撮れたしもうこれで十分じゃないか?

 さすがのTinさんもこれには文句のつけようがないようで、それじゃ車に戻るか。って感じで来た道を引き返そうと出発の支度を始めた。

 と、ここで上の方から欧米人のバードウォッチャーのおじさんが降りてきた。手には100−400mmのついた7Dを抱え、なにか大興奮しながらオオサイチョウのいる方を指差している。ああ、HornBillね、というと、そうじゃなくてこっちだ!今あそこにいたんだけどお前は見たか!?と図鑑のアオバトコーナーを指差した。yellow vended green pigeon?
確かに何羽かアオバトがいるようなので、一枚撮ってこれ?と見せるとそうだ!これだ!どこだ!?どこにいる!?教えてくれ!!!!とさらに大興奮。
でもこのハトそんなに珍しいの?と聞くと図鑑を見せてくれた。たしかにケンカチャンではrareと書いてある。そんなオーラぜんぜん感じないけどなあ・・・

 しかしこの熱いおじさんにとってはすごい大発見のようで、あ!あそこにいる!こっちに飛び移った!ともう必死。
なんだかここまで燃えられちゃうと「それじゃ」と言ってこの場を立ち去れる雰囲気じゃなくなってきちゃうよなあ。

 しかも彼が位置するのはうちらよか木に近い側。車に戻るには彼の横を通って木の側を通らなくちゃならないのだが、間万が一それであのハトが飛んじゃったらかなり恨まれそうだ。というわけでしばしここで待機しながらおじさんの感嘆に相槌を打つことにする。

ちなみにこの鳥の和名はシロハラハリオアオバト。下尾筒が黄色くて尻尾の先がとんがってもいる。ほんとに珍しいのかな?Tinさんもいまいちピンと来ないみたいだ。きっと君はそんなんだろうなあ・・・そこは納得(^^;

 おじさんも7Dで画像を撮りまくり、大分落ち着いてきたところで青葉とは一度引っ込み、今度は茶色い小型のサイチョウがやってきた。これははじめてみるサイチョウだな。図鑑によるとビルマサイチョウというヤツらしい。

 こちらもやはり群れで行動するパターンのようで、5羽ほどが次々に飛んできて木の実をついばんでいる。

 ここでさっきのおじさんが再び興奮し始めた。あのビルマサイチョウを見て喜んでいるのかな?と思ったらおじさんやはりちょっと見てるところが違う。「確かにこの木の奥にシワコブサイチョウが入ったんだ!」と図鑑を取り出し説明してくれはじめた。彼の説明によると「オオサイチョウに似ているがオオサイチョウは尾羽に一本黒い帯がある。それに対してシワコブサイチョウの尾羽は真っ白なんだ!」そうだ(^^;

 これでまた動けなくなった。シワコブサイチョウには興味はないが、木の側を通ってサイチョウ達が飛んじゃったら絶対恨まれるもんな・・・

 しかし結局その後シワコブサイチョウが現れることはなく、太陽はすっかり西に傾いてしまった。おじさんもいい加減あきらめムード。これならもう前を通っても怒られないだろう。
 さすがのTinさんももう帰りたくなったようなので、おじさんにさよならを行って車のところまで戻ってきた。

 時刻はもう午後4時半、次のポイントに行く時間はないだろうな。結局ケンカチャンはサイチョウで終わっちゃったか・・・とがっかりしながら車に乗り込み帰路についた。でもまだこの後ヨタカポイントが待っているんだ。最後はそれにかけるしかない!

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