朝だけケンカチャン
  昨日寝てる時も朝起きてからもずっと考えていた。折角ケンカチャンに来てるんだし、ガイド料もちゃんと払うんだからやっぱり鳥見宿じゃなくてケンカチャンの公園内に行きたいよな。

 それじゃTinさんにはその旨説明して、鳥見宿には途中で寄ってもらい、僕が直接キャンセルのお願いをすることにしよう、と決めた。

 撮影機材とお詫び代わりに日本から持ってきた扇子を携え、レセプションのまえでTinさんを待つ。6時ともなると東の空も明るくなってくる。

 やがて時間通りにTinさん登場。早速今日のプランを説明すると、奥さんに電話してみるそうだ。 電話口から奥さんのやかましい声が聞こえてくるが文句言われてるのかな、かわいそうに・・・とのんびり構えていたら、Tinさん急に電話を変われというじゃないか。ヤベー僕が怒られんのか!?

でも電話口に出て事情を説明し、僕が直接鳥見宿に言って、今日はキャンセルするから、というとこちらでキャンセルして置かなくてもいいんだね?と念をおされた。大丈夫、ちゃんと自分のケツは自分で拭くから。

 それじゃまずは鳥見宿に出発しよう。急がないとケンカチャンで鳥を撮っている時間がなくなっちゃうからね。

 10分ほどで鳥見宿に着き車から降りると、食堂に居たおばちゃんに「今日はやっぱりケンカチャンの公園の方に行きたいのでハイドの鳥撮りはキャンセルさせてください!これお詫びの気持ちです」と扇子を渡すと別に大丈夫よ、と優しく微笑んでくれて一安心。

 さあ、これで心置きなくケンカチャンに行けるぞ!それじゃTinさん、出発だ!

 Tinさんも今日は昨日に比べてやる気があるみたいだ。それじゃケンカチャンのゲートを抜けたらその先にある第一キャンプ場のあたりまでで鳥撮りをしようという事になった。
 カワセミ系は見れる?と聞くと、最初の池のあたりにいるかもしれないとのこと。楽しみだ。

 入り口のゲートを200Bt払って通過すると、間もなく池のポイントに到着。ここで車を止め外に出てみる。すると上空をキョッ キョッと鳴きながら通過した鳥が前方の枯れ木に止まった!コガネゲラだ!こういうのを撮りたかったんだよ〜

 Tinさんこのポイントは把握していたようで、木の向こう側に巣穴があると教えてくれた。回り込んでみると確かに穴が開いていて、コガネゲラが幹を回り込んできて巣穴に入った。今掘り中なのかな?

 木とは反対側の森からもキツツキ系の声が聞こえてくる。Tinさんが双眼鏡でチェックして(そういえば昨日は双眼鏡も持ってなかったな^^;)鳥の居場所を突き止めて教えてくれる、すごいじゃないか、なんかガイドさんみたいだよ!
ちょっと離れてはいたが、そこにいたのはキエリアオゲラ。

 ハイドじゃなくてこっちに来ておいて良かったなあ。それじゃTinさん、もっと色々見つけておくれ。と車を進める。Tinさん昨日と比べたら気合はいりまくりでこちらもうれしくなってしまう。

 道路わきの荒地にはインドトサカゲリが降りていたので車を止めてもらい窓から撮影。やっぱりこのスタイルは楽だ。

 その先には何箇所か池があり、そのたびにTinさんは車を止めてチェックしてくれる。今日は僕がカワセミ系が見たいことを十分理解してくれているようだ。そんな池の一箇所で対岸の木の上にコウライウグイス発見。

 顔の黄色いムクドリ系の鳥が、キガシラムクドリ(Golden-crested Myna)がいた池もあった。

 他に鹿の姿なんかも見かけたが、カワセミ系は見当たらない。よさそうな所なんだけどなあ。残念。

やがて道路の舗装が切れるところまでやってきた。Tinさんはここで一人偵察へ向かう。何がいるんだろう?

 と、Tinさんの動きが止まり、道路わきの木を凝視し始めた。、そのあたりからはグェグェグェグェグェという声が聞こえている。もしかしてコウハシショウビンあたりだろうか!?

 Tinさんがこちらを振り向き手招きをするので急いで近くに行き指差すほうを見ると・・・カササギサイチョウ(^^;

 まあそれでも今朝の鳥一種追加だからね。もしかして昨日ここら辺で砂浴びをしていた群れの仲間かな。
 ここら辺で太陽が昇ってきた。

遠くの木にカンムリワシが止まっている。ただし砂埃と逆光ぎみのせいで霧がかかったようだ。

 そしてまもなく第1キャンプ場に到着。ここには軍のキャンプみたいなのもあり結構開けているが、綺麗な川も流れてい手鳥撮りのしやすそうな場所だ。敷地の中には何本も大きな木が生えている。

 早速撮影機材を組み立てて鳥撮り開始。ここでTinさんは、またもや顔見知りらしい軍関係の人とおしゃべりを始めたので、ほうっておいて一人で川のほうに行ってみる。すると、川沿いの低木林の縁にクロエリヒタキのメス発見。こうやって直射日光の下で見ると、青が一段と綺麗だな。ただ動きが素早すぎて撮影するまもなくロスト。

 そのかわり、オナガサイホウチョウが現れた。

 低木の樹冠の辺りを ちょこまかと動き回っているのはタイヨウチョウだろうか?

 そのオスと思われると手も綺麗なやつも現れた。ホオアカコバシタイヨウチョウ(Ruby-cheeked Sunbird)のようだ。
金属光沢が太陽にきらめいてなんともいい色だ。

 やがておしゃべりが終わったTinさんも合流し、一緒に川まで降りてみた。ルリカワセミ辺りが好きそうないい川なのだがなんにもいないなあ・・・

 しょうがないので川から上がり、道路沿いに下流のほうに移動してみると、斜面の上からクゥ〜クゥ〜という大型ショウビンっぽい声。こんどこそコウハシショウビン辺りかと期待をしたが、姿を現したのはまたもカササギサイチョウ・・・

Tinさん、ここら辺には他に僕好みの鳥はいないのかなあ?カワセミ系とかは?やっぱ時期が悪いんだそうだ。
Pittaなんて絶対無理だろうしTrogonは?と聞くとやはり今の時期はいないらしい。

 その時、Tinさんが何かを見つけた。斜面のほうを指差すので「何がいるの!?」と聞くが、鳥の名前が出てこないようだ。いったい僕は何を探せばいいんだ?Tinさんの態度を見るとかなりあわてているので、珍し目の鳥のようだが・・・またサイチョウじゃないだろうな?

 Tinさんは「あそこに移った!」「上に行った!」と興奮しているが、ぜんぜんわからないぞ〜

 そのうち「あ゛〜〜〜〜」とがっくりしたTinさん。その鳥は飛んでしまったようだ。で、何がいたの?と聞くと「えーと、あの中くらいの大きさで、尻尾の長くて赤い・・・」それってTrogon!?と聞いたら「そうそう、それだ!」だって。なんだよ〜今さっきTrogonはいないって言ってたばっかじゃないかよ〜。そうと知ってたら赤いキヌバネドリ探してたのに〜!まあしょうがない。ちょっと悔しいけど、名前が思い出せずにあたふたしていたTinさんに思わず笑ってしまったので許してあげよう。

 もう一度出てきてくれないかねえ、といいながらTinさんとTrogonが消えた辺りを見ていると、近くの木にズアカミユビゲラのオスが飛んできた。さっきのはメスだったけど、やっぱりオスのほうが断然綺麗だな。それに距離も近いし満足じゃ。

 ここら辺はいい鳥ポイントのようで、川側の藪にも尾羽が長い大型の鳥が飛んできた。見ていると密集した藪の中を器用に歩き回っている。オニクロバンケンモドキじゃないか。

 羽の淡い水色がとても綺麗だ。動きもなんだか変で気になる鳥だなあ。ここの木の実が気に入っているようで、一度飛んでいってもまた戻ってきてくれるので、たっぷりと観察はすることができた。しかし撮影となると話は別で、中々全身が見えるところまでは出てきてくれず、結局ほぼ枝被りなしで撮れたのはこの飛び立つ時のショットだけだった。

 他にもTinさんがヒタキサンショウクイを見つけてくれた。お手柄だねえ、なんだかここに来てTinさんとはガイドと客と言うより初めてのポイントに一緒に来た鳥撮り友達みたいな感じになってきた。

 しかし楽しかったのもここまで。時刻はすでに午前8時、撤収時間が迫ってきたのだ。後ろ髪を引かれながらももしかしてカワセミ系がいないかともう一度川岸に降りると、ハイイロオウチュウが遠くに止まっているのが見えた。

 岸辺の葉っぱにはヤエヤマムラサキのようなチョウが何匹も飛び交っていた。時期がよければきっといいところなんだろうな。

 でもカワセミ系の姿はなし。しょうがない、あきらめて戻ろうかね、と車に乗り込み出発。

 今朝は短い時間だったけど昨日1日よりずっと充実していたなあ。
Tinさんはバードウォッチングガイドの重圧から解放されてほっとしたのか、片言ながらも大分口数が多くなってきた。
昨日の奥さんは「私は英語が上手だけどこの人は全然だめなの」と言っていたけど、僕はTinさんのほうがわかりやすいと思うよ、というとニコニコと喜んでいた。僕も片言だから片言同士でわかりやすいのかな?

 話が盛り上がり、最後にインドブッポウソウが撮れればいいんだけどな、というと、それなら帰り道の途中にいる場所を知ってる!というので案内してもらうことになった。

 公園のゲートを出てしばらく走ると周りは草原地帯になってきた。今朝も昨日も暗かったから、こんな感じだったとは知らなかったなあ。ここでTinさんは車のスピードを落とし、体を前に乗り出して「鳥を探すガイドさん」ってポーズをとり始めた。なんか乗ってるねえ(^^)

 そして本当に電線に止まるインドブッポウソウを見つけてくれた。やるじゃんTinさん!

 車を止めてもらいそっと降りると、車体に隠れるようにして荷台から三脚をおろしカメラをセット。そしてインドブッポウソウにそっと近づいていくと、電線から降りて木に止まってくれた。エライっ!

 最後に目標が達成できていい気分でケンカチャンでの鳥撮りを終わらせることができたよ。Tinさんありがとう。

 その後ホテルまで送ってもらい、車の前で記念撮影。なんだかんだ言ってもいい人だったな。

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