大雪山への遥かな道のり

 右も左も分からぬまま、とにかく逆走だけはしないように気をつけておっかなびっくり走っていくが、どこまで行ってもGooglemapの現在位置は動かない。なんでだ〜?とかなりパニクりながらウロウロしているうちにまた高鐵駅まで戻ってきてしまった。こんなんで今日中に大雪山に着けるのか〜!?

 しかし頼りにならないナビと動かないmapを照らし合わせているうちに、何とか現在位置のあたりがつけられるようになってきた。どうもナビは簡略化されすぎていて実際の通りのイメージがわかないだけで、矢印が指す方向はちゃんと正しい道を示しているようだ。

 台湾語なのでなんて書いてあるかわからないが、僕らがまず目ざすのは高速道路の入り口らしい。
 しかし3車線の道を走っていると中央の走行レーンが工事中で左に避けるとそのまま左折レーンになってしまい意図しない左折を余儀なくされたり、5差路で曲がる道を一本間違えてしまったり、おまけに道は右側通行とトラップ満載。

 それでも何とか高速に入ることが出来やっと一息つくことができた。高速道路は中央車線を走っていれば問題ないし、分かれ道もそんなに複雑じゃないからね。やっとカメラを持つ余裕もでてきたぞ。
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 しかしひーこはよくこんなとこ運転できるよなあ、ほんと頼りになるよ。僕には絶対こんなの無理だ。
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 そのかわり頑張ってナビに徹するとしよう。広域地図をGooglemapで表示しつつナビの矢印を照らし合わせ、大体出口までの道順を理解する事はできた。気になるのは時間なのだが、宿を手配してくれた旅行社の話だと17:30までには絶対チェックインしてくれと言う事だった。しかしナビの到着予想時間は18:30。はたしてどうなるか・・・

 やがて高速道路の終点が見えてきた。突き当たりのT字路の看板には大雪山の文字が見える。よかったよ〜
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 一般道に入るといよいよ右側通行の本番って感じだが、まだ中央分離帯があるので正面衝突の心配はないだろう。
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 きっと大雪山に行ってしまったらビールも無いだろうから、お店があるうちに買っておかなくちゃ、と言う事を思い出し、駐車場のあるコンビニに立ち寄り一休み。駅を出て以来緊張の連続だったのでちょっとホッとする。
お店の下には川が流れていてその上をオウチュウが飛んでいった。やっぱ台湾だなあ。

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 コンビニの中は日本のお店より広々しているが、レイアウトなどは良く似ていておでんも売っている。
ただひとつ違うのが店内に八角の匂いが充満していることだ。これはさすが台湾って感じだ。

 ビールコーナーも種類が豊富。びっくりした事にオリオンビールの品揃えが豊富だ。やっぱり沖縄が近いから輸送費もやすいだろうし、やっぱり南国にはオリオンの味が合うのかな。これにはちょっと惹かれたが、
折角台湾まで来たんだからということで今回は台湾ビールと言うのを買ってみた。
b0166975_157950.jpgb0166975_1565668.jpg ひーこもワインとおつまみ一式も買い込んで、持ってきていた保冷バッグに詰めたら準備完了。
それでは再び大雪山目指して頑張ろう!
 
 コンビニを出てしばらく走ると前方に山並みが見えてきた。あれが大雪山だろうか。事前に地図で見ていた大きな川を渡るとナビは右折方向に矢印を示す。うん、これは予習通りだ。しかしGooglemapのほうは相変わらずまともに動いてくれない。ukiukivideoさんのお話だとこの先ちょっともどって曲がるってとこが一番分かりにくい所らしいって言うのに。

それでもなんとか大きな道をそれ、大雪山へ向かう一本道に入ることが出来た。後はもう迷う事はないだろう。
でもここからはほんとに対面通行だから気をつけていかなくちゃね。

 それに気になるのが時間だ。この時点で16:30、あと1時間で着けるのか?それに宿の手前にある公園ゲートは5時に閉まるときいたような・・・なんだか厳しいような気がするが悩んでいてもしょうがない、とにかく先に進むとしよう。
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幸い交通量も少なくなってきたので運転自体はさっきより楽になるかな?

途中こんなミニお寺みたいなのを路上に設置している所に遭遇。
「告別」って書いてあるからどうやらお葬式の飾りつけのようだ。門柱は缶ジュースで出来ていてなんとも派手だ。
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 ここを過ぎたあたりで街並みは途切れ、あたりは山村の雰囲気になってきた。 b0166975_1574122.jpg
ここら辺の名物は梨と葡萄だそうで、葡萄棚が広がる景色を見ているとなんだか山梨県のようだけれど、
道の向こうの斜面には椰子の木が密集していた、やっぱ台湾だなあ。
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ここから目的地までの距離はナビによると40kmほど。その間ひたすらワインディングロードのようだ。
くねくねと道は高度を上げていき、いつの間にかすっかり山奥に入ってきた。
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 しかしきついカーブがどこまでも続くなあ、運転するひーこも大変だろうけど、こっちも油断すると酔っちゃいそうだぞ。

それに時間の問題も深刻になってきた。さすがにホテルのチェックインは何とかなるだろうけれど、
その手前のゲートが閉まって係員がいなくなってしまったら最悪車の中で野宿するしかないかもなあ・・・
とはいえ慣れない右側通行の上ワインディング、これ以上スピードを上げさせるのは酷ってもんだし・・・

太陽も大分西に傾いてきた。コンヒタキらしき尾羽の両側は白い鳥が道を横切るが、ちょっとかまっている余裕はない。
折角の景色をゆっくり眺める暇も無いが、今はとにかく先へ進まなければ。
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そして17:15、やっと公園ゲートに到着!15分遅れてるけど果たして大丈夫か!?・・・と思ったが、幸い一箇所だけ開いている所があったのでそこに突入。すると横の建物からおじさんが出てきた。怒られるのかな?と思ったがなにやら中国語で話しかけてきた。 英語で対応するもまったく話が通じず困ったが、ここは筆談だ!と思い立ち紙に「大雪山賓館 宿泊」と書くと分かってくれたようで、入場料200$を徴収すると笑顔で通してくれた。よかったよ〜

ここまでくればあと8kmちょっと、もう一頑張りだ!でも17:30に着くのはもう無理だろうなあ・・・
絶対17:30に着くように言われてるってことは、その時間を過ぎると即業務停止になるのだろうか。それは困る・・・
それとも時間外労働を強いられて係りの人がめちゃ機嫌悪くなるのかな?それも気が重い・・・

と色々悪い想像をしながら最後のひとっ走り、やがて森の中に突然大きな建物が見えてきた。
やっとビジターセンターに到着だ。レンタカー屋の兄ちゃんがセットしてくれたまさにその場所だ、疑って悪かったよ。

時刻はすでに18:00。やべ〜大遅刻だよ!車を停め急いで建物に走っていくと、
玄関の所に苦虫を噛み潰したような顔のおじさんが仁王立ち・・・

ではなく、小柄なおじいちゃんが「あ〜来た来た〜」ってな感じで笑顔で手招きしてくれていた。
ホッ、なんだか拍子抜けしちゃったよ。やっぱり台湾って言うのはやさしい人が多いみたいだ。

 ビジターセンターの中の受付にはちょっとだけ英語の分かるお兄ちゃんがいたのでチェックインの手続きをしてもらい鍵をいただいた。僕らの部屋はここから車でちょっと降りたところにあるコテージだそうで、道順も地図を持ってきて丁寧に教えてくれた。夕食は18:30までに食堂で食べてくれとのこと。

「謝謝」とお礼を言って車にもどり、もらった地図に従いビジターセンターの横の坂道を降りると
小木屋という名前のコテージが並んでいた。この中の真ん中の建物がうちらの部屋だ。

ちなみに大雪山賓館というのはここのちょっと下にある大きなホテルの事だった。
今日は平日でお客さんがあまりいないため使っていないようだ。

階段を登って玄関を入ると、テーブルと椅子のあるちょっとしたリビングをはさんで両側に部屋がある。
混んでいる時は2組で一つのコテージを共有するようだが、今回はうちらの貸切みたいだ。
部屋の中はログハウスっぽくてダブルとシングルのベッドが一つずつ置いてありテレビもある。ただし冷蔵庫はなし。
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バスルームはシャワーのみお湯は出る、それとトイレももちろん完備。これなら十分快適にすごせそうだ。
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晩御飯の時間が迫っているのであまりのんびりもしていられないが、とりあえず無事到着を祝して乾杯!
台湾ビールはちょっと甘みがあって中々美味いねえ!b0166975_1585478.jpg

ビールを飲んだ後は残照を眺めにビジターセンターまで行ってみる。

本当はビジターセンターの横に展望台があるのだが、途中までエレベーターで昇らなくちゃいけない、
もう営業時間も終わってるし無理だろうなと思いつつ中を覗いてみると、それを察してくれたようで
受付のさっきのお兄さんが上に行ってもいいですよ、と言ってくれた。なんともありがたい話だよ。ほんとみんな親切だ。
お言葉に甘えて展望台最上階まで登ってみると、なんとかまだ明るさの残る山並みを眺める事ができた。
あの向こうから山を登ってきたんだなあ。ひーこは良く頑張ったよ。
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しばらく空が暗くなっていくのを眺めてから下に降り、受付のお兄さんにお礼を言って外に出ると
標高が書いてある碑のところで記念撮影。ここで2275メートルあるようだ。
ちなみに台湾では1公尺は1m 1公里は1km 1公分が1cmのようだ。なんとなく分かる気がする。
ちなみに現在の気温は12.5℃。さあ、それじゃ晩御飯を食べに行こう。
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自分らの部屋の前を通り過ぎ、さらに降りていくと食堂があった。
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食券を渡すと席に案内され、さほど待つ事も無く料理が次々と運ばれてきた。
ご飯はセルフで取ってくれという。ちなみにビールなど飲んでる人は誰もいない。
頼んでみようかとも思ったが、日本人は酒に汚いと思われるのも困るのでここはおとなしくしておく事にする。

ちなみに今晩のメニューはこんな感じ。少々冷えているのはしょうがないとはいえ
美味しいと聞いていた台湾料理のイメージとはちょっと違うが・・・・でも角煮は中々美味しかったぞ。
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ビールも無くてなんとなくうすら寂しい感じの夕食をそそくさと終えて外に出ると、かなり冷え込んできていた。
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部屋の中も中々寒いので、これなら冷蔵庫はいらなそうだ。
シャワーをあびてちょっとだけ暖まったら夕食の時の分まで飲みなおしだ。うん、やっぱ台湾ビールは美味いねえ。
同じデザインで紫のは葡萄味のビールだ。酎ハイではなくビール割りってのは初めて飲んだけど結構美味しかった。
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しかし飲んでいるうちにだんだん体が冷えてきた。こんな寒いのに暖房施設が無いのはちと厳しいなあ、
と思っていたら布団には電気毛布が入っているじゃないか!スイッチを最強にして布団にもぐりこむと
これが気持ちいいのなんの・・・おかげで布団に入ったまま飲み続けることとなった。しかし今日は疲れたなあ・・・
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